「マイナンバーカードを持っていないからFXは始められない」と思って止まっている人がいます。けれども法律の条文を読むと、求められているのは番号を伝えることであって、カードそのものではありませんでした。カードがなくても番号を証明する手段は公式に用意されています。ただし1つだけ、使えると思われがちなのに使えない書類があります。
所得税法の条文
できる書類
廃止された日
証明書類に使えない
結論——番号は必須、カードは任意
先に答えをまとめます。FXの口座にマイナンバーを届け出ることは、法律で決まった義務です。これは会社側のお願いではなく、取引をする人の側に課された告知義務なので、断ることはできません。
いっぽうで、その番号をどう証明するかには選択肢があり、マイナンバーカードは唯一の手段ではありません。カードがなければ、マイナンバー入りの住民票の写しでも構いません。条文にそう書かれています。
注意が必要なのは、出生や転入のときに送られてくる「個人番号通知書」は、マイナンバーを証明する書類として使えないことです。番号は書いてあるのに使えません。ここだけは覚えて帰ってください。
なぜ必須なのか——義務を負っているのは会社ではなく本人
マイナンバーの提出を求められると「会社が勝手に集めているのでは」と感じるかもしれません。ところが所得税法を読むと、告知する義務は取引をする人の側にあります。
先物取引の差金等決済をする者(略)は、政令で定めるところにより、その差金等決済をする日までに、その者の氏名又は名称、住所(略)及び個人番号又は法人番号(略)を、(略)商品先物取引業者等に告知しなければならない。所得税法 第224条の5第1項(e-Gov法令検索)
店頭FXは、条文が並べる対象のうち第6号の「店頭デリバティブ取引」にそのまま当たり、その決済が「差金等決済」であることも同条第2項第2号で定義されています。つまりFXは条文が名指ししている取引です。そして会社側には、この取引についての支払調書を税務署へ提出する義務が別途あります(所得税法第225条第1項第13号)。利益が出たかどうかにかかわらず、取引の記録は税務署に届く仕組みになっており、そのために番号が要るわけです。
条文が求めているのは「番号」であって「カード」ではない
同じ第224条の5には、番号をどう確認するかも続けて書かれています。
条文に名前が出てくるのは「住民票の写し」と「署名用電子証明書等」です。署名用電子証明書はマイナンバーカードに搭載されているものなので、カードは「早くて便利な選択肢のひとつ」として書かれているだけで、カードでなければならないとは書かれていません。
マイナンバーを証明できる書類は3つ
総務省は、マイナンバーを証明する書類として使えるものを次のように案内しています。個人番号通知書のページに、そのまま書かれています。
| 書類 | 証明書類として | 条件・注意 |
|---|---|---|
| マイナンバーカード | 使える | これ1枚で番号確認と本人確認の両方を兼ねる。スマホのIC読み取りに対応していれば手続きが最短になる |
| マイナンバー入りの住民票の写し/住民票記載事項証明書 | 使える | 発行時に「マイナンバーを記載する」と申し出る必要がある。別途、運転免許証などの本人確認書類が要る |
| 通知カード | 条件つきで使える | 令和2年5月25日に新規発行等は廃止。手元にある場合、記載された氏名・住所等が住民票と一致しているときに限り引き続き使える |
| 個人番号通知書 | 使えない | 令和2年5月25日以降に番号が付番された人へ送られる書面。番号は書かれているが、証明書類にも本人確認書類にもならない |
○「マイナンバーを証明する書類」が必要な場合には、「マイナンバーカード」をご提示いただくか、マイナンバー入りの「住民票の写し」または「住民票記載事項証明書」をご提出ください。総務省「個人番号通知書」
カードがあると、どこが速いのか
カードは必須ではありませんが、手続きの速さには差が出ます。DMM FXの場合、スマホアプリでマイナンバーカードのICチップを読み取る方法なら、書類の撮影やアップロードを挟まずに本人確認が完結し、最短即日での取引開始が案内されています(最短手続きで本人認証が完結した場合の、申込完了から登録審査完了までの時間。休業日や申込内容に不備があった場合を除く)。
住民票の写しを使う場合は、役所で発行してもらう時間が先に必要になります。急いでいないなら問題ありませんが、相場のイベント前に間に合わせたいときは、この一手間が効いてきます。日程から逆算したい場合はFXの口座開設は何日かかる?最短即日の条件と日銀会合までの逆算にまとめました。
よくあるつまずき
| つまずき | 対処 |
|---|---|
| 個人番号通知書を送って差し戻された | 証明書類として使えないため。マイナンバー入りの住民票の写しを取り直す |
| 引っ越し後の通知カードが通らない | 住民票と記載が一致しないと使えない。住民票の写しに切り替える |
| 住民票にマイナンバーが載っていない | 発行時の申し出が必要。窓口やコンビニ交付の画面で「マイナンバーを記載する」を選ぶ |
| 本人確認書類を1点しか出していない | マイナンバーカード以外で証明する場合、番号確認と本人確認は別扱い。運転免許証などが別に要る |
| 書類の片面しか提出していない | 本人確認書類は原則として両面。裏面の記載も確認対象 |
よくある質問
Q. マイナンバーを出さずにFX口座を作れますか?
A. 作れません。所得税法第224条の5第1項で、先物取引の差金等決済をする人は、その決済をする日までに氏名・住所・個人番号を業者へ告知しなければならないと定められています。会社の方針ではなく、取引をする側に課された法律上の義務です。
Q. マイナンバーカードがないと口座開設できませんか?
A. できます。条文が確認方法として挙げているのは「住民票の写し」と「署名用電子証明書等」で、カードは選択肢のひとつです。マイナンバー入りの住民票の写し、または住民票記載事項証明書でも番号を証明できます。
Q. 個人番号通知書は使えますか?
A. 使えません。総務省が「『マイナンバーを証明する書類』や『本人確認書類』としては利用できません」と明記しています。番号が記載されていても証明書類にはならず、再発行もされません。
Q. 通知カードはまだ使えますか?
A. 手元にあり、記載された氏名・住所等が住民票の記載と一致している場合に限り、引き続きマイナンバーを証明する書類として使えます。新規発行と記載変更は令和2年5月25日に廃止されているので、引っ越しや改姓をした人の通知カードは使えません。
Q. なぜFXでマイナンバーが必要なのですか?
A. FX会社には、先物取引の差金等決済について支払調書を税務署へ提出する義務があるためです(所得税法第225条第1項第13号)。利益が出ているかどうかにかかわらず取引の記録は届く仕組みで、その名寄せに個人番号が使われます。
まとめ
「マイナンバーカードを持っていないから」という理由でFXを諦める必要はありません。法律が求めているのは番号を告知することで、証明の手段は複数あります。マイナンバー入りの住民票の写しを1通取れば足ります。
逆に、番号の提出そのものを避けることはできません。これは会社の裁量ではなく条文上の義務だからです。そして個人番号通知書だけは、番号が書いてあるのに証明書類として使えない——ここでつまずく人が多いので、手元の書類がどれなのかを先に確かめてから申し込んでください。
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【出典】所得税法 第224条の5第1項(先物取引の差金等決済をする者の告知)・第225条第1項第13号(e-Gov法令検索)/総務省「個人番号通知書」/総務省「通知カード廃止後もマイナンバーカードの申請は引き続き可能です!」/DMM FX「口座開設の流れ」。必要書類の細かな運用は会社ごとに異なるため、申し込む会社の案内もあわせてご確認ください。
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