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和歌山の大雨はなぜ?1時間68ミリで10月記録、26日も注意
10月25日、和歌山県北部で非常に激しい雨が降り、和歌山市と湯浅町で1時間68.0ミリを観測しました。気象庁は線状降水帯直前予測とレベル4土砂災害危険警報を発表しました。なぜここまで降ったのか、どこまで記録的だったのか。気象庁のアメダスの値を自分で集計し、10月の平年値や2017年の台風第21号と比べました。
この記事の結論
- 大雨の原因は、西日本にのびる前線に、台風第30号の周りの暖かく湿った空気が流れ込んだことです。台風第30号は25日21時に東シナ海で温帯低気圧に変わり、26日も前線上の低気圧として影響しています。
- 25日は和歌山・湯浅・清水の3地点で、1時間・3時間・6時間の雨量が計7項目、10月の1位を更新しました。一方、48時間の雨量は、2017年10月の台風第21号のときの3〜6割にとどまりました。
- 湯浅は10月1〜25日の雨量が261.0ミリと、10月1か月の平年値(168.0ミリ)の155%にすでに達しました。和歌山も133%です。
- 26日も和歌山県では雷を伴った激しい雨の所がある見込みで、気象庁は雨雲が発達・停滞すれば再び警報級の大雨になる可能性があるとしています。

10月25日の和歌山県で何が起きた?警報と雨の流れ
気象庁が発表した警報・危険警報・気象防災速報(防災情報XML)を時刻順に並べると、25日の大雨は午前9時台から午後2時台までの約5時間に集中していたことが分かります。
- 24日 5時21分御坊市・美浜町に大雨警報24日朝にも前線の雨が強まり、湯浅は24日1日で97.0ミリ(日降水量)を観測しました。警報は同日7時53分までに注意報へ切り替わっています。
- 25日 9時42分和歌山市にレベル3大雨警報その後、紀の川市・岩出市・海南市・橋本市・有田市などへ広がり、警報が出た市町村等は最大15に達しました。和歌山市では10時3分までの1時間に68.0ミリを観測しています。
- 25日 10時58分線状降水帯直前予測(和歌山県北部)「今後3時間以内に線状降水帯が発生し、非常に激しい雨が同じ場所で降り続く可能性が高まっています」という気象防災速報です。
- 25日 11時6分レベル4土砂災害危険警報紀美野町と有田川町(吉備金屋・清水)に発表。11時32分に有田市・湯浅町、12時33分に広川町・由良町が加わりました。湯浅では12時5分までの1時間に68.0ミリを観測しました。
- 25日 14時前由良町・広川町に避難指示WBS和歌山放送によると、由良町全域の2,516世帯4,752人と、広川町津木地区の332世帯724人に避難指示が出ました。
- 25日 14時22分危険警報をすべて解除雨のピークは前線とともに南へ移り、14時51分には大雨警報もすべて注意報に切り替わりました。
- 25日 21時台風第30号が温帯低気圧に東シナ海で温帯低気圧に変わりました(中心気圧1000hPa、北北東へ毎時20km)。26日朝の時点では前線上の低気圧として九州の西を北東へ進んでいます。
「レベル4土砂災害危険警報」とは
2026年5月29日から気象庁の防災気象情報が新しくなり、以前の「土砂災害警戒情報」はレベル4土砂災害危険警報、大雨警報はレベル3大雨警報という名前になりました。レベル4は、市町村が避難指示を出す目安です。今回は危険警報が出ていた時間が約3時間と短く、雨が短時間に集中したことを表しています。
和歌山の大雨はなぜ起きた?前線と台風第30号の湿った空気
和歌山地方気象台が25日11時48分に出した「和歌山県気象解説情報(大雨)」は、原因を次のように説明しています。前線が東シナ海から西日本を通って日本の東にのびていて、そこへ台風や台風から変わった温帯低気圧、太平洋高気圧の周りを北上する暖かく湿った空気が流れ込み、前線の活動が活発になる、というものです。
25日の台風第30号は東シナ海にあり、和歌山からは遠く離れていました。台風の雨雲そのものではなく、台風などが送り込んだ湿った空気によって、前線の上で雨雲が次々に発達した形とみられます。同じ情報には「北部では、土砂災害の危険度が当初の予想を上回って急激に高まっています」とも書かれており、予想より強い雨だったことがうかがえます。
「台風から変わった低気圧の雨」は26日の話
台風第30号が温帯低気圧に変わったのは25日21時です。25日昼の大雨の時点では、まだ台風でした。26日は、台風から変わった前線上の低気圧が九州を通って四国の南へ進む見込みで、近畿では引き続き前線の活動が活発になるとみられます。
どこが記録的?10月の1位を更新した3地点・7項目
気象庁の「観測史上1位の値 更新状況」(10月25日分)で近畿2府4県と三重県の地点を抜き出すと、更新は和歌山県の3地点・7項目でした。いずれも「10月の1位」の更新で、通年の観測史上1位を塗り替えた地点はありません。
| 地点 | 項目 | 25日の値 | これまでの10月の1位 |
|---|---|---|---|
| 和歌山 | 1時間降水量 | 68.0ミリ(10:03まで) | 45.5ミリ(2012年10月17日) |
| 湯浅 | 1時間降水量 | 68.0ミリ(12:05まで) | 49.5ミリ(2010年10月9日) |
| 清水 | 1時間降水量 | 46.5ミリ(12:19まで) | 38ミリ(2004年10月20日) |
| 和歌山 | 3時間降水量 | 79.0ミリ(10:40まで) | 71ミリ(2001年10月10日) |
| 湯浅 | 3時間降水量 | 122.5ミリ(13:50まで) | 86ミリ(1981年10月8日) |
| 清水 | 3時間降水量 | 93.0ミリ(14:10まで) | 79ミリ(2004年10月20日) |
| 湯浅 | 6時間降水量 | 125.0ミリ(16:50まで) | 107.5ミリ(2017年10月22日) |
気象庁「観測史上1位の値 更新状況(10月25日)」より。値は速報値。和歌山の1時間雨量は1933年から、3時間以上の雨量は1976年からの統計です。
和歌山市の68.0ミリは10月の記録を20ミリ以上更新
和歌山(和歌山市)のこれまでの10月の1時間雨量の1位は、2012年10月17日の45.5ミリでした。今回の68.0ミリはそれを22.5ミリ上回りました。ただし、通年の1位は2009年11月の122.5ミリで、それには届いていません。湯浅の68.0ミリも、通年の1位(2023年の83.5ミリ)には届いていません。
前日の24日には、三重県紀北町の紀伊長島で1時間89.5ミリを観測し、10月の1位(75ミリ)を更新していました。26日6時10分現在、近畿・三重で10月の1位を更新した地点はありません。
雨量を平年と比較:和歌山・湯浅は10月の平年をもう超えた
気象庁「過去の気象データ」から、和歌山県の主なアメダス7地点と大阪・奈良の2026年10月の日降水量を取得し、10月1〜25日の合計を10月1か月の平年値(1991〜2020年)と比べました。単位はミリです。
| 地点 | 24日 | 25日 | 25日の最大1時間 | 10月1〜25日 | 10月の平年値 | 平年比 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 湯浅(湯浅町) | 97.0 | 126.5 | 68.0 | 261.0 | 168.0 | 155% |
| 清水(有田川町) | 40.0 | 110.5 | 46.5 | 209.0 | 188.9 | 111% |
| 和歌山(和歌山市) | 65.0 | 84.0 | 68.0 | 214.0 | 160.8 | 133% |
| 龍神(田辺市) | 27.0 | 84.5 | 43.0 | 233.5 | 227.4 | 103% |
| 川辺(日高川町) | 51.0 | 62.5 | 40.5 | 181.0 | 199.1 | 91% |
| かつらぎ(かつらぎ町) | 22.0 | 78.0 | 40.5 | 142.0 | 149.8 | 95% |
| 高野山(高野町) | 13.0 | 69.5 | 30.5 | 139.0 | 203.3 | 68% |
| 大阪(大阪市) | 27.0 | 14.5 | 12.5 | 78.0 | 136.0 | 57% |
| 奈良(奈良市) | 20.0 | 22.5 | 14.5 | 76.5 | 134.7 | 57% |
黄色は、10月1〜25日の雨量がすでに10月1か月の平年値を超えた地点。日降水量は0時〜24時の値(速報値を含む)。平年値は気象庁「最新の気象データ」のCSVに収録された10月の平年値で、和歌山・湯浅は平年値ページでも確認しました。
湯浅は25日間で10月平年の155%
湯浅は24日に97.0ミリ、25日に126.5ミリと2日続けてまとまった雨になり、10月1〜25日で261.0ミリに達しました。10月の平年値168.0ミリの約1.5倍です。和歌山(和歌山市)も214.0ミリで平年値の133%、清水・龍神を合わせた4地点が、月末を待たずに10月の平年値を上回りました。
一方で大阪は78.0ミリ(57%)、奈良は76.5ミリ(57%)で、近畿全体が大雨だったわけではありません。雨は和歌山県北部、特に有田地方に集中していました。
2017年の台風第21号と比べると?短時間は記録級、総量は3〜6割
10月の24時間・48時間雨量の1位を調べると、和歌山県のほとんどの地点が2017年10月22〜23日の値でした。和歌山地方気象台の気象速報によると、台風第21号と前線による大雨で、湯浅では48時間に348.5ミリを観測し、紀の川市では土砂崩れで死者が出ています。
| 地点 | 今回の48時間雨量 | 10月の48時間の1位 | 1位に対する割合 |
|---|---|---|---|
| 湯浅 | 223.0 | 348.5(2017年) | 64% |
| 清水 | 150.5 | 349.0(2017年) | 43% |
| 和歌山 | 149.0 | 338.5(2017年) | 44% |
| かつらぎ | 100.0 | 292.0(2017年) | 34% |
今回の48時間雨量は、気象庁「最新の気象データ」の26日の最大値(26日0時30〜50分までの48時間、26日6時10分現在)。単位はミリ。
今回の湯浅の48時間雨量は223.0ミリで、2017年の64%でした。1時間・3時間の雨は10月の記録を塗り替えた一方、雨の総量は2017年に及んでいません。短い時間に一気に降るタイプの大雨だったため、レベル4の危険警報も約3時間で解除されたとみられます。ただ、短時間の強い雨は低い土地の浸水や中小河川の急な増水を起こしやすく、総雨量が少なくても油断はできません。
JR阪和線・きのくに線などの運転見合わせと被害

WBS和歌山放送の10月25日18時45分の記事によると、JR西日本では25日午前10時前から運転見合わせが広がり、阪和線の和泉砂川〜和歌山、和歌山線の高田〜和歌山、紀勢線(きのくに線)の紀伊田辺〜和歌山と和歌山市〜和歌山で運転を見合わせました。阪和線は午後4時半すぎ、和歌山線などは午後6時前後に再開しましたが、紀勢線の御坊〜和歌山は同記事の時点で再開のめどが立っていませんでした。和歌山電鉄貴志川線も午前10時すぎから午後1時すぎまで全線で運転を見合わせました。
同じ記事によると、和歌山県のまとめでけが人などの情報はなく、県北部の県道7か所が冠水で通行止め、田辺市内でおよそ160軒が停電しました。紀の川市の「青洲まつり」、有田市の「紀文まつり」など、イベントの中止も相次ぎました。
26日朝の運行状況
26日6時44分にJR西日本の列車運行情報(近畿エリア)を確認した時点では、雨による運転見合わせの表示はなく、表示されていたのは播但線の保守工事による運休だけでした。ただし26日も激しい雨が予想されているため、出かける前にJR西日本の運行情報や各社の公式発表を確認してください。
26日の和歌山・近畿の雨はいつまで?気象庁の見通し
和歌山地方気象台が26日6時1分に出した気象解説情報では、和歌山県は26日夜遅くにかけて大気の状態が不安定で、局地的に雷を伴った激しい雨が降る見込みです。予想される雨量は次のとおりです。
- 26日の1時間雨量(多い所):北部40ミリ、南部40ミリ
- 26日6時から27日6時までの24時間雨量(多い所):北部100ミリ、南部120ミリ
- 近畿全体(大阪管区気象台):近畿北部80ミリ、近畿中部100ミリ、近畿南部120ミリ(同じ24時間)
気象庁は「雨雲が予想より発達したり停滞した場合には、26日夜遅くにかけて、再び警報級の大雨となる可能性があります」としています。北部では26日夜遅くまで土砂災害に、県内全域で低い土地の浸水や河川の増水に十分注意が必要です。25日の雨で地盤が緩んでいる所では、前日より少ない雨でも土砂災害の危険度が上がりやすくなります。
府県天気予報(26日5時発表)では、和歌山県の降水確率は北部・南部とも26日18時までが90%、18〜24時も80%です。27日は南部を中心に未明まで雨が残り、午後は高気圧に覆われておおむね晴れる見込みです。
いま確認したい3つのこと
①キキクル(危険度分布)で自宅周辺の色を確認する(紫=レベル4相当は避難の目安)。②崖の近くや谷の出口に住んでいる人は、明るいうちに避難先と経路を決めておく。③市町村から出る避難情報と、気象庁の危険警報を合わせて確認する。
和歌山の大雨についてよくある質問
Q. 和歌山の大雨はなぜ起きた?
A. 西日本にのびる前線に、台風第30号や太平洋高気圧の周りから暖かく湿った空気が流れ込み、前線の活動が活発になったためです。台風第30号は25日21時に温帯低気圧に変わりました。
Q. 和歌山市の1時間68ミリはどれくらい記録的?
A. 10月の1時間雨量としては1933年からの統計で1位です。これまでの10月の1位は2012年10月17日の45.5ミリでした。通年の1位は2009年11月の122.5ミリです。
Q. レベル4土砂災害危険警報はどこに出た?
A. 25日に紀美野町、有田川町(吉備金屋・清水)、有田市、湯浅町、広川町、由良町に発表され、14時22分にすべて解除されました。2026年5月までの「土砂災害警戒情報」にあたる情報です。
Q. 26日も大雨になる?
A. 和歌山県では26日夜遅くにかけて局地的に雷を伴った激しい雨が降る見込みで、26日6時から24時間の雨量は多い所で北部100ミリ、南部120ミリの予想です。雨雲が発達・停滞すれば、再び警報級の大雨になる可能性があります。
Q. 線状降水帯は発生した?
A. 気象庁は25日10時58分に和歌山県北部に線状降水帯直前予測を出しましたが、26日7時時点で、和歌山県で線状降水帯の発生を伝える気象防災速報は確認できませんでした。
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出典・参考資料
- 気象庁「観測史上1位の値 更新状況(10月25日)」、「最新の気象データ(降水量)」(2026年10月26日6時台に取得)
- 気象庁「過去の気象データ検索 日ごとの値」(2026年10月、和歌山県のアメダス7地点・大阪・奈良)、「平年値(和歌山)」
- 気象庁「防災情報(和歌山県の気象解説情報・気象防災速報)」、警報・危険警報の発表状況(気象庁防災情報XML)、台風第30号の情報
- 気象庁「新たな防災気象情報の運用について」(2025年12月16日)
- 和歌山地方気象台「平成29年10月20日から23日にかけての台風第21号と前線による大雨と暴風について」
- WBS和歌山放送ニュース「和歌山県北部で大雨、警報や避難指示など(午後6時半まとめ)」(2026年10月25日)
- 写真:Wikimedia Commonsのフリーライセンス画像(一部リサイズ。アイキャッチはIndiana jo「川辺橋の上から紀ノ川を眺める」・CC BY-SA 4.0を明るさ調整し文字を追加)


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