海外地震|津波
パナマ地震で日本に津波は来る?中南米から届いた過去18回の高さ
日本時間10月10日午前2時56分、中米パナマでマグニチュード(M)7.7の地震が起きました。気象庁は「日本の沿岸では若干の海面変動があるかもしれないが、被害の心配はない」としています。太平洋の反対側で起きた地震の津波は、本当に日本まで届くのか。米海洋大気庁(NOAA)の世界津波データベースにある日本の観測記録12,953件から、中南米の地震で日本に届いた津波を全部抜き出しました。
この記事の結論
- 気象庁は10日3時37分、北海道から沖縄までの28の予報区に津波予報(若干の海面変動)を出しました。津波注意報より下の区分で、被害の心配はありません。早いところで10日20時ごろから、1日程度は小さな海面の変動が続く可能性があります。
- NOAAの記録では、1900年以降に中南米の地震で日本に津波が届いたのは18回。日本で1mを超えたのは1960年のチリ地震(M9.5、死者・行方不明者142人)と2010年のチリ地震(M8.8)の2回だけで、M8.5未満の14回はいずれも78cm以下でした。
- パナマに近いエクアドル・コロンビア・ニカラグアの地震(M7.6〜8.8)で日本に届いた津波は、最大でも28cmです。パナマ周辺のM7以上の地震で、日本に津波が記録された例はありません。
- 今回のM7.7は、地震のエネルギーで比べると1960年チリ地震の約501分の1、2010年チリ地震の約45分の1です。一方、USGSの記録では1900年以降、パナマ周辺で最大の地震で、現地では27人のけが人や建物の倒壊が報告されています。
パナマ地震M7.7の概要|日本時間10日2時56分
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 発生日時 | 日本時間 2026年10月10日(土)2時56分(現地9日12時56分) |
| 震源 | パナマ南部(コクレ県付近)、深さ12.6km |
| 規模 | M7.7(USGS)。気象庁はM8.0と発表後、M7.6に更新 |
| 余震 | M6.6(日本時間10日5時25分)、M6.0(同13時14分)など |
| 現地の被害 | 負傷者27人、死者の報告なし。ホテルや教会の倒壊、学校188校に影響(現地当局・報道、10日時点) |
| 津波 | 米国の太平洋津波警報センターが一時、パナマ周辺に津波の恐れを出したが、日本時間4時台に解除 |
| 日本への影響 | 若干の海面変動のみ。被害の心配なし(気象庁) |
USGS(us6000u18k ほか)、気象庁、共同通信・ロイター・新華社などの報道から作成。
USGSの被害推計システム(PAGER)は、揺れの強さと人口から経済的な被害を最も高い「赤」と自動判定しました。震源が深さ12.6kmと浅く、震源近くでは最大で改正メルカリ震度9相当の揺れと推定されています。パナマ運河は通常どおり運航しているとパナマ運河庁が明らかにしています。
パナマ周辺では1900年以降で最大の地震
| 発生 | 規模 | 場所 |
|---|---|---|
| 1904年1月 | M7.2 | パナマ南西沖 |
| 1934年7月 | M7.5 | パナマ・コスタリカ国境 |
| 1941年12月 | M7.5 | コスタリカ南部 |
| 1962年7月 | M7.2 | パナマ・コスタリカ国境沖 |
| 1974年7月 | M7.3 | パナマ東部 |
| 1976年7月 | M7.0 | パナマ東部 |
| 1983年4月 | M7.1 | コスタリカ南部 |
| 1991年4月 | M7.6 | コスタリカ・リモン |
| 2026年10月 | M7.7 | パナマ・コクレ県付近 |
USGS地震カタログで、北緯5〜10度・西経77〜84度の範囲のM7.0以上を検索(1900年以降)。
1991年のコスタリカ・リモン地震(M7.6)を上回り、パナマとコスタリカの周辺では1900年以降で最も大きい地震になりました。
日本に津波は来る?気象庁は「若干の海面変動」
気象庁は地震の約30分後の3時26分に「遠地地震に関する情報」を出し、3時37分には北海道から沖縄県までの太平洋側などの28の津波予報区に津波予報(若干の海面変動)を発表しました。
「若干の海面変動」は、津波注意報よりも下の区分で、気象庁は被害の心配はないとしています。ただし遠くから来る津波は、最初の波のあとも小さな波が次々と届き、長く続くのが特徴です。10日夜から11日にかけて海で釣りや作業をする場合は、急な潮位の変化に気をつけてください。
なぜ半日以上かかるのか
津波は深い海ほど速く進み、太平洋の真ん中ではジェット機並みの時速700km前後になります。それでもパナマから日本までは約1万3000km以上あるため、到達には20時間近くかかります。NOAAの記録でも、エクアドルやペルーの地震の津波は日本に19〜21時間、チリからは21〜24時間ほどで届いています。
中南米の地震で日本に届いた津波は18回|高さの一覧
NOAAの国立環境情報センター(NCEI)が公開している世界津波データベースから、日本の観測記録12,953件を取り出し、震源が日本から3000km以上離れた津波(遠地津波)に絞りました。そのうち1900年以降で震源が中南米のものは18回です。
| 地震 | 規模 | 日本での最大の高さ | 出典 |
|---|---|---|---|
| 1906年1月 エクアドル | M8.8 | 28cm | NOAA(日本の記録6地点) |
| 1906年8月 チリ | M8.2 | 17cm | NOAA(日本の記録5地点) |
| 1922年11月 チリ | M8.5 | 30cm | NOAA(日本の記録10地点) |
| 1943年4月 チリ | M8.2 | 15cm | NOAA(日本の記録5地点) |
| 1960年5月 チリ | M9.5 | 305cm | 公的記録:気象庁(北海道 釧路) |
| 1960年11月 ペルー | M6.8 | 17cm | NOAA(日本の記録7地点) |
| 1966年10月 ペルー | M8.1 | 21cm | NOAA(日本の記録13地点) |
| 1970年5月 ペルー | M7.9 | 7cm | NOAA(日本の記録13地点) |
| 1974年10月 ペルー | M8.1 | 18cm | NOAA(日本の記録26地点) |
| 1979年12月 コロンビア | M8.1 | 25cm | NOAA(日本の記録31地点) |
| 1985年3月 チリ | M8 | 19cm | NOAA(日本の記録32地点) |
| 1992年9月 ニカラグア | M7.6 | 7cm | NOAA(日本の記録1地点) |
| 1995年7月 チリ | M8 | 29cm | NOAA(日本の記録35地点) |
| 2001年6月 ペルー | M8.4 | 28cm | NOAA(日本の記録31地点) |
| 2007年8月 ペルー | M8 | 13cm | NOAA(日本の記録6地点) |
| 2010年2月 チリ | M8.8 | 128cm | 公的記録:内閣府(高知県 須崎港) |
| 2014年4月 チリ | M8.2 | 55cm | NOAA(日本の記録13地点) |
| 2015年9月 チリ | M8.3 | 78cm | 公的記録:気象庁(岩手県 久慈港) |
NOAA NCEI「Global Historical Tsunami Database」から筆者が集計。1960・2010・2015年は気象庁・内閣府の公表値(検潮所の観測値)を使用。NOAAの値は観測点の記録の最大値で、観測方法は年代によって異なる。
大きな被害が出たのは1960年のチリ地震津波
1960年5月のチリ地震(M9.5)は観測史上最大の地震で、約22時間後に日本の太平洋沿岸に津波が届きました。気象庁によると国内の死者・行方不明者は142人、北海道の釧路では305cmの津波を観測しています。2010年2月のチリ地震(M8.8)では、気象庁が青森県から宮城県の太平洋沿岸に大津波警報を出し、高知県の須崎港で128cmを観測しました。2015年9月のチリ地震(M8.3)では津波注意報が出され、岩手県の久慈港で78cmでした。
つまり、日本で注意報や警報が必要になったのは、いずれもM8.3以上のチリの地震です。チリ沖の地震は震源域が南北に長く、津波のエネルギーが太平洋を横切る向きに出やすいとされています。
M7.7はどれくらいの規模?チリ地震との比較
マグニチュードが1大きくなると、地震のエネルギーは約32倍になります。今回のM7.7を、日本に津波被害をもたらした過去の地震と比べると次のとおりです。
地震の規模が小さく、さらに中米からの津波は日本に向かう途中で弱まるため、日本での影響は小さいと考えられます。NOAAの記録では、パナマの地震で日本に津波が記録された例はなく、中米で唯一記録があるのは1992年のニカラグア地震(M7.6)の7cmです。
一方、日本の周辺で起きるM7〜8級の地震は、津波が数分〜数十分で届くため危険度がまったく違います。日ごろの備えは南海トラフ地震で個人ができる対策は?、今年前半の世界の大地震は2026年6月 世界で相次ぐ大地震まとめでまとめています。
パナマ地震の発生直後の情報(X)
ウェザーニュースは発生直後にM8.0の推定値を伝え、その後M7.6への更新と、太平洋津波警報センターによる津波情報の解除(日本時間4時40分)を続報しました。
ウェザーニュース @wni_jp・2026年10月10日 3:10【海外地震情報】
日本時間の10月10日(土)2時56分頃、海外で規模の大きな地震がありました。震源地は中米(パナマ)で、地震の規模はM8.0と推定されます。
津波発生の可能性があります。日本への津波の有無については気象庁が調査中。気象庁からの発表をお待ちください。Xで元の投稿を見る
ウェザーニュース @wni_jp・2026年10月10日 4:46<海外地震 更新>
10/10(土) 中米(パナマ) M7.6
太平洋津波警報センター(PTWC)は日本時間の4時40分に津波情報を解除しました。
これまでに津波の観測情報は入っていません。Xで元の投稿を見る
パナマ地震と津波のよくある質問
Q. パナマ地震で日本に津波は来ますか?
A. 気象庁は、日本の沿岸では若干の海面変動があるかもしれないが、被害の心配はないとしています。10月10日3時37分に、北海道から沖縄までの28の予報区に津波予報(若干の海面変動)を発表しました。津波注意報や警報は出ていません。
Q. 海面変動はいつ起きますか?
A. 気象庁によると、早いところで10月10日20時ごろからで、その後1日程度は若干の海面変動が続く可能性があります。遠くから来る津波は、最初の波のあとも小さな波が長く続くのが特徴です。
Q. 中南米の地震で日本に大きな津波が来たことはありますか?
A. あります。1960年のチリ地震(M9.5)では約22時間後に津波が届き、国内で死者・行方不明者142人が出ました。2010年のチリ地震(M8.8)でも大津波警報が出され、高知県須崎港で128cmを観測しています。ただし1900年以降の18回のうち、日本で1mを超えたのはこの2回だけです。
Q. パナマ地震の規模はどれくらいですか?
A. USGSの発表でM7.7、深さ12.6kmです。気象庁はM8.0と発表した後、M7.6に更新しました。USGSの記録では、1900年以降にパナマとコスタリカの周辺で起きた地震の中で最大です。
Q. パナマ地震の被害は?
A. 現地当局によると負傷者は27人で、死者の報告はありません(10日時点)。ホテルや教会の倒壊、道路の寸断、学校188校への影響が報じられています。在パナマ日本大使館によると、邦人の被害情報はありません。
Q. パナマ運河への影響はありますか?
A. パナマ運河庁は、運河は通常どおり運航していると明らかにしています。首都パナマ市のトクメン国際空港は一時閉鎖されましたが、安全確認のあと再開したと報じられています。
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出典・参考資料
- 米地質調査所(USGS):M 7.7 – 12 km WSW of Pitaloza Arriba, Panama、地震カタログ検索
- 米海洋大気庁(NOAA)NCEI:Global Historical Tsunami Database(日本の観測記録12,953件・津波3,136件を集計)
- 気象庁:津波警報・注意報、津波情報、津波予報、地震一口メモNo.149「遠地地震に関する情報」をご存知ですか
- 内閣府:平成22年版 防災白書「チリ中部沿岸を震源とする地震による津波」
- 現地の被害は、共同通信・ロイター・新華社・CNNなどの報道(2026年10月10日)による
内容は2026年10月10日21時30分時点の情報にもとづきます。遠地津波の抽出・集計とエネルギーの比較は筆者によるものです。最新の津波情報は気象庁の発表を確認してください。アイキャッチ画像は自作です。


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