FX・法律と制度
海外FXは違法?金融庁の警告リスト433社を全部数えた
「海外FXは違法なのか」は、使う側の話と業者側の話が混同されたまま語られてきました。金融商品取引法に顧客を処罰する規定はなく、使うこと自体で罪に問われることはありません。一方で業者側は明確です。金融庁が公表する「警告書の発出を行った無登録の海外所在業者」の一覧を全件ダウンロードして数えたところ、433社、うちFX・CFDの勧誘が386社。そして日本語で広告を出している主要ブランドは、ほぼ例外なくこの一覧に載っていました。
この記事の結論
- 海外FXを使うこと自体は違法ではありません。金商法に顧客を処罰する規定はなく、罰則は業者の行為が対象です。
- 一方で登録なく日本の居住者に勧誘する行為は金商法29条違反で、197条1項により10年以下の拘禁刑または1,000万円以下の罰金の対象です。
- 金融庁の警告一覧に載る海外所在業者は433社、うち店頭デリバティブ(FX・CFD)の勧誘が386社。2011年から2026年まで毎年追加されています。
- XMTrading、Exness、TITAN FX、AXIORY、FXGT、BigBoss、iFOREXなど主要20ブランドはすべて掲載済み。掲載時期も一覧で示しました。
- 登録業者との差は看板ではなく義務です。信託保全・未カバー率の開示・レバレッジ規制・紛争解決機関のいずれも、無登録業者には適用されません。
結論:使う側は違法ではない。ただし業者は警告を受けている
「海外FXは違法なのか」という問いには、混同されがちな2つの論点が含まれています。①日本人が海外FX業者を使うことが違法か ②その業者が日本で営業することが違法か。答えは別々です。
①について、金融商品取引法に顧客を処罰する規定はありません。罰則は業者の行為に対して定められています。使うこと自体で罪に問われることはありません。
②は明確です。金商法29条は「金融商品取引業は、内閣総理大臣の登録を受けた者でなければ、行うことができない」と定めています。登録なく日本の居住者へ勧誘すれば違法で、同法197条1項により10年以下の拘禁刑または1,000万円以下の罰金、またはその併科の対象です。
そして金融庁は、警告書を出した無登録業者を一覧で公表しています。この一覧をダウンロードして数えました。
一覧を「サービスの名称」で検索すると、日本語で広告を打っている主要な海外FXブランドがほぼ例外なく見つかります。XMTrading、Exness、TITAN FX、AXIORY、FXGT、BigBoss、iFOREX、ThreeTrader、LAND-FX、FBS、GEMFOREX、TRADEVIEW、MILTON MARKETS、HotForex、FXDD、PU Prime、Vantage、MYFX Markets、IS6FX――いずれも金融庁が警告書を発出した業者として掲載されています。
【集計】警告書を受けた海外業者は433社
金融庁が公表する「警告書の発出を行った無登録の海外所在業者」の一覧(2026年8月27日更新)を全件読み込み、集計しました。総数は433社。このうち「インターネットを通じて、店頭デリバティブ取引の勧誘を行っていたもの」に分類されるのが386社で、これが実質的にFX・CFD業者です。
年別の推移
| 掲載時期 | 件数 | 推移 |
|---|---|---|
| 2011年 | 9社 | ■■ |
| 2012年 | 17社 | ■■■■ |
| 2013年 | 19社 | ■■■■■ |
| 2014年 | 43社 | ■■■■■■■■■■■ |
| 2015年 | 68社 | ■■■■■■■■■■■■■■■■■ |
| 2016年 | 29社 | ■■■■■■■ |
| 2017年 | 15社 | ■■■■ |
| 2018年 | 9社 | ■■ |
| 2019年 | 9社 | ■■ |
| 2020年 | 30社 | ■■■■■■■■ |
| 2021年 | 14社 | ■■■■ |
| 2022年 | 14社 | ■■■■ |
| 2023年 | 23社 | ■■■■■■ |
| 2024年 | 34社 | ■■■■■■■■ |
| 2025年 | 40社 | ■■■■■■■■■■ |
| 2026年 | 13社 | ■■■ |
※金融庁「無登録で金融商品取引業を行う者の名称等について」(警告書の発出を行った無登録の海外所在業者)を筆者が集計。店頭デリバティブ取引の勧誘に分類される386社の内訳。2026年は8月時点まで。
ピークは2015年の68社です。2018年〜2019年にいったん9社まで落ち込んだあと、2020年に30社へ急増し、以後は年間14〜40社で推移しています。直近の2025年は40社で、この10年では2015年に次ぐ水準です。「昔の話」ではありません。
備考欄を読むと、同じサービス名が法人を変えて再登場する例が目立ちます。たとえばIS6FXは「令和3年12月に警告した業者」と関連づけて2026年7月に再掲載され、MYFX Marketsは「令和2年1月に警告した業者」との関連が記載されています。法人を差し替えても金融庁が追跡して再度警告している、という構図です。
【一覧】主要ブランドと警告の時期
日本語で広く宣伝されているブランドについて、一覧のどこに載っているかを抜き出しました。掲載時期は最新の警告時期です。
| サービス名 | 警告の掲載時期 | 警告を受けた法人名 | 所在地 |
|---|---|---|---|
| Vantage Trading | 2026年8月 | Vantage Trading Ltd. | コモロ/セントビンセント等 |
| MYFX Markets | 2026年7月 | MYFX Markets Pty Ltd ほか | コモロ連合 |
| IS6FX | 2026年7月 | IS6 Technologies Ltd | セントビンセント・グレナディーン |
| FXGT | 2025年11月 | GT Global Ltd | セーシェル |
| PU Prime | 2024年12月 | PU Prime Limited | セントビンセント・グレナディーン |
| XMTrading | 2024年9月 | XM WebTrader | ベリーズ |
| ThreeTrader | 2023年8月 | ThreeTrader Global Limited | バヌアツ |
| BigBoss | 2023年6月 | Big Boss Holdings Company Limited | セントビンセント・グレナディーン |
| Exness | 2023年4月 | Nymstar Limited | セーシェル |
| TITAN FX | 2019年8月 | TI Securities Limited | バヌアツ |
| MILTON MARKETS | 2018年1月 | Milton Markets Ltd. | セントビンセント・グレナディーン |
| HotForex | 2017年8月 | HF Markets (SV) Ltd | セントビンセント・グレナディーン |
| iFOREX | 2017年6月 | Formula Investment House Ltd. | ギリシャ |
| FBS | 2017年5月 | Parallax Incorporated | セントビンセント・グレナディーン |
| TRADEVIEW | 2016年12月 | Tradeview Ltd | ケイマン諸島 |
| XM.COM(XM) | 2016年5月 | Trading Point (Seychelles) Limited | セーシェル |
| FXDD | 2016年3月 | FXDD Trading, LTD | バミューダ諸島 |
| GEMFOREX | 2015年10月 | GEM-TRADE Co.,Ltd | 香港 |
| AXIORY | 2015年6月 | Axiory Global Ltd. | ベリーズ |
| LAND-FX | 2015年5月 | Land Prime Ltd. | ニュージーランド |
※金融庁の一覧の「備考」欄に記載されたサービス名から抽出。所在地は一覧の「所在地又は住所」欄より。法人名は警告時点のもので、その後変更されている場合があります。
所在地はタックスヘイブンに集中
386社の所在地を数えると、上位はセーシェル58社、ベリーズ19社、コモロ18社、キプロス18社、バヌアツ16社、マーシャル諸島14社、香港12社、モーリシャス10社でした。日本から見て民事訴訟も行政処分も届きにくい法域が並びます。
所在地が日本の司法・行政の外にあるということは、トラブルが起きたときに使える手段がほとんどないということです。国内の登録業者なら金融庁の監督下にあり、後述するADR(裁判外紛争解決)も使えます。海外の無登録業者は、そのどちらも対象外です。
登録業者と無登録業者で「なくなるもの」
登録の有無は、看板の違いではなく法令上の義務の有無です。無登録業者には次のいずれも課されていません。
| 項目 | 国内の登録業者 | 海外の無登録業者 |
|---|---|---|
| 顧客資産の信託保全 | 法令で義務。証拠金は信託銀行に信託され、会社の財産と分離される | 義務なし。会社の資金と分離されている保証はない |
| 未カバー率などの開示 | 内閣府令117条1項28号の2により毎月公表が義務。公表しなければ契約を締結できない | 義務なし。方式の説明はすべて自己申告 |
| レバレッジ規制 | 個人は最大25倍 | 規制の対象外。数百倍を掲げる業者もある |
| 紛争解決の窓口 | 指定紛争解決機関(FINMAC)による裁判外紛争解決が利用できる | 対象外。交渉は業者との直接やりとりのみ |
| 金融庁の監督・処分 | 登録取消や業務改善命令の対象 | 日本の行政処分は及ばない。できるのは警告書の発出と公表まで |
| 税制 | 申告分離課税20.315%、損失は3年繰越可 | 総合課税の雑所得。損失の繰越はできない |
最後の税制は見落とされがちですが、金額によっては最大の差になります。国内FXは税率20.315%で固定、海外FXは所得が増えるほど税率が上がる累進で、損失の繰越控除も使えません。この分岐点は別記事で計算しました。
海外業者の訴求点として必ず挙がるのが「ゼロカット(追証なし)」です。ただしこれは各社のサービス方針であり、日本の法令が裏づけているものではありません。業者が方針を変えても、支払えなくなっても、日本の顧客が使える強制手段は限られます。国内FXに追証がある理由と実データは別記事で扱いました。
自分で一覧を確認する手順
- STEP 1金融庁の警告一覧を開く「無登録で金融商品取引業を行う者の名称等について」のページに、PDFとExcelで3種類の一覧が置かれています。海外業者はそのうち「警告書の発出を行った無登録の海外所在業者」です。
- STEP 2法人名ではなくサービス名で探す一覧の主キーは法人名です。ブランド名は「備考」欄に「当該業者が提供するサービスの名称は「○○」である」という形で書かれています。Excelを開いてブランド名で検索するのが確実です。
- STEP 3逆に、登録業者かどうかも確認する金融庁は「免許・許可・登録等を受けている業者一覧」も公表しています。載っていれば登録業者、警告一覧にあれば無登録業者。どちらにも載っていない場合は、そもそも実態の確認ができていない相手です。
- STEP 4「金融ライセンス取得済み」の表示を根拠にしない海外業者のサイトにある「○○国の金融ライセンス保有」という表示は、その国での話です。日本国内で日本の居住者に勧誘するには日本の登録が必要で、他国のライセンスはその代わりになりません。
よくある質問
Q. 海外FXを使うと逮捕されますか?
A. されません。金融商品取引法に顧客を処罰する規定はなく、罰則は業者の行為に対して定められています。違法とされるのは、登録を受けずに日本の居住者へ金融商品取引業を行う業者側の行為です。金商法29条に違反した場合、同法197条1項により10年以下の拘禁刑または1,000万円以下の罰金、またはその併科の対象となります。
Q. 金融庁の警告リストには何社載っていますか?
A. 海外所在の無登録業者は433社です(2026年8月27日更新時点)。このうち「インターネットを通じて店頭デリバティブ取引の勧誘を行っていたもの」に分類される業者が386社あり、これが実質的なFX・CFD業者にあたります。掲載は2011年から2026年まで続いており、直近の2025年は40社が追加されました。
Q. 有名な海外FX業者も載っていますか?
A. はい。XMTrading(2024年9月)、Exness(2023年4月)、TITAN FX(2019年8月)、AXIORY(2015年6月)、FXGT(2025年11月)、BigBoss(2023年6月)、iFOREX(2017年6月)、ThreeTrader(2023年8月)、LAND-FX(2015年5月)、FBS(2017年5月)、GEMFOREX(2015年10月)など、日本語で広告を出している主要ブランドはほぼ例外なく掲載されています。
Q. 警告を受けた業者は使えなくなるのですか?
A. 金融庁ができるのは警告書の発出と名称の公表までで、海外にある業者の営業を止める権限はありません。実際、警告後も日本語サイトを運営し続けている業者が多数あります。ただしそれは「問題がない」という意味ではなく、日本の行政処分が届かないという意味です。
Q. 海外FXと国内FXで具体的に何が違いますか?
A. 法令上の義務が違います。国内の登録業者には顧客資産の信託保全、未カバー率などの毎月の開示、レバレッジ25倍規制、指定紛争解決機関による裁判外紛争解決が課されています。海外の無登録業者にはいずれも適用されません。加えて税制も異なり、国内は申告分離課税20.315%で損失の3年繰越が可能、海外は総合課税の雑所得で繰越はできません。
Q. ゼロカット(追証なし)は法律で保証されていますか?
A. されていません。ゼロカットは各社が自社の方針として提供しているサービスで、日本の法令が裏づけているものではありません。業者が方針を変更した場合や支払えなくなった場合に、日本の顧客が取れる手段は限られます。
Q. 自分が使っている業者が載っているか調べるには?
A. 金融庁の「無登録で金融商品取引業を行う者の名称等について」のページからExcel版の一覧をダウンロードし、ブランド名で検索してください。一覧の主キーは法人名で、ブランド名は「備考」欄に「当該業者が提供するサービスの名称は「○○」である」という形で記載されています。
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出典・参考資料
- 金融庁「無登録で金融商品取引業を行う者の名称等について」(警告書の発出を行った無登録の海外所在業者・2026年8月27日更新のExcel版を筆者が全件集計)
- 金融商品取引法(e-Gov法令検索) 第29条(登録)、第197条第1項(罰則)
- 国内FXは呑み行為?DD・NDDの違いと未カバー率を9社で確認(内閣府令117条1項28号の2による開示義務)
本記事は金融庁の公表資料と法令にもとづく整理であり、特定の業者の利用を勧めるものでも、断罪するものでもありません。一覧は随時更新されるため、最新の内容は金融庁のページでご確認ください。税務の具体的な取扱いは所轄の税務署または税理士にご相談ください。
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