「1,000通貨なら6,000円ちょっとで始められる」——これは本当です。ただしその金額はポジションを持つために最低限必要な額であって、持ち続けられる額ではありません。公式の数字とロスカットの仕組みから計算すると、必要証拠金ぴったりの入金ではレートが2%動いた時点で強制決済になります。ドル円に当てはめると約3円。過去2年の値動きを数えたら、その3円を1日で動いた日が7回ありました。
(1ドル154.04円で計算)
ロスカットまでの距離
動いた日数
耐えるのに要る入金
結論——「始められる額」と「持ち続けられる額」は別物
FXでいくら入金すればいいのか。答えを先に書くと、必要証拠金の3倍前後が一つの目安になります。1,000通貨なら約2万円です。
理由は単純で、必要証拠金は「注文を出すために要る額」にすぎないからです。その金額ちょうどで入ると、ロスカットラインまでの距離が2%しかありません。そしてドル円が1日で2%動くことは、珍しくはあっても実際に起きています。この記事では、公式の仕様と実際の値動きを突き合わせて、その距離を測ります。
必要証拠金は「取引額の4%」——まず公式の数字
国内のFXは個人のレバレッジが最大25倍に制限されているため、必要証拠金は取引額の4%になります。DMM FXも公式にこう案内しています。
同社は2025年1月20日から主要4通貨ペア(米ドル/円、ユーロ/円、ポンド/円、豪ドル/円)に1,000通貨単位のミニ通貨ペアを追加しており、公式ページには次の例が載っています。
| 1ドル=150円のとき(公式の例) | 1Lotの必要証拠金 |
|---|---|
| 米ドル/円(10,000通貨) | 60,000円 |
| 米ドル/円ミニ(1,000通貨) | 6,000円 |
これを直近のレートに置き換えます。2026年9月11日のドル円は154.04円でした。1,000通貨の取引額は154,040円なので、必要証拠金は6,161.6円、およそ6,162円。10,000通貨なら約61,616円です。
ロスカットは維持率50%——だから「2%」で終わる
次に、いつ強制決済されるのかを確認します。DMM FXのロスカットラインは証拠金維持率50%です。加えて、維持率が100%を下回ると追加証拠金(追証)が発生します。
維持率100%(追加証拠金発生ライン) DMM FXでは毎営業日マーケットクローズ後にて証拠金維持率の判定を行い、この時点で証拠金維持率が100%を下回っていた場合には追加証拠金が発生します。DMM FX「証拠金シミュレーション」ページの説明
ここから逆算します。必要証拠金6,162円ちょうどを入金して1,000通貨を買った場合、純資産が半分の3,081円まで減るとロスカットです。つまり耐えられる含み損は3,081円。1,000通貨なら1円の値動きが1,000円なので、3.08円の円高で強制決済という計算になります。
【独自集計】ドル円は2年で7回、その2%を1日で動いた
では2%の逆行は現実にどれくらい起きるのか。欧州中央銀行が公表している日次の参照レートから、2024年8月30日〜2026年9月11日の519営業日について、前営業日比の変動率を全部数えました。
| ドル円の1日の変動率(519営業日) | 結果 |
|---|---|
| 平均 | 0.427% |
| 中央値 | 0.298% |
| 最大 | 2.50% |
| 1%以上動いた日 | 39日(7.5%) |
| 2%以上動いた日 | 7日(1.4%) |
| 3%以上動いた日 | 0日 |
ふだんの1日は0.3%前後しか動きません。その感覚でいると「2%なんて来ない」と思えてしまいます。けれども実際には2年で7日ありました。約74営業日に1回、つまり3〜4か月に一度は、必要証拠金ぴったりの口座が1日で飛ぶ日が来るということです。
| 大きく動いた日 | 変動率 | 値幅 |
|---|---|---|
| 2026年1月26日 | -2.50% | -3.95円 |
| 2026年9月3日 | -2.25% | -3.59円 |
| 2026年8月3日 | -2.22% | -3.56円 |
| 2025年4月3日 | -2.08% | -3.10円 |
| 2025年8月4日 | -2.06% | -3.10円 |
上位5日がすべて円高方向だったのも、買いから入る人にとっては見逃せないところです。直近では2026年9月3日にも起きています。
本当に怖いのは、数日かけて動くほう
1日の変動だけを見ていると、実は危険を過小評価します。相場は数日〜数週間かけて一方向に動くことがあるからです。同じ519営業日で、高値からどれだけ下げたかを計算すると——
いくら入れれば耐えられるのか
耐えられる逆行幅から逆算すると、必要な入金額は必要証拠金 ×(25 × 逆行率 + 0.5)で求められます。1,000通貨・1ドル154.04円のケースで表にしました。
| 耐えたい逆行 | 円換算 | 必要な入金額 | 必要証拠金の |
|---|---|---|---|
| 2% | 3.08円 | 6,162円 | 1.0倍(ぴったり) |
| 5% | 7.70円 | 10,783円 | 1.75倍 |
| 10% | 15.40円 | 18,485円 | 3.0倍 |
| 11.41%(過去2年の最大下落) | 17.58円 | 20,657円 | 3.35倍 |
つまり1,000通貨を安心して持つなら2万円程度。10,000通貨なら10倍で約20万円です。「6,000円で始められる」は事実ですが、6,000円で持ち続けられるとは誰も言っていません。ここを取り違えると、相場観が当たっていても退場することになります。
実際の口座で確かめる前に
ここまでの数字は、必要証拠金4%・ロスカット維持率50%という条件からの計算と、ECB参照レートを使った集計です。実際の取引レートやスプレッド、ミニ通貨ペアの扱いは会社ごとに違います。DMM FXの場合、ミニ通貨ペアは原則固定スプレッドの対象外で、取引応援ポイントも付きません。口座を作ったら、まず取引画面の資産状況で自分のロスカットラインを確認するのが確実です。
なお、証拠金維持率そのものをどう管理するかはFXの証拠金維持率の目安は何%?国内25倍前提の安全圏を解説に、ロスカットの仕組みはFXのロスカットとは?仕組みと避けるためのリスク管理を解説にまとめています。
よくある質問
Q. FXは最低いくらから始められますか?
A. 1,000通貨単位に対応している会社なら、1ドル154円前後のとき必要証拠金は約6,162円です。DMM FXは2025年1月20日から主要4通貨ペアにミニ通貨ペアを追加しており、公式の例では1ドル150円のとき1,000通貨で6,000円と案内されています。
Q. 必要証拠金ぴったりを入金するとどうなりますか?
A. ロスカットラインまでの距離が約2%しかありません。ドル円154円なら3.08円の円高で強制決済です。過去519営業日で1日に2%以上動いた日は7日ありました。
Q. いくら入金しておけば安心ですか?
A. 必要な入金額は「必要証拠金 ×(25 × 耐えたい逆行率 + 0.5)」で計算できます。10%の逆行に耐えるなら必要証拠金の3倍、1,000通貨で約18,485円です。過去2年の最大下落11.41%に合わせるなら3.35倍、約20,657円になります。
Q. 取引数量を小さくすれば安全になりますか?
A. 数量を小さくしても、必要証拠金ぴったりで入るかぎり「2%でロスカット」という比率は変わりません。安全度を上げるのは数量の小ささではなく、必要証拠金に対して何倍の資金を入れているかです。
Q. ロスカットの前に何か起きますか?
A. 追加証拠金があります。DMM FXでは毎営業日のマーケットクローズ後に証拠金維持率を判定し、100%を下回っていると追証が発生します。解消できない場合は翌営業日の早朝に決済されます。
まとめ
必要証拠金は「注文を出せる額」であって「持ち続けられる額」ではありません。ぴったりで入るとレートの2%、ドル円なら約3円で終わります。そして2%は、ふだんの1日(平均0.427%)から見れば遠く、2年を通して見れば7回来た距離です。
入金額を決めるときは、耐えたい逆行幅から逆算するのが確実です。過去2年の最大下落11.41%に合わせるなら必要証拠金の3.35倍。1,000通貨で2万円強という数字は、「1,000通貨なら6,000円」という入口の数字とは、意味がまったく違います。
なお1,000通貨のミニ通貨ペアには、基準スプレッド(原則固定)の適用がありません。広告の数字がどこまで実際に守られているかはDMM FXのスプレッドは本当に0.2銭?公表実績23ペアを全部数えたで確かめています。
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【出典】DMM FX「証拠金シミュレーション」「ミニ通貨ペア/ラージ通貨ペア」各ページの記載(必要証拠金は取引の額に対して最低4%以上、ロスカットライン維持率50%、維持率100%で追加証拠金が発生、2025年1月20日よりミニ通貨ペアを追加)/European Central Bank 参照レート(api.frankfurter.dev 経由、2024年8月30日〜2026年9月11日の519営業日)。変動率・最大下落・必要入金額は編集部が集計・計算したものです。レートは2026年9月11日時点の154.04円を使用しており、実際の取引レートやスプレッド、各社の仕様とは異なります。本記事は特定の取引を推奨するものではありません。
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