確定申告とは、1年分の税金の「答え合わせ」。出した人の6割近くは、税金が戻ってきた人です
「確定申告は、社長やお金持ちが税金を払う手続き」「会社員は年末調整があるから関係ない」「副業が20万円以下なら何もしなくていい」——どれも、半分だけ正解です。この記事では、確定申告とは何かを、国税庁の資料と法律からわかりやすく整理します。年末調整との違い、必要な人と得する人、副業の20万円ルールの正体、しないとどうなるか、そして2026年分の期限とスマホでのやり方まで、順番に確認していきます。
制度は2026年9月時点。統計は国税庁「令和7年分(2025年分)の確定申告状況等について」(2026年5月公表)です
税金が戻った人の割合
確定申告をした人
(2027年)
(売上ではなく所得)
結論:確定申告とは「1年分の税金の答え合わせ」
国税庁は、所得税の確定申告を「毎年1月1日から12月31日までの1年間に生じた所得の金額とそれに対する所得税等の額を計算して確定させる手続」と説明しています。そして、給料から天引きされた税金(源泉徴収)などがある場合は、確定申告でその過不足を精算します。
つまり確定申告は、税金を払うためだけの手続きではありません。1年のあいだ仮の金額で払ってきた税金を、本当の金額に直す「答え合わせ」です。払い過ぎていればお金が戻り(還付)、足りなければ納めます(納付)。よくある思いこみと並べると、次のとおりです。
| よくある思いこみ | 実際は |
|---|---|
| 税金を「払う」ための手続き | 1年分の答え合わせ。2025年分では申告した人の56.7%が「税金が戻った」還付申告 |
| 会社員は年末調整があるから関係ない | 申告した人のおよそ半分(49.6%)は、給与が主な収入の人 |
| 副業が20万円以下なら何もしなくていい | 20万円ルールは所得税だけの話。住民税の申告は別に必要 |
確定申告とは?わかりやすく|源泉徴収・年末調整との違い
個人の所得税は、1月1日から12月31日までの1年間のもうけ(所得)にかかります。でも、1年が終わるまで本当の所得は分かりません。そこで会社員は、毎月の給料から仮の金額で先に税金を天引きされています。これが源泉徴収です。
1年が終わったら、本当の税金を計算して、先に払った分との差を精算します。会社員の場合は、会社が12月の給料などでこの答え合わせを代わりにやってくれます。これが年末調整です。自分でやるのが確定申告で、両者の違いは次のとおりです。
| 年末調整 | 確定申告 | |
|---|---|---|
| だれがやる | 会社 | 自分 |
| いつ | 12月の給料などで | 翌年2月16日〜3月15日(還付申告は1月から) |
| 対象 | その会社の給料だけ | すべての所得(副業・事業・不動産など) |
| 使えない控除 | 医療費控除・寄附金控除・雑損控除 | なし(すべて使える) |
年末調整では、医療費控除や、ふるさと納税などの寄附金控除は使えません。会社員でも確定申告をすると税金が戻ることがあるのは、このためです。2026年分は基礎控除の引き上げなどが12月1日に施行され、年末調整で反映されます。変更点は年末調整2026の変更点|年収600万円なら3万6千円の減税で詳しく計算しています。
確定申告はいつからいつまで?2026年分は2027年2月16日〜3月15日
確定申告の対象は、1月1日から12月31日までの1年間の所得です。申告と納付の期間は、原則として翌年の2月16日から3月15日まで。2026年分の場合は次のようになります。
- 2026年1月1日〜12月31日この1年間の所得に所得税がかかります。給料の源泉徴収や、報酬の天引きもこの間に行われます。
- 1月1日2027年1月1日から:還付申告を出せる税金が戻るだけの「還付申告」は、確定申告の期間と関係なく、翌年1月1日から5年間出せます。
- 2月16日2027年2月16日(火)〜3月15日(月):確定申告の期間税金を納める人は、この期間に申告します。
- 3月15日2027年3月15日(月):申告と納付の期限期限までに納めないと、延滞税がかかります。
- 5年2031年12月31日まで:2026年分の還付申告の期限払い過ぎに気づいたら、5年前の分までさかのぼって取り戻せます。
確定申告の計算は5段階|税金が戻るしくみ
確定申告書で計算することは、大きく次の5つの段階に分かれます。
- ①所得=収入 − 経費会社員は、経費の代わりに「給与所得控除」という決まった金額を引きます。
- ②課税所得=所得 − 所得控除税金をかけない部分を引きます。基礎控除・社会保険料控除・医療費控除など、所得控除は全部で16種類あります。
- ③所得税=課税所得 × 税率税率は5%から45%までの7段階。所得が多いほど、超えた部分に高い税率がかかります(別に復興特別所得税2.1%)。
- ④税額控除を引く住宅ローン控除などを引くと、1年分の所得税が決まります。
- ⑤すでに払った分を引く(精算)源泉徴収や予定納税で払った分を引き、プラスなら納付、マイナスなら還付です。
最後の引き算がマイナスになると、お金が戻ってきます。具体例で見てみましょう。フリーランスでイラストの仕事をしている、架空のAさんのケースです。会社から受け取る原稿料やデザイン料などの報酬は、支払いのときに10.21%が源泉徴収されています(1回の支払いが100万円以下の場合)。
| 計算の段階 | Aさん(架空)の2026年分 |
|---|---|
| 報酬(1年分) | 300万円(源泉徴収 30万6,300円が先に天引き) |
| ① 所得=報酬 − 経費60万円 | 240万円 |
| ② 課税所得=所得 − 所得控除154万円 | 86万円(基礎控除104万円+保険料50万円と仮定) |
| ③ 所得税=86万円 × 5% | 4万3,000円+復興特別所得税903円=4万3,903円 |
| ④ 税額控除 | なし(0円) |
| ⑤ 精算=4万3,903円 − 30万6,300円 | −26万2,397円(還付) |
このケースでは、26万2,397円が戻ってきます。フリーランスにとって確定申告は、税金を納める手続きであると同時に、先に引かれた税金を取り戻す手続きでもあるのです。ただし、還付は自分で申告しないと受けられません。
確定申告が必要な人|会社員・アルバイト・年金・フリーランス
確定申告が必要かどうかは、収入の種類で変わります。国税庁の説明と所得税法121条をもとに、代表的なケースを整理すると次のとおりです。
| こんな人 | 確定申告が必要になる主な条件 |
|---|---|
| 会社員(給料が1か所) | 給料が年2,000万円を超える/給料以外の所得(副業など)が20万円を超える |
| 会社員(給料が2か所以上) | 年末調整されない側の給料と、給料以外の所得の合計が20万円を超える |
| アルバイト・パート | 会社員と同じ。1か所で年末調整を受けていれば原則不要 |
| 年金を受け取っている人 | 公的年金が年400万円を超える/年金以外の所得が20万円を超える |
| 個人事業主・フリーランス | 所得が所得控除(基礎控除など)を上回り、所得税が出る |
ここでいう「20万円」は、あとで詳しく見るとおり売上ではなく所得(売上から経費を引いたもうけ)です。また、これは「申告しなければならない人」の条件です。申告の義務がない人でも、次のように申告すると税金が戻る人がいます。
会社員でも確定申告すると得する人(還付申告)
年末調整では使えない控除があるため、会社員でも確定申告をすると税金が戻ることがあります。これを還付申告といいます。代表的なケースは次の4つです。
| ケース | ポイント |
|---|---|
| 医療費控除 | 家族の分も合わせて、1年の医療費が10万円(総所得金額等が200万円未満なら、その5%)を超えた分を所得から引ける。上限200万円 |
| 住宅ローン控除の1年目 | 初めて受ける年は確定申告。2年目からは年末調整で受けられる |
| 年の途中で退職した | 年末調整を受けていないと、源泉徴収された税金が払い過ぎになっていることがある |
| ふるさと納税 | 寄附先が6か所以上、またはワンストップ特例を出していない場合は確定申告で控除を受ける |
たとえば、1年の医療費が30万円で、保険金などで補てんされた分がなければ、医療費控除は20万円です。税率10%の人なら、所得税が約2万円(20万円×10.21%=2万420円)戻り、翌年度の住民税も約2万円(20万円×10%)安くなります。
国税庁によると、2025年分の確定申告書を出した2,353万人のうち、税金が戻る還付申告は1,335万人でした。給与が主な収入の人に限ると、申告した1,168万人のうち815万人(約7割)が還付申告です。
| 2025年分の確定申告(所得税等) | 人数 | 割合 |
|---|---|---|
| 還付申告(税金が戻った) | 1,335万人 | 56.7% |
| 納税があった | 628万人 | 26.7% |
| 税額がなかった | 391万人 | 16.6% |
| 合計 | 2,353万人 | 100% |
還付申告は5年前の分までさかのぼれます。医療費の領収書などが残っていれば、いまからでも間に合うかもしれません。
副業20万円以下なら確定申告しなくていい?3つのただし書き
「副業が20万円以下なら確定申告はいらない」というルールは、半分だけ本当です。所得税法121条で、給料(年2,000万円以下)を1か所から受け取り、年末調整を受けている会社員は、給料以外の所得が20万円以下なら確定申告をしなくてよいとされています。ただし、次の3つのただし書きがあります。
| ただし書き | 中身 |
|---|---|
| ① 売上ではなく所得で判定 | 20万円は、売上から経費を引いたもうけ。売上50万円でも、経費35万円なら所得は15万円 |
| ② 所得税だけの話 | 住民税には20万円ルールがない。所得税の確定申告が不要でも、市区町村への住民税の申告は必要 |
| ③ 確定申告するなら全部含める | 医療費控除などで確定申告(還付申告)をするときは、20万円以下の副業の所得も含めて申告する |
たとえば、副業でイラストを売って1年の売上が30万円だった会社員の場合、画材やソフト代などの経費を引いた所得で判断します。
| 経費 | 所得 | 所得税の確定申告 | 住民税の申告 |
|---|---|---|---|
| 5万円 | 25万円 | 必要 | 確定申告をすれば不要 |
| 10万円 | 20万円 | 不要 | 必要 |
税金の目安は、給料と合わせた税率しだいです。税率5%の人が副業の所得25万円なら、所得税は約1万3千円(25万円×5.105%)、住民税は所得割10%で約2万5千円。合計で所得の約15%が目安です。
確定申告書の第二表には、副業分(給料・公的年金以外の所得)の住民税を「給料から天引き(特別徴収)」にするか「自分で納付」にするかを選ぶ欄もあります。本格的に事業として続けるなら、帳簿をつけて期限内にe-Taxで出すと最大65万円を所得から引ける青色申告もあります(青色申告特別控除とは?65万円控除の条件)。
確定申告しないとどうなる?加算税・延滞税とバレる理由
納める税金がある人が期限までに申告しないと、本来の税金に加えて、ペナルティの税金がかかります。
| いつ申告したか | 無申告加算税の割合 |
|---|---|
| 期限から1か月以内に自分から(納付済み・過去5年に加算税なし) | かからない場合がある |
| 調査の通知の前に、自分から期限後に申告 | 5% |
| 調査の事前通知のあと、調査の前に申告 | 10%〜25% |
| 税務署の調査を受けたあと・税務署が決定 | 15%〜30% |
| わざと隠した・ウソの書類(重加算税) | 40% |
たとえば本来の税金が10万円なら、自分から期限後に申告すれば無申告加算税は5,000円、調査のあとなら1万5,000円です。これとは別に、遅れた日数に応じて延滞税が利息のようにかかります。2026年の延滞税の割合は、納期限から2か月以内が年2.8%、2か月を過ぎると年9.1%です(国税庁No.9205)。
悪質な場合は刑事罰もあります。申告書を期限までに出さずに所得税を免れた場合は、5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金(またはその両方)です(所得税法238条3項)。
副業なら「バレない」は本当?
税務署には、お金を払った側からも書類が集まります。たとえば会社は、作家や画家に払う原稿料・画料などが同じ人に年5万円を超えると、支払調書を翌年1月31日までに税務署へ提出します。支払調書にはマイナンバーが書かれるので、本人の申告と照らし合わせることができます(所得税法225条、国税庁No.7431)。
しかも税務署は、申告がなかった年の分を、あとからさかのぼって決めることができます。期間は原則5年、偽りその他不正の行為があれば7年です(国税通則法70条)。忘れていたら、気づいた時点ですぐに出すのが、いちばん軽く済みます。
確定申告のやり方|スマホとマイナンバーカードで申告する手順
いまは確定申告の大半がネットで行われています。2025年分では、確定申告をした人の77.1%(1,814万人、4人に3人)がe-Taxを使い、自宅からスマホで申告した人は497万人でした。
- 1確定申告書等作成コーナーを開く国税庁のサイト「確定申告書等作成コーナー」から、画面の案内に沿って申告書を作れます。
- 2マイナンバーカードを読み取るスマホにマイナンバーカードをかざしてログインします(ID・パスワード方式は2025年10月から新規発行を停止)。
- 3マイナポータル連携で自動入力給与や年金の収入、医療費、ふるさと納税などのデータを、申告書に自動で入力できます。2025年分の利用者は408万人。
- 4質問に答えて金額を確認所得や控除を、画面の質問に答えながら入力・確認します。
- 5送信e-Taxで送信して完了。自宅からe-Taxで出した還付申告は、3週間程度で処理されます(書類不備などがない場合)。
| 用意するもの | 中身 |
|---|---|
| 本人確認 | マイナンバーカード(スマホで読み取り) |
| 給料・年金 | 源泉徴収票(会社・年金の支払者から届く) |
| 控除の書類 | 医療費の領収書(または医療費通知)、ふるさと納税の受領証明書、保険料控除の証明書など |
| 副業・事業 | 売上の明細、経費の領収書(捨てずに保管) |
FXや株、競馬の払戻金など、収入の種類によって申告の方法が変わるものもあります。FXはFXの税金はいくらから?確定申告のやり方、競馬は競馬で150万円当たったら税金はいくら?で解説しています。
確定申告のよくある質問
Q. 確定申告は、いつからいつまでの収入が対象ですか?
A. 1月1日から12月31日までの1年間の所得が対象です。2026年分(2026年1月〜12月)の確定申告は、2027年2月16日から3月15日までに行います。税金が戻るだけの還付申告は、2027年1月1日から5年間出せます。
Q. 確定申告はいくらから必要ですか?
A. 会社員(給料が1か所・年末調整済み)なら、副業など給料以外の所得が20万円を超えると必要です。個人事業主・フリーランスは、所得が基礎控除などの所得控除を上回って所得税が出る場合に必要です。いずれも売上ではなく、経費を引いた所得で判断します。
Q. 会社員でも確定申告が必要ですか?
A. 多くの会社員は年末調整で完了するため不要です。ただし、給料が年2,000万円を超える人や、副業などの所得が20万円を超える人は申告が必要です。また、医療費控除、住宅ローン控除の1年目、ふるさと納税を6か所以上にした場合などは、確定申告をすると税金が戻ります。
Q. 副業が20万円以下なら、何もしなくていいですか?
A. 所得税の確定申告は不要でも、市区町村への住民税の申告は必要です。住民税には20万円ルールがありません。また、医療費控除などで確定申告をする場合は、20万円以下の副業の所得も含めて申告します。
Q. アルバイトやパートでも確定申告は必要ですか?
A. 1か所で働いて年末調整を受けていれば、原則として不要です。掛け持ちで年末調整されない給料と他の所得の合計が20万円を超える場合などは必要です。年の途中で辞めて年末調整を受けていない人は、確定申告(還付申告)で源泉徴収された税金が戻ることがあります。
Q. 確定申告をしないとバレますか?
A. 税務署には、報酬を払った会社などから支払調書などの書類が届き、マイナンバーで照合できます。申告がなかった年の分は、原則5年(偽りや不正があれば7年)さかのぼって税額を決められることがあります。無申告加算税や延滞税もかかるため、気づいたらすぐに申告するのが最も負担が軽くなります。
Q. 還付申告はいつまでできますか?
A. 対象の年の翌年1月1日から5年間です。2026年分なら2031年12月31日まで出せます。ただし、青色申告特別控除(55万円・65万円)を受ける場合などは、還付申告でも3月15日までに出す必要があります。
Q. 期限を過ぎてしまったらどうすればいいですか?
A. 気づいた時点で、できるだけ早く期限後申告をしてください。期限から1か月以内に自主的に申告し、税金も納めているなどの条件を満たせば、無申告加算税がかからない場合があります。調査の通知の前に自分から申告すれば、無申告加算税は5%で済みます。
・国税庁「令和7年分の所得税等、消費税及び贈与税の確定申告状況等について」(2026年5月)報道発表資料(PDF)を見る
・国税庁 タックスアンサー No.2020 確定申告 ページを見る/No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人 ページを見る/No.2030 還付申告 ページを見る
・国税庁 タックスアンサー No.1120 医療費控除 ページを見る/No.1155 ふるさと納税 ページを見る/No.1199 基礎控除 ページを見る
・国税庁 タックスアンサー No.2024 確定申告を忘れたとき ページを見る/No.9205 延滞税について ページを見る/No.7431 報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書 ページを見る
・国税庁 タックスアンサー No.2795 原稿料や講演料を支払ったとき ページを見る/No.1906 ネットオークション等の副収入 ページを見る/No.2070 青色申告制度 ページを見る
・国税庁「確定申告期に多いお問合せ事項Q&A」(Q41 還付金)ページを見る/確定申告書等作成コーナー サイトを見る
・所得税法 e-Gov法令検索で見る/国税通則法 e-Gov法令検索で見る
・小平市「給与所得以外の所得についての住民税の申告は必要ですか」ページを見る/総務省「個人住民税」ページを見る
※割合・還付額・税額の目安は、上記の資料をもとに本サイトが計算したものです。


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