子ども・子育て支援金は「独身税」ではなく、医療保険料のとなりに増えた1行。年収400万円の会社員なら1年で4,600円です
2026年5月の給料から、明細に「子ども・子育て支援金」という見慣れない項目が増えた人も多いはずです。「独身の人だけが払う税金」「月に数百円で終わり」「国が実質負担ゼロと言っているから損はしない」——よく聞くこの3つは、どれも半分だけ正解です。この記事では、こども家庭庁と協会けんぽの資料をもとに、支援金とは何か、いつから・いくら引かれるのか(計算方法)、子どもがいる人や育休中の扱い、そして「独身税」「実質負担ゼロ」の本当の意味までを整理します。
制度は2026年10月時点。金額の例は本サイトの単純計算です
会社と本人で半分ずつ
1年の本人負担
保険料率が上がった都道府県
給付の増加(国の計算)
結論:子ども・子育て支援金とは「全世代から子育て世帯への仕送り」
子ども・子育て支援金は、国の子育て支援の拡充(こども未来戦略「加速化プラン」)の財源の一部を、医療保険のしくみを使って、全ての世代と会社から集めるお金です。法律の上では税金ではなく、健康保険料などの一部として集める保険料です。よくある思いこみと並べると、次のとおりです。
| よくある思いこみ | 実際は |
|---|---|
| 独身の人だけが払う「独身税」 | 医療保険に入っているほぼ全員が払う保険料。子育て中の人も、75歳以上の人も、会社も払う |
| 月に数百円で終わり | ボーナスからも引かれる。会社も同じ額を払っている。2028年度に向けて額が上がる |
| 国が「実質負担ゼロ」と言うから明細は増えない | ゼロになるのは国全体の「社会保障負担率」。一人ひとりの明細の1行は増えている |
子ども・子育て支援金とは?加速化プラン3.6兆円の財源のひとつ
国は2023年12月、子育て支援を大きく広げる「こども未来戦略」を閣議決定しました。その中心が、年3.6兆円程度の施策をまとめた加速化プランです。財源は、既存の予算の活用などで1.5兆円、社会保障の歳出改革で1.1兆円、そして残りの1.0兆円を子ども・子育て支援金でまかなう設計です。
支援金は一度に1兆円を集めるのではなく、3年かけて段階的に増えていきます。
| 年度 | 支援金の総額 | 医療保険の加入者1人あたり(平均・月額) |
|---|---|---|
| 2026年度 | 概ね6,000億円 | 約250円 |
| 2027年度 | 概ね8,000億円 | 約350円 |
| 2028年度 | 概ね1兆円 | 約450円 |
子ども・子育て支援金はいつから?2026年4月分の保険料=5月の給料から天引き
支援金は2026年4月分の保険料から集められています。会社員の健康保険料は、原則として前月分を翌月の給料から天引きするため、多くの人は2026年5月の給料から明細に反映されました。国民健康保険と後期高齢者医療制度の人は、4月分から対象ですが、実際に徴収が始まる時期は市区町村や広域連合によって違います。
- 2024年6月子ども・子育て支援法などの改正法が成立支援金制度が法律で決まりました(2024年法律第47号)。
- 2026年3月協会けんぽの健康保険料率を改定(3月分から)医療の分の保険料率が、全国平均で10.0%から9.9%に下がりました。引き下げは34年ぶりです。
- 2026年4月4月分の保険料から支援金を拠出会社員は支援金率0.23%。国民健康保険・後期高齢者医療は自治体などの条例で決まります。
- 2026年5月会社員は5月の給料から天引きボーナスからも同じ率で引かれます。
- 2026年10月国民年金の育児期間の保険料免除が開始支援金が充てられる6つ目の給付です(後半で説明)。
- 2028年度支援金の総額が1兆円に加入者1人あたり平均で月約450円の見込みです。
子ども・子育て支援金はいくら引かれる?計算方法は「標準報酬月額×0.23%÷2」
会社員など、協会けんぽ・健康保険組合・共済組合に入っている人の計算はとても単純です。国が示す一律の支援金率(料率)0.23%を、標準報酬月額にかけ、それを会社と本人で半分ずつ負担します。
ボーナスは、標準賞与額 × 0.23% ÷ 2。1,000円につき1円15銭と覚えると計算しやすくなります。
標準報酬月額とは、毎月の給料(通勤手当や残業代も含む)を、きりのいい区切りに当てはめた額のことです。健康保険料や厚生年金保険料と同じものさしで、原則として4〜6月の給料の平均で決まり、9月から1年間使われます。たとえば月給が25万円以上27万円未満なら、標準報酬月額は26万円です。
本サイトの読者を想定した、架空の会社員Aさんで計算してみます。
| 計算 | Aさんの支援金 | |
|---|---|---|
| 毎月の給料 | 標準報酬月額26万円 × 0.23% = 598円 → その半分 | 299円 |
| ボーナス(1回) | 標準賞与額44万円 × 0.23% = 1,012円 → その半分 | 506円 |
| 1年分 | 299円 × 12か月 + 506円 × 2回 | 4,600円(月にならすと約383円) |
| 会社の負担 | 本人と同じ額(明細には出ない) | 4,600円 |
年収別の目安は、こども家庭庁の試算で次のとおりです。年収(毎月の給料とボーナスの合計)に0.23%をかけ、12で割って半分にした額です。
| 年収 | 本人の支援金(月額・2026年度) | 1年分(目安) |
|---|---|---|
| 200万円 | 192円 | 約2,300円 |
| 400万円 | 384円 | 約4,600円 |
| 600万円 | 575円 | 約6,900円 |
| 800万円 | 767円 | 約9,200円 |
| 1,000万円 | 959円 | 約1万1,500円 |
子ども・子育て支援金は給与明細のどこ?表示は義務ではない
明細の控除の欄に「子ども・子育て支援金」などの項目があれば、そこが支援金です。ただし、支援金を健康保険料と分けて書くことは、法令上の義務ではありません。こども家庭庁は事業主向けのリーフレットで、義務ではないとしたうえで、給与明細に内訳を書く取り組みへの「理解・協力」をお願いしています。
そのため、会社によっては支援金の項目がなく、健康保険料にまとめて表示されていることもあります。項目が見つからなくても、引かれていないわけではありません。上の計算式(標準報酬月額×0.115%)で目安を出せます。
子ども・子育て支援金の対象者は?子供がいる場合・育休中・扶養家族
支援金を払うのは、公的医療保険に入っているほぼ全員と会社です。独身かどうか、子どもがいるかどうか、年齢では決まりません。
| ケース | 支援金は? |
|---|---|
| 独身の会社員 | 払う(会社と半分ずつ) |
| 子育て中の会社員 | 払う(同じ率)。育児休業中・産休中は健康保険料と同じく免除 |
| 会社員に扶養されている家族 | 本人とは別には払わない(保険料は働いている人の給料で決まるため) |
| 自営業・フリーランス(国民健康保険) | 払う。金額は市区町村の条例で決まる。高校生年代までの子どもの「均等割」は全額軽減 |
| 75歳以上(後期高齢者医療) | 払う。金額は広域連合の条例で決まる |
| 会社 | 払う(従業員本人と同じ額) |
| 海外赴任中の会社員 | 日本の健康保険に入っていれば払う |
2026年度の平均額は、会社員(協会けんぽ・健康保険組合・共済組合)で被保険者1人あたり月約500円、国民健康保険で1世帯あたり月約300円、後期高齢者医療で1人あたり月約200円と試算されています。
結局いくら増えた?健康保険料率は34年ぶりに下がったが、40都道府県で合計は上昇
実は2026年度は、協会けんぽの医療の分の保険料率が、全国平均で10.0%から9.9%に下がりました(2026年3月分から)。引き下げは34年ぶりです。そこに支援金の0.23%が4月分から加わるので、「結局、合計は上がったのか下がったのか」は都道府県によって変わります。協会けんぽの47都道府県すべてで計算した結果が次の表です。
| 都道府県 | 健康保険料率 (2025→26年度) |
+支援金0.23% (ポイント) |
合計 |
|---|---|---|---|
| 長崎県 | 10.41% →10.06% |
-0.12 | 下がった |
| 新潟県 | 9.55% →9.21% |
-0.11 | 下がった |
| 山梨県 | 9.89% →9.55% |
-0.11 | 下がった |
| 宮崎県 | 10.09% →9.77% |
-0.09 | 下がった |
| 徳島県 | 10.47% →10.24% |
±0 | 同じ |
| 福井県 | 9.94% →9.71% |
±0 | 同じ |
| 佐賀県 | 10.78% →10.55% |
±0 | 同じ |
| 三重県 | 9.99% →9.77% |
+0.01 | 上がった |
| 山口県 | 10.36% →10.15% |
+0.02 | 上がった |
| 福岡県 | 10.31% →10.11% |
+0.03 | 上がった |
(新潟・山梨・長崎・宮崎)
(福井・徳島・佐賀)
(東京は+0.17ポイント)
本人負担の増加(1年)
先ほどのAさん(東京都)の場合、健康保険料率は9.91%から9.85%に下がったので、本人の健康保険料は1年で約1,200円安くなりました。一方で支援金が4,600円加わるので、差し引き1年で約3,400円の負担増です。
2027年度・2028年度はいくら?年収400万円で月650円ほどの見込み
支援金の総額は2028年度に1兆円まで増えるため、一人ひとりの額も上がっていきます。こども家庭庁は、2022年度の賃金水準で機械的に計算した参考値として、2028年度の会社員の本人負担を次のように示しています。
| 年収 | 2026年度(月額) | 2028年度(国の参考・月額) |
|---|---|---|
| 200万円 | 192円 | 350円 |
| 400万円 | 384円 | 650円 |
| 600万円 | 575円 | 1,000円 |
| 800万円 | 767円 | 1,350円 |
| 1,000万円 | 959円 | 1,650円 |
子ども・子育て支援金は独身税なのか?払う人と受け取る人で見ると
「独身税」は正式な名前ではなく、ネットなどで広まった呼び名です。払う人で見れば、独身の人だけが払うわけではないので、この呼び名はまちがいです。一方で受け取る人で見ると、話が変わります。
| 払う | 受け取る | |
|---|---|---|
| 独身の人 | 払う | 直接はない |
| 子育て世帯 | 払う | 6つの子育て給付 |
| 高齢者 | 払う | 直接はない |
国は、子どもたちが成長して将来の社会保障の担い手になるので、子育てを支える制度は全ての人にメリットがある、と説明しています(こども家庭庁FAQ Q6)。一方で、「保険は自分のリスクに備えるものではないのか」「医療保険で集めたお金を子育てに使ってよいのか」という疑問もよく出ます。こども家庭庁のFAQ自体が、Q9・Q10でこうした疑問を取り上げています。
「実質負担ゼロ」とはどういう意味?ゼロになるのは国全体の負担率
政府は「支援金の導入による実質的な負担は生じない」と説明しています。ここでゼロになるのは、あなたの明細ではありません。国全体の社会保障負担率という割合です。
医療・介護の歳出改革で分子(社会保険料)を小さくし、賃上げで分母(国民所得)を大きくする。そうして下がった割合の範囲内で支援金を集める——改正法の附則47条に、この考え方が書かれています。
こども家庭庁と厚生労働省の資料では、2023年度から2026年度までの歳出改革などで、社会保険の負担を0.60兆円程度軽くしたとしています。2026年度の支援金の総額も、その範囲内の0.60兆円とされています。ただし、数え方にはルールがあります。
| 2026年度の項目 | 扱い | 金額 |
|---|---|---|
| 薬価の改定など | 軽減として数える | ▲0.21兆円 |
| 高額療養費の見直しなど | 軽減として数える | ▲0.09兆円 |
| 診療報酬の改定(一部) | 負担増として数える | +0.14兆円 |
| 医療・介護で働く人の賃上げ・物価への対応 | 計算から除く | +0.59兆円 |
つまり「実質負担ゼロ」は、国全体の割合が上がらないようにするという意味です。一人ひとりの明細の支援金が増えない、という約束ではありません。こども家庭庁もFAQ(Q12)で、医療費や介護費は高齢化などで毎年増えていて社会保険料には上昇圧力がかかるため、実際の社会保険料の動きは一概には言えないと説明しています。
子ども・子育て支援金は何に使われる?6つの子育て給付
集めた支援金は特別会計で、ほかのお金と分けて管理されます。法律で決まった子育て施策以外に使うことはできません。充てられるのは次の6つです。
| 給付 | 中身 | 開始 |
|---|---|---|
| 児童手当の拡充 | 所得制限なし・高校生年代まで延長・第3子以降は月3万円・年6回支給 | 2024年10月分〜 |
| 妊婦のための支援給付 | 妊娠届出時に5万円+妊娠後期に子ども1人につき5万円 | 2025年度〜 |
| 出生後休業支援給付 | 両親とも14日以上の育休で、最大28日間・手取り10割相当 | 2025年度〜 |
| 育児時短就業給付 | 2歳未満の子を育てる時短勤務で、賃金の原則10% | 2025年度〜 |
| こども誰でも通園制度 | 保育所などに通っていない0歳6か月〜2歳の子が月10時間まで利用 | 2026年度に全国で |
| 国民年金の育児期間の保険料免除 | 第1号被保険者の父・母が、子が1歳になるまで免除 | 2026年10月分〜 |
このうち国民年金の育児期間の保険料免除は、2026年10月1日に始まったばかりです。自営業やフリーランスなど国民年金の第1号被保険者は、所得に関係なく、子どもが1歳になるまで保険料(2026年度は月1万7,920円)が免除されます。お父さんも対象で、免除期間も保険料を払ったものとして年金額に反映されます。届け出が必要で、ほかの免除や猶予を受けている人も原則としてあらためて手続きが要ります。
こども家庭庁の計算では、支援金で増える給付は子ども1人あたり高校生年代までの合計で約146万円、もともとの児童手当と合わせると約352万円です。一方、払う側は医療保険の加入者1人あたり平均で月約450円(2028年度)で、国は「19年間の単純合計で約10万円」と示しています。払うのは働いているあいだ、受け取るのは子育てのあいだ、という違いがあるので、単純に比べられるものではない点には注意が必要です。児童手当の具体的な総額は児童手当は何月生まれが得?誕生月別の総額早見表で計算しています。
自分の子ども・子育て支援金を確かめる3つの方法
- 1毎月の給与明細を見る控除の欄に「子ども・子育て支援金」などの項目があるか。なければ健康保険料にふくまれています。
- 2標準報酬月額×0.115%で計算する標準報酬月額が26万円なら299円、30万円なら345円が目安です。
- 3ボーナスの明細も見る賞与からも同じ率で引かれます。冬のボーナスの明細で確認してみてください。
国民健康保険の人は、市区町村から届く保険料の通知書に、支援金の分が書かれています(欄の名前や徴収が始まる時期は市区町村で違います)。給与明細の健康保険料・厚生年金・雇用保険の内訳は社会保険料はどこへ行く?額面30万円で消える月4万4,070円の内訳で詳しく解説しています。
子ども・子育て支援金のよくある質問
Q. 子ども・子育て支援金はいつから引かれますか?
A. 2026年4月分の保険料から集められています。会社員は、多くの場合2026年5月の給料から天引きされています。国民健康保険・後期高齢者医療の人は、徴収が始まる時期が市区町村や広域連合によって違います。
Q. 子ども・子育て支援金の料率はいくらですか?
A. 2026年度の会社員(協会けんぽ・健康保険組合・共済組合)の支援金率は、全国一律の0.23%です。会社と本人で半分ずつ負担するので、本人の分は標準報酬月額の0.115%です。
Q. 子ども・子育て支援金の計算方法は?
A. 会社員は「標準報酬月額×0.23%÷2」です。ボーナスは「標準賞与額×0.23%÷2」で計算します。年収400万円なら、1年で約4,600円が目安です。
Q. ボーナス(賞与)からも引かれますか?
A. はい。健康保険料や厚生年金保険料と同じく、賞与からも支援金を拠出します。
Q. 子供がいる場合も支援金を払いますか?
A. 払います。子育て世帯も同じ率で負担したうえで、児童手当などの給付を受け取るしくみです。国民健康保険では、高校生年代までの子どもの均等割が全額軽減されます。
Q. 独身税は何歳から払いますか?
A. 「独身税」という税金はありません。子ども・子育て支援金は年齢や結婚の有無ではなく、医療保険に入っている人が払います。会社員に扶養されている家族は、本人とは別には払いません。75歳以上の人も後期高齢者医療を通じて払います。
Q. 育休中も支援金はかかりますか?
A. 会社員の育児休業中・産前産後休業中は、健康保険料や厚生年金保険料と同じく、支援金も免除されます。
Q. 給与明細に支援金の項目がありません。払っていないのですか?
A. 支援金を健康保険料と分けて書くことは法令上の義務ではないため、健康保険料にまとめて表示している会社もあります。項目がなくても、健康保険料にふくまれて引かれています。
Q. 「実質負担ゼロ」なら払わなくてもいいのですか?
A. 払わなくてよいわけではありません。実質負担ゼロは、国全体の社会保障負担率が上がらないようにするという意味で、支援金は医療保険料と一緒に集められます。払わなければ保険料の滞納と同じ扱いになります。
・こども家庭庁「子ども・子育て支援金制度について」ページを見る/「子ども・子育て支援金制度の概要」(2025年12月26日)PDFを見る
・こども家庭庁「年収別の支援金額の試算(令和8年度)」PDFを見る/「子ども・子育て支援金に関する試算(医療保険加入者一人当たり平均月額)」PDFを見る
・こども家庭庁「支援金制度の概要(FAQ形式)」ページを見る/「事業主の皆様へ」(2026年3月)PDFを見る
・厚生労働省「こども未来戦略における社会保険負担の軽減に向けた取組」PDFを見る
・全国健康保険協会(協会けんぽ)「令和8年度の協会けんぽの保険料率は3月分(4月納付分)から改定されます」ページを見る
・日本年金機構「国民年金保険料の育児期間の免除制度」ページを見る/こども家庭庁「児童手当制度のご案内」ページを見る
※47都道府県の合計の変化・Aさんの金額は、上記の資料をもとに本サイトが計算したものです。


コメント