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小笠原諸島西方沖の地震M7.0、なぜ東北まで揺れた?過去19回を検証
2026年10月25日11時10分ごろ、小笠原諸島西方沖を震源とするマグニチュード(M)7.0の地震がありました。震源の深さは約470km。最大震度3は東京都小笠原村で、震源から1,000km以上離れた東北南部でも震度2を観測しました。気象庁の震度データベースから、同じ海域で起きた過去のM6.5以上の地震19回を一覧にし、「なぜ遠くが揺れるのか」を確かめました。
この記事の結論
- 地震は10月25日11時10分ごろ発生。震源は小笠原諸島西方沖、深さ約470km、M7.0。気象庁は「この地震による津波の心配はありません」と発表しました。
- 最大震度3は小笠原村(父島・母島)だけで、本州では東京都千代田区や宮城県・福島県などで震度2でした。震度1以上は16都県・412観測点です。
- 震源から約760kmの静岡県は震度1止まりなのに、約1,100km離れた宮城県丸森町は震度2。震源から遠い太平洋側が揺れる「異常震域」とみられる分布です。
- 1919年以降、小笠原諸島西方沖のM6.5以上は今回より前に19回。うち16回が深さ400km以上の深発地震で、M7以上は2015年5月30日(M8.1)以来11年ぶりです。

小笠原諸島西方沖の地震M7.0、何が起きた?気象庁の発表
気象庁は10月25日11時12分に震度速報を出し、震度3以上の地域として「小笠原」を発表しました。その後11時17分に発表した「震源・震度情報」の内容は次のとおりです。
| 項目 | 気象庁の発表 |
|---|---|
| 発生日時 | 2026年10月25日(日)11時10分ごろ |
| 震央地名 | 小笠原諸島西方沖(北緯28.0度、東経139.9度) |
| 震源の深さ | 約470km |
| 規模 | マグニチュード7.0 |
| 最大震度 | 震度3(東京都小笠原村:父島三日月山・母島) |
| 津波 | この地震による津波の心配はありません |
気象庁の発表を見ると、震度3を観測したのは小笠原村だけです。本州で最も大きかったのは震度2で、東京都千代田区や横浜市、さいたま市、千葉市、宮城県丸森町、福島県郡山市などが含まれます。
市区町村ごとに見ると、震度3が1、震度2が55、震度1が203で、合わせて259市区町村で揺れを観測しました。都県ごとの最大震度は次のとおりです。
| 都県 | 最大震度 | 震源からの距離 | 主な観測 |
|---|---|---|---|
| 東京都 | 震度3 | 約250km〜 | 小笠原村で震度3、千代田区・青ヶ島村で震度2 |
| 宮城県 | 震度2 | 約1,100km〜 | 丸森町・角田市・岩沼市で震度2 |
| 山形県 | 震度2 | 約1,130km〜 | 5観測点で震度1以上 |
| 福島県 | 震度2 | 約990km〜 | 郡山市・南相馬市などで震度2 |
| 茨城県 | 震度2 | 約870km〜 | 46観測点で震度1以上 |
| 栃木県 | 震度2 | 約920km〜 | 29観測点で震度1以上 |
| 埼玉県 | 震度2 | 約870km〜 | 65観測点で震度1以上 |
| 千葉県 | 震度2 | 約770km〜 | 66観測点で震度1以上 |
| 神奈川県 | 震度2 | 約800km〜 | 23観測点で震度1以上 |
| 青森県 | 震度1 | 約1,390km〜 | 階上町で震度1(今回もっとも遠い観測点) |
| 岩手県 | 震度1 | 約1,320km〜 | 1観測点で震度1以上 |
| 群馬県 | 震度1 | 約910km〜 | 20観測点で震度1以上 |
| 新潟県 | 震度1 | 約1,010km〜 | 1観測点で震度1以上 |
| 山梨県 | 震度1 | 約830km〜 | 2観測点で震度1以上 |
| 長野県 | 震度1 | 約900km〜 | 4観測点で震度1以上 |
| 静岡県 | 震度1 | 約760km〜 | 伊豆半島の松崎町・伊豆市で震度1 |
距離は、気象庁が発表した震央(北緯28.0度・東経139.9度)から各観測点までの地表の直線距離を当ブログで計算したもの(10km単位で四捨五入)。「〜」はその都県で最も近い観測点までの距離です。震央は0.1度単位の発表のため、数km程度の誤差があります。
なぜ東北まで揺れた?深発地震と「異常震域」
今回の地震は深さ約470kmと、とても深い所で起きた深発地震です。気象庁の「よくある質問集」は、震源が非常に深い場合、震源の真上ではほとんど揺れないのに、震源から遠く離れた太平洋側で揺れを感じることがあり、この現象が「異常震域」と呼ばれると説明しています。
原因は地球内部の岩盤の性質の違いです。日本の下には太平洋プレートなどの海洋プレートが深く沈み込んでいて、気象庁によると、この海洋プレートは地震波をあまり減衰させずに伝えやすい性質を持っています。そのため、沈み込んだプレートの深い場所で地震が起きると、真上の地表には揺れが届きにくい一方、プレートに沿って遠くまで揺れが伝わります。
距離で見ると「近い静岡が1、遠い宮城が2」
今回の412観測点について、震央からの距離を計算しました。伊豆半島の静岡県松崎町は震央から約760kmですが震度1。一方、さらに350km近く遠い宮城県丸森町(約1,100km)は震度2でした。震度1以上を観測した最も遠い地点は青森県階上町で、約1,390km離れています。
また、震度1以上を観測したのは青森県から静岡県までの東日本の16都県だけで、愛知県より西では観測されていません。揺れが震源を中心に同心円状に広がるのではなく、太平洋側に沿って北東へ延びる形になっています。
ウェザーニュースの解説
ウェザーニュースは10月25日11時35分の記事で、今回の地震について「異常震域がみられ」たと伝え、深く沈み込んだ太平洋プレートで発生したとみられること、日本海溝・伊豆・小笠原海溝の方向に揺れが伝わり青森県でも震度1を観測したことを解説しています。気象庁が今回の震度分布をどう評価したかは、10月25日時点では確認できていません。
なお、震源に近い伊豆諸島でも、東京都青ヶ島村(約500km)は震度2でした。小笠原村(約250km)は今回いちばん近い観測点で、震度3でした。
小笠原諸島西方沖の過去のM6.5以上は19回【気象庁データで集計】
気象庁の「震度データベース検索」で、震央地名が「小笠原諸島西方沖」、マグニチュード6.5以上の地震を1919年から検索しました(データベースの収録は2026年10月23日まで)。今回より前に19回あり、それぞれの観測点データから、震度1以上を観測した都道府県の数を当ブログで数えています。
| 発生日 | 深さ | M | 最大震度 | 震度1以上の都道府県数 |
|---|---|---|---|---|
| 2026/10/25(今回) | 約470km | 7.0 | 震度3 | 16 |
| 2024/04/27 | 515km | 6.7 | 震度3 | 13 |
| 2020/04/18 | 477km | 6.8 | 震度4 | 20 |
| 2015/06/23 | 484km | 6.5 | 震度4 | 11 |
| 2015/05/30 | 682km | 8.1 | 震度5強 | 47 |
| 2010/11/30 | 494km | 7.1 | 震度3 | 19 |
| 2000/08/06 | 445km | 7.2 | 震度4 | 23 |
| 1998/08/20 | 467km | 7.1 | 震度3 | 17 |
| 1996/03/17 | 471km | 6.6 | 震度2 | 8 |
| 1992/01/20 | 512km | 6.6 | 震度2 | 5 |
| 1991/05/03 | 460km | 6.6 | 震度3 | 7 |
| 1986/02/04 | 541km | 6.6 | 震度2 | 6 |
| 1978/03/16 | 280km | 6.6 | 震度4 | 6 |
| 1976/12/12 | 540km | 6.6 | 震度2 | 6 |
| 1973/02/01 | 514km | 6.7 | 震度2 | 11 |
| 1970/05/27 | 350km | 7.1 | 震度3 | 11 |
| 1968/10/08 | 460km | 7.3 | 震度3 | 13 |
| 1951/07/12 | 490km | 7.2 | 震度3 | 14 |
| 1950/07/13 | 309km | 6.7 | 震度1 | 4 |
| 1933/03/12 | 481km | 6.6 | 震度3 | 5 |
M7以上の回は黄色。今回の行は気象庁の地震情報(速報値)から、ほかは震度データベースから集計。震度観測点の数は1990年代後半に大きく増えたため、古い地震ほど都道府県数が少なく出ます。
19回中16回が深さ400km以上
19回の震源の深さは280〜682kmで、16回が400km以上でした。この海域の大きな地震は、ほとんどが沈み込んだ太平洋プレートの深い所で起きる深発地震だと分かります。今回の約470kmも、その典型的な深さです。
M7以上は2015年以来11年ぶり
M7以上は19回のうち7回(1951・1968・1970・1998・2000・2010・2015年)。最後は2015年5月30日のM8.1で、今回のM7.0は11年ぶりのM7以上です。ウェザーニュースも同じく「2015年のM8.1以来、11年ぶり」と伝えています。
揺れの広がりは「規模だけでは決まらない」
観測点が増えた1997年以降の7回と今回を比べると、震度1以上の都道府県数は多い順に47(2015年M8.1)、23(2000年M7.2)、20(2020年M6.8)、19(2010年M7.1)、17(1998年M7.1)、16(今回M7.0)、13(2024年M6.7)、11(2015年6月M6.5)でした。今回は6番目で、M6.8だった2020年より広がりは小さめです。震度2以上の都道府県数も、今回の9に対し2000年は15、2010年は16でした。
揺れの広がりは、マグニチュードに加えて震源の深さや位置、地震波の出方などでも変わるとみられ、規模の数字だけで「どこまで揺れるか」は決まりません。
小笠原より本州のほうが揺れた回も
各回の観測点を「小笠原村」と「それ以外(伊豆諸島を除く)」に分けて最大震度を比べました。小笠原村で観測があった14回のうち、小笠原村より遠い本州側のほうが大きく揺れた回が2回(2010年・1986年)、同じ震度だった回が5回ありました。2010年11月30日(M7.1、深さ494km)は、小笠原村が震度2だったのに対し、宮城県岩沼市などで震度3でした。震源に近い所ほど強く揺れるとは限らないことが、データからも確かめられます。
2015年のM8.1では全47都道府県が揺れた
同じ小笠原諸島西方沖で2015年5月30日20時23分に起きた地震は、M8.1・深さ682kmでした。震度データベースでは、小笠原村母島と神奈川県二宮町で震度5強を観測しています。震源から遠い神奈川県が、小笠原と同じ震度だったことになります。
気象庁の「よくある質問集」によると、この地震では全国47都道府県すべてで震度1以上を観測し、1885年(明治18年)の震度観測開始以来初めてのことでした。また、この地震の余震(同日21時46分、M3.6)では深さ698kmを記録し、気象庁の震源カタログで日本で一番深い地震とされています。
鳥島近海・硫黄島近海でも深い地震
同じ伊豆・小笠原の沈み込み帯では、北側の鳥島近海でも1919年以降M6.5以上が17回(うち深さ300km以上が10回)、南側の硫黄島近海で9回(同3回)ありました。2012年1月1日の鳥島近海の地震(M7.0、深さ397km)は最大震度4で、気象庁が「異常震域のあった過去の地震」の例として震度分布図を示しています。
今後の注意点:津波・余震・長周期の揺れ
今回の地震について、気象庁は「津波の心配はありません」と発表しています。稚内地方気象台の防災メモも、異常震域を生じるような深発地震で津波が発生することは「まずありません」としています。
一方で同じ防災メモは、被害の可能性がないわけではないとも指摘しています。地震の規模が大きくなれば震源から離れていても強く揺れるほか、高層ビルなどを大きくゆっくり揺らす長周期地震動の影響を受ける可能性にも留意が必要だとしています。2015年のM8.1で神奈川県が震度5強だったのは、その例といえます。
「遠いから大丈夫」とは限らない
深発地震は、震源が遠い海の底でも、関東や東北の太平洋側で揺れが大きくなることがあります。家具の固定や、揺れたら頭を守る行動は、震源の場所に関係なく役立ちます。最新の地震情報は気象庁の「地震情報」で確認できます。
気象庁の地震情報の一覧(10月25日15時8分発表分まで)を見ると、この地震のあと小笠原諸島西方沖を震源とする震度1以上の地震は発表されていません。
小笠原諸島西方沖の地震についてよくある質問
Q. 小笠原諸島西方沖の地震はいつ起きた?
A. 2026年10月25日(日)11時10分ごろです。気象庁の発表では震源の深さは約470km、マグニチュードは7.0、最大震度は東京都小笠原村の震度3でした。
Q. 津波の心配はある?
A. 気象庁は「この地震による津波の心配はありません」と発表しています。深さ数百kmの深発地震で津波が発生することは、まずないとされています。
Q. なぜ震源から遠い東北で揺れたの?
A. 深発地震では、沈み込んだ海洋プレートが地震波をあまり弱めずに遠くまで伝えるため、震源の真上より離れた太平洋側で揺れが大きくなることがあります。気象庁はこれを「異常震域」と説明しています。今回も静岡県が震度1だったのに対し、より遠い宮城県や福島県で震度2を観測しました。
Q. 小笠原諸島西方沖ではよく大きな地震が起きる?
A. 気象庁の震度データベースでは、1919年以降M6.5以上が今回より前に19回あり、16回は深さ400km以上でした。M7以上は2015年5月30日のM8.1以来11年ぶりです。
Q. 2015年の小笠原諸島西方沖の地震はどんな地震だった?
A. M8.1、深さ682kmの深発地震で、小笠原村母島と神奈川県二宮町で震度5強を観測しました。全国47都道府県すべてで震度1以上となり、1885年の震度観測開始以来初めてでした。
あわせて読みたい
出典・参考資料
- 気象庁「地震情報」震源・震度情報(2026年10月25日11時17分発表)、震度速報(同11時12分)
- 気象庁「震度データベース検索」(小笠原諸島西方沖・鳥島近海・硫黄島近海、M6.5以上、1919年〜2026年10月23日)
- 気象庁「よくある質問集(震度・マグニチュード・地震情報について)」「よくある質問集(地震について)」
- 気象庁「震央付近の場所よりも震央から離れた場所で大きな震度を観測する地震について(参考資料)」
- 稚内地方気象台「防災メモ 異常震域について」
- ウェザーニュース「小笠原諸島西方沖でM7.0の深発地震 異常震域がみられ東北でも揺れ」(2026年10月25日11時35分)
- 距離・都道府県数・観測点数は、上記の気象庁データから当ブログが集計。写真:Wikimedia Commonsのフリーライセンス画像(一部リサイズあり)


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