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ガソリン補助縮小はいつから?補助42.8円、なくなれば213円の試算
ガソリン価格を全国平均1リットル170円程度に抑えている国の補助金について、高市早苗首相が10月23日に見直しを指示し、自民党の小林鷹之政調会長も24日に「一定の見直しが必要だ」と述べました。補助が減ると店頭価格はいくら上がるのか。資源エネルギー庁の石油製品価格調査と、補助事業の公式サイトが公表する支給単価から、当サイトで計算しました。
この記事の結論
- 国は2026年3月19日から、ガソリンの全国平均価格が170円を超えないよう、超えた分を全額補助しています。10月22日からの支給単価は1リットルあたり42.8円です。
- 資源エネルギー庁の資料では、10月19日の全国平均は170.2円、補助がなかった場合の価格は213.2円です。4月20日以降の25回の調査は、すべて169.2〜170.2円の幅に収まっています。
- 報道によると、政府内では早ければ12月から毎月3円または5円程度ずつ価格を上げていく案が検討されています。原油価格と為替が今と同じなら、月5円で9か月後(2027年8月)、月3円で15か月後(2028年2月)に補助がなくなる計算です。
- 補助が全額なくなると、月40リットル給油する家庭で月1,712円、年20,544円の負担増です。補助の予算は2022年1月からの累計で9兆5,804億円にのぼります。

何があった?首相が見直しを指示、自民政調会長も「縮小が必要」
共同通信(10月24日配信)によると、自民党の小林鷹之政調会長は24日、札幌市で記者団の取材に応じ、ガソリン価格の上昇を抑える補助金について「中東情勢を受けた応急措置だ。出口を見据えた上で一定の見直しが必要だ」と述べ、縮小が必要との認識を示しました。一方、冬の電気・ガス料金の補助については「厳しい冬を迎える中、物価高の状況がある」として、実施を前向きに検討するとしています。
同じ記事によると、補助金をめぐっては高市早苗首相が23日に赤沢亮正経済産業相に見直しを指示しており、支給額の段階的な縮小や将来的な支給の取りやめを検討するとしています。
テレビ朝日系ANN(10月23日配信・24日更新)は関係者の話として、早ければ12月から補助金を縮小させ、毎月3円または5円程度ずつガソリン価格を引き上げていく案などが検討されていると伝えました。また、政府は来年1月から3月にかけて電気・ガス料金への補助を再開する方向で検討しているとも報じています。
まだ決まっていないこと
10月25日時点で、縮小の開始時期や1か月あたりの引き上げ幅、終了時期は正式に決まっていません。「12月から月3円または5円」は報道が伝えた検討案の一つです。この記事の試算は、その案を当てはめた場合の目安です。
今の補助金の仕組み:170円を超えた分を全額補助
今のガソリン補助は、資源エネルギー庁の「中東情勢を踏まえた緊急的激変緩和措置」です。3月11日の説明資料によると、ガソリンの全国平均小売価格が170円程度を超える見込みとなった場合に、170円を超える部分について10/10(全額)の補助を行う仕組みで、3月19日の出荷分から支給が始まりました。軽油・灯油・重油もガソリンと同額、航空機燃料はガソリンの補助額の一部(10月22日からは1リットル34.2円)が対象です。
補助金はガソリンスタンドではなく石油元売りなどに支給され、卸価格を下げることで店頭価格を抑えます。支給単価は毎週見直され、公式サイトの価格推移の資料には計算式が載っています。
10月22日からの支給単価の計算
今週の全国平均170.2円+前週の支給額43.0円+原油価格の変動分(−0.4円)=翌週の想定価格212.8円。ここから基準の170.0円を引いた42.8円が支給単価です。つまり、補助がなければ店頭価格は約213円になる計算です(同じ資料のグラフでは10月19日の「補助なし価格」を213.2円としています)。
7月からは、中東以外からの代替調達で元売りの調達費用が増えている分を反映する「調整単価」も加わりました(算定方法の変更資料)。10月分の調整単価は1リットル3.7円で、支給単価に含まれています。
支給単価はどう動いてきた?【公式サイトの記録から】
公式サイトのトップに掲示された支給単価を、ウェブアーカイブ(Wayback Machine)に残る記録と現在の掲示から拾いました。毎週の全件ではありませんが、原油価格の動きに応じて30円台〜50円台で上下してきたことがわかります。
| 適用開始日(2026年) | ガソリンの支給単価 |
|---|---|
| 3月19日 | 30.2円/L |
| 3月26日 | 48.1円/L |
| 4月2日 | 49.8円/L |
| 4月16日 | 35.5円/L |
| 5月14日 | 42.6円/L |
| 6月4日 | 33.3円/L |
| 10月1日 | 50.7円/L |
| 10月15日 | 43.0円/L |
| 10月22日 | 42.8円/L |
出典:緊急的激変緩和措置の公式サイトのトップページ(3月20日〜10月5日のWayback Machineの記録、10月15日の値は10月21日公表の価格推移資料の計算式、10月22日は現在の掲示)を当サイトが整理。記録が残っている週のみです。
この中では10月1日からの50.7円が最も大きく、補助がなければ店頭価格が220円前後になっていた水準です。補助が始まった3月19日の30.2円から、店頭価格は170円のままでも、国が埋めている差額は大きくなる傾向にあります。
ガソリン価格の推移:暫定税率廃止、中東情勢、そして170円の「固定」
資源エネルギー庁の石油製品価格調査(毎週月曜日調査・水曜日公表)の週次ファイルから、レギュラーガソリンの全国平均価格(現金・消費税込み)を2025年以降の節目ごとに抜き出しました。
| 調査日 | 全国平均 | この時期の出来事 |
|---|---|---|
| 2025年1月6日 | 180.6円 | 旧来の燃料油価格激変緩和対策事業の期間 |
| 2025年4月14日 | 186.5円 | 2025年の最高値 |
| 2025年6月2日 | 174.3円 | 5月22日から定額10円引下げ |
| 2025年11月10日 | 173.5円 | 補助の段階的拡充の直前 |
| 2025年12月22日 | 158.0円 | 12月11日から補助25.1円(暫定税率と同水準) |
| 2026年1月19日 | 154.7円 | 12月31日に暫定税率廃止、2025年以降の最安値 |
| 2026年3月9日 | 161.8円 | 中東情勢の変化後 |
| 2026年3月16日 | 190.8円 | 2025年以降の最高値(補助開始の直前) |
| 2026年3月30日 | 170.2円 | 3月19日から緊急的激変緩和措置 |
| 2026年7月6日 | 169.9円 | 170円程度で推移 |
| 2026年10月19日 | 170.2円 | 最新(10月21日公表) |
出典:資源エネルギー庁「石油製品価格調査」週次ファイル(10月21日公表分)。出来事の欄は補助事業の公式サイト「燃料油価格に関する支援策の推移」をもとに当サイトが記載。
2025年12月31日にガソリンの暫定税率が廃止され、2026年1月19日には154.7円まで下がりました。その後、中東情勢の変化で3月16日には190.8円と、わずか1週間で29.0円も跳ね上がりました。3月19日から今の補助が始まると価格は下がり、4月20日以降の25回の調査はすべて169.2〜170.2円。店頭価格は事実上、170円に固定されている状態です。
都道府県別:補助がなくなると沖縄は222円台に
同じ調査の都道府県別(10月19日)で、価格が高い県と低い県の5つずつに、支給単価42.8円をそのまま足した単純な試算を並べました。最も高い沖縄と最も安い宮城の差は16.6円です。
| 都道府県 | 10月19日 | 補助なしの試算 | 順位 |
|---|---|---|---|
| 沖縄 | 179.5円 | 222.3円 | 高い順1位 |
| 長崎 | 178.8円 | 221.6円 | 高い順2位 |
| 鹿児島 | 177.8円 | 220.6円 | 高い順3位 |
| 山形 | 177.5円 | 220.3円 | 高い順4位 |
| 長野 | 176.4円 | 219.2円 | 高い順5位 |
| 宮城 | 162.9円 | 205.7円 | 安い順1位 |
| 愛知 | 164.0円 | 206.8円 | 安い順2位 |
| 岩手 | 164.8円 | 207.6円 | 安い順3位 |
| 埼玉 | 164.9円 | 207.7円 | 安い順4位 |
| 兵庫 | 166.3円 | 209.1円 | 安い順5位 |
出典:資源エネルギー庁「石油製品価格調査」都道府県別(10月19日調査、10月21日公表)。北海道・沖縄は「局」の値。補助なしの試算は、補助の全額がそのまま店頭価格に上乗せされると仮定した当サイトの単純計算です。
補助は全国一律の金額なので、なくなったときの値上がり幅はどこでも同じですが、もともと高い地域ほど店頭価格の水準は高くなります。47都道府県のうち39都道府県で、単純試算の価格が210円以上になります。
月3円・5円ずつ縮小したらどうなる?価格と時期の試算【独自】
報道が伝えた「12月から毎月3円または5円程度ずつ引き上げる」案を、今の補助なし想定価格(212.8円)に当てはめました。原油価格・為替・調整単価が今と変わらないと仮定した単純な計算です。
| 時期 | 月5円ずつ | 月3円ずつ | (参考)補助の残り 月5円の場合 |
|---|---|---|---|
| 2026年12月 | 175.0円 | 173.0円 | 37.8円 |
| 2027年1月 | 180.0円 | 176.0円 | 32.8円 |
| 2027年2月 | 185.0円 | 179.0円 | 27.8円 |
| 2027年3月 | 190.0円 | 182.0円 | 22.8円 |
| 2027年5月 | 200.0円 | 188.0円 | 12.8円 |
| 2027年8月 | 212.8円 | 197.0円 | 0.0円 |
| 2027年11月 | 212.8円 | 206.0円 | 0.0円 |
| 2028年2月 | 212.8円 | 212.8円 | 0.0円 |
当サイトの試算。2026年12月から毎月1回引き上げると仮定し、補助なし想定価格(10月22日の支給単価の算定に使われた212.8円)で頭打ちとしました。実際の価格は原油価格や為替で上下します。
月5円ずつなら2027年8月、月3円ずつなら2028年2月に補助がなくなる計算です。逆にいえば、原油価格が下がれば補助なし価格も下がるため、もっと早く補助をやめられる可能性があります。反対に、原油高や円安が進めば、引き上げを続けても補助は残ります。
家計の負担はいくら増える?給油量別の試算
1か月の給油量ごとに、補助が月5円減った時点と、補助が全額なくなった時点の負担増を計算しました。給油量は当サイトが置いた仮定です。
| 月の給油量(目安) | 5円上がると (月額) |
補助ゼロで (月額) |
補助ゼロで (年額) |
|---|---|---|---|
| 20L(軽自動車で近所の買い物中心) | 100円 | 856円 | 10,272円 |
| 40L(週末ドライブ・時々の通勤) | 200円 | 1,712円 | 20,544円 |
| 80L(毎日の車通勤(地方)) | 400円 | 3,424円 | 41,088円 |
| 150L(家族で2台・長距離通勤) | 750円 | 6,420円 | 77,040円 |
当サイトの試算。負担増=給油量×値上がり幅(5円、または支給単価42.8円)。
軽自動車で近所の買い物に使う程度(月20L)なら補助ゼロでも年10,272円ですが、地方で毎日車通勤をする家庭(月80L)では年41,088円、家族で2台を使う家庭では年77,040円にのぼります。車が欠かせない地域ほど、補助縮小の影響を強く受けることになります。
軽油・灯油も同じ額の補助
今の補助は軽油・灯油・重油にもガソリンと同じ1リットル42.8円が出ています。灯油18リットル(ポリタンク1缶)に換算すると770円分です。ガソリンの補助の縮小に合わせて灯油なども縮小されるのかは、10月25日時点で報道からは確認できていません。
なぜ縮小するのか:2022年からの累計予算は9兆5,804億円
燃料油の補助は、2022年1月27日に始まった「燃料油価格激変緩和対策事業」から形を変えながら続いてきました。補助事業の公式サイトの「燃料油価格に関する支援策の推移」に載っている予算を並べると、次のとおりです。
| 予算 | 金額 |
|---|---|
| 2021年度補正予算等 | 893億円 |
| 2021年度予備費等 | 3,580億円 |
| 2022年度予備費 | 15,734億円 |
| 2022年度補正予算 | 11,655億円 |
| 2022年度第2次補正予算 | 30,272億円 |
| 2023年度補正予算 | 1,532億円 |
| 2024年度予備費 | 7,730億円 |
| 2024年度補正予算 | 10,324億円 |
| 2025年度予備費 | 7,948億円 |
| 2026年度第1次補正予算 | 6,136億円 |
| 合計(累計予算額) | 95,804億円 |
出典:緊急的激変緩和措置 公式サイト「燃料油価格に関する支援策の推移」(10月14日更新)。資料では「R3補正予算等」のように和暦で表記されています(R3=2021年度)。各項目を足すと累計額と一致することを当サイトで確認しました。色つきの2行は今の緊急的激変緩和措置の予算として資料に載っているものです。
今の措置の予算として示されているのは、2025年度予備費の7,948億円と、2026年度第1次補正予算の6,136億円の合わせて14,084億円です。支給単価が40円台の今、補助は国の財政負担が大きい状態が続いています。ANNは、首相が財政への懸念などを踏まえ見直しを検討する考えを示したと伝えています。
小林政調会長の「応急措置」「出口を見据えた」という発言も、補助を始めから期限のない制度としてではなく、中東情勢による急な値上がりへの一時的な対応として位置づけていることを示しています。一方で、冬の電気・ガス料金の補助には前向きな姿勢を示しており、家計への支援の重点を燃料油から冬の光熱費へと移す方向が議論されているとみられます。
ガソリン補助の縮小についてよくある質問
Q. ガソリン補助の縮小はいつからですか?
A. 10月25日時点で正式な開始日は決まっていません。テレビ朝日系ANNは関係者の話として、早ければ12月から縮小を始める案が検討されていると報じています。
Q. 補助がなくなるとガソリンはいくらになりますか?
A. 資源エネルギー庁の資料では、10月19日の全国平均170.2円に対し、補助がなかった場合の価格は213.2円です。支給単価の計算上の補助なし想定価格は212.8円で、原油価格や為替によって変わります。
Q. 今のガソリン補助金はいくらですか?
A. 10月22日から28日までのガソリンの支給単価は1リットルあたり42.8円です。軽油・灯油・重油も同額、航空機燃料は34.2円です。支給単価は毎週水曜日ごろに見直され、木曜日から適用されます。
Q. 灯油の補助も縮小されますか?
A. 今の措置では灯油にもガソリンと同額の補助が出ていますが、灯油の扱いがどうなるかは10月25日時点の報道からは確認できていません。冬の電気・ガス料金については、補助を前向きに検討するとの発言が出ています。
Q. なぜガソリンは170円のままなのですか?
A. 国が、全国平均小売価格が170円程度を超えないよう、超えた分を全額補助しているためです。4月20日以降の調査では、全国平均は169.2〜170.2円の間で推移しています。
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出典・参考資料
- 経済産業省 資源エネルギー庁:中東情勢を踏まえた緊急的激変緩和措置(公式サイト)、ガソリン全国平均価格の推移(PDF)、燃料油価格に関する支援策の推移(PDF)、緊急的激変緩和措置について(2026年3月11日、PDF)、支給単価の算定方法変更・調整単価の算定について(PDF)
- 資源エネルギー庁:石油製品価格調査 調査の結果(週次ファイル・都道府県別、10月21日公表)
- 共同通信:ガソリン補助縮小「必要」 自民幹部、電気ガス前向き(2026年10月24日配信、Yahoo!ニュース)
- テレビ朝日系(ANN):ガソリン補助の縮小 毎月3円や5円ずつ値上げ案も 早ければ12月から 関係者(2026年10月23日配信、Yahoo!ニュース)
支給単価の推移の表、価格の節目の抜き出し、都道府県別の補助なし試算、縮小ペースの試算、家計の負担額は、各資料をもとに当サイトが集計・計算したものです。試算は原油価格・為替が変わらないなどの仮定にもとづく目安です。内容は2026年10月25日時点の情報です。アイキャッチと本文の写真:Corpse Reviver(Wikimedia Commons、CC BY 2.0)をトリミングし、アイキャッチは文字を加えています。


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