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中国の幼稚園で247人が鉛中毒、責任者はなぜ無期懲役?基準の2680倍
中国北西部・甘粛省天水市の私立幼稚園で、園児247人の血液から異常な濃度の鉛が見つかった事件で、甘粛省の蘭州市中級人民法院は2026年10月16日、幼稚園の実質的な責任者に無期懲役を言い渡しました。執行園長は懲役15年、調理担当の4人は懲役8年〜6年です(一審)。省の調査報告によると、袋に「食用不可」と書かれた顔料を蒸しパンなどの生地に混ぜ、1年あまり子どもに出していました。判決の中身と法律の仕組み、報告書の数字から見える鉛の濃さ、日本との違いを整理します。
この記事の結論
- 蘭州市中級人民法院は10月16日、天水市麦積区の褐石培心幼稚園の実質的な責任者に無期懲役(政治的権利の終身剥奪、個人財産50万元の没収)、執行園長に懲役15年(罰金30万元)、調理担当の4人に懲役8年〜6年(罰金)を言い渡しました。罪名は「有毒・有害食品の生産・販売罪」です。
- 裁判所は「情状が特に重い」と認めました。中国の刑法では、この段階になると刑の幅は懲役10年以上・無期懲役・死刑です。
- 2025年7月の省の調査報告によると、幼稚園は「食用不可」と書かれた顔料をネットで買い、生地に混ぜていました。保存されていた食品(保存食)の鉛は1kgあたり1,340mgと1,052mgで、中国の基準(0.5mg)の2,680倍と2,104倍でした。
- 報告書に載った園児7人の血中鉛は15.3〜44.0μg/dL。米CDCの参照値(3.5μg/dL)の4.4〜12.6倍、日本の妊婦約9.7万人の中央値(0.61μg/dL)の25〜72倍にあたります(当サイト計算)。
- 病院では、うち2人の検査結果が低い数値に書き換えられていたことも報告書で明らかになっています。
人数・濃度は甘粛省委省政府調査組の通報(2025年7月20日、新華網)、判決は央視網(10月16日)より。倍率は当サイトの計算です。
天水の幼稚園鉛中毒事件、判決の内容は?
中国国営の央視網(CCTV)と新華社によると、判決の内容は次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 判決日・裁判所 | 2026年10月16日午後、甘粛省蘭州市中級人民法院(一審・公開宣告) |
| 罪名 | 有毒・有害食品の生産・販売罪(中国刑法144条)。6人全員に成立し、「情状が特に重い」と認定 |
| 幼稚園の実質的な責任者(投資者) | 無期懲役、政治的権利の終身剥奪、個人財産50万元の没収 |
| 執行園長 | 懲役15年、罰金30万元 |
| 調理担当の4人 | 懲役8年〜6年、それぞれ罰金 |
| 裁判所の認定 | 管理者2人が食品安全の法規に反し、調理担当に有毒・有害な非食品原料を食品へ混ぜるよう指示・手配し、園児と教職員に食べさせ、重大な結果を招いた |
新華社の英語版は、顔料を混ぜた目的を「食べ物を色鮮やかで魅力的に見せ、園の宣伝に使うため」と伝えています。2025年7月の省の調査報告も、園長が園児募集の魅力を高めるために、投資者の同意を得て顔料の購入を指示し、できあがった食品の写真や動画を微信(WeChat)のグループなどで発信していたとしています。
今回は一審の判決です。中国の刑事裁判は二審制のため、被告側が上訴すれば甘粛省高級人民法院で審理されます。10月18日時点で、当サイトは上訴の有無を確認できていません。
「情状が特に重い」で刑の幅はどう変わる?
有毒・有害食品の罪は、中国の刑法144条で結果の重さに応じて3段階に分かれています。
| 段階 | 条件 | 刑の幅 |
|---|---|---|
| 基本 | 食品に有毒・有害な非食品原料を混ぜた、または知りながら売った | 懲役5年以下+罰金 |
| 重い | 健康に重大な害を与えた、その他の重い情状 | 懲役5年以上10年以下+罰金 |
| 特に重い(今回) | 死亡させた、その他の特に重い情状 | 懲役10年以上・無期懲役・死刑+罰金または財産没収(141条を準用) |
責任者への無期懲役は、この最も重い段階の中で死刑の次に重い刑です。中国の刑法57条は、無期懲役や死刑を言い渡すときは政治的権利を終身奪うと定めており、判決の「政治的権利の終身剥奪」はこれに基づくものです。
一方、調理担当の4人は懲役8年〜6年で、この段階の下限(10年)を下回っています。刑法27条は、共同犯罪で従属的な役割だった「従犯」の刑を軽くすると定めていますが、判決が4人をどう位置づけたのか、量刑の理由の詳細は報道では明らかになっていません。
なぜ食べ物に鉛が?省の調査報告でわかった経緯
事件の経緯は、甘粛省が設けた省委・省政府の調査組が2025年7月20日に出した通報に詳しく書かれています。報告書の記述をもとに時系列で整理します(氏名は省略)。
- 2024年初め園長が顔料の購入を指示園児募集の魅力を高めようと、食べ物の色を鮮やかにすることを考え、投資者の同意を得て調理担当に顔料の購入を指示しました。
- 2024年4月23日ネット通販で1回目の購入2025年2月20日にも購入し、黄・赤・緑の顔料を計3.1kg買いました。
- 2024年5月〜顔料入りの食品を提供袋に「食用不可」とはっきり書かれていたにもかかわらず、調理担当が生地に混ぜ、玉米入りのソーセージロールと三色のなつめ蒸しパンを作りました。平均で月6回、園児と教職員に出していました。
- 2025年7月1日警察が幼稚園を調査調理担当2人が責任逃れのため、残った顔料を隠しました。7月3日、警察が顔料7袋(計959g)を押収しました。
- 2025年7月12日省が調査組を設置省委・省政府の主要な責任者が組長となり、教育・公安・衛生・市場監督などの部門が参加。国の部門の専門家も加わりました。
- 2025年7月20日調査結果を公表6人を逮捕、2人を刑事拘留、3人を取保候審(保釈に近い措置)としたことを公表しました。
- 2026年10月16日一審判決蘭州市中級人民法院が6人に懲役6年〜無期懲役を言い渡しました。
買った顔料と鉛の量
| 色 | 購入量 | 価格(100gあたり) | 押収品の鉛の含有量(1kgあたり) |
|---|---|---|---|
| 黄色 | 1,200g | 6.12元 | 209,890.63mg |
| 赤色 | 1,000g | 6.12元 | 5.96mg |
| 緑色 | 900g | 6.88元 | 13.71mg |
報告書(公安部鑑定センターの鑑定)より作成。
目立つのは黄色の顔料です。1kgあたり209,890.63mgということは、重さの約21%が鉛という計算になります。緑の顔料(13.71mg)の約15,309倍です。単純に掛け算すると、2回の購入で買った黄色顔料1.2kgには約252g、押収された57gにも約12gの鉛が含まれていたことになります(当サイト計算。実際に食品に使われた量はわかりません)。
園の保存食を検査すると、玉米入りソーセージロールから1kgあたり1,340mg、三色なつめ蒸しパンから1,052mgの鉛が見つかりました。中国の食品の汚染物質の国家基準(GB 2762-2022)が定める上限は0.5mgで、それぞれ2,680倍、2,104倍です。保存食19検体のうちこの2品以外と、現場の食材36検体は基準内でした。こね機や製麺機に残った粉からも1kgあたり65.4mgの鉛が出ています。
「安いから」ではなかった
報告書によると、この幼稚園は以前、天然の野菜・果物の粉(食用色素)を100gあたり5.04元で買って使っていました。顔料は6.12〜6.88元で、食用色素より約21%高いものでした。それでも使い比べて「顔料のほうが鮮やか」と判断し、切り替えていたといいます。費用削減ではなく、見た目のために食品ではないものを選んでいたことになります。顔料3色の購入額は合計で約197元でした(当サイト計算)。
調査組は、周辺の大気・地下水・土壌や、約1.8km離れた鉛・亜鉛の積み替え施設、2006年に別の鉛中毒事件を起こした精錬所の跡地なども調べ、環境からの鉛汚染はなかったと結論づけています。また、同じ投資者が関わる別の3つの幼稚園の食事なども検査しましたが、鉛はすべて基準内で、検査を受けた園児407人の血中鉛も正常でした。
血中鉛はどれくらい高かった?国際基準・日本と比べて検証
調査報告は、園児247人それぞれの血中鉛濃度は公表していません。ただ、事件が発覚する前の2024年5月〜2025年6月に、地元の天水市第二人民病院で検査を受けて異常が出た園児7人の数値と、園長自身の数値が載っています。これを国際的な目安や日本のデータと並べてみました。
中国の報告書は血液1リットルあたり(μg/L)、WHOや米国は1デシリットルあたり(μg/dL)で書くため、10で割ってそろえています。
単位はμg/dL。園児と園長は調査報告、中国の分級は中国疾病予防管理センターの「児童の高鉛血症と鉛中毒の分級と処理原則」、WHOとCDCの値はWHOのファクトシート、日本は環境省の資料(エコチル調査)より。
| 検査値 (μg/L) |
μg/dL | 中国の分級 | CDC参照値 の何倍 |
日本の妊婦 中央値の何倍 |
|---|---|---|---|---|
| 440.14 | 44.0 | 中度鉛中毒 報告書では103μg/Lに書き換え |
12.6倍 | 72倍 |
| 292.37 | 29.2 | 中度鉛中毒 報告書では42.37μg/Lに書き換え |
8.4倍 | 48倍 |
| 284.90 | 28.5 | 中度鉛中毒 | 8.1倍 | 47倍 |
| 251.08 | 25.1 | 中度鉛中毒 | 7.2倍 | 41倍 |
| 176.65 | 17.7 | 高鉛血症 | 5.0倍 | 29倍 |
| 161.68 | 16.2 | 高鉛血症 | 4.6倍 | 27倍 |
| 153.39 | 15.3 | 高鉛血症 | 4.4倍 | 25倍 |
中国の分級は本来「2回続けて静脈血で測った値」で判定します。ここでは報告書の1回の値を当てはめた目安です。倍率は当サイト計算。
7人のうち3人が「高鉛血症」(100〜199μg/L)、4人が「中度鉛中毒」(250〜449μg/L)の範囲にあたります。中国の処理原則では、中度以上になると、体から鉛を出す薬を使う「駆鉛治療」の対象です。最も低い園児でも15.3μg/dLで、米国疾病対策センター(CDC)が2021年から使う参照値3.5μg/dL(米国の1〜5歳の子どものうち上位2.5%にあたる値)の4.4倍、最も高い園児は44.0μg/dLで12.6倍でした。
WHOは「安全と言える血中鉛濃度はない」としたうえで、3.5μg/dLほどの低い濃度でも子どもの知能の低下や学習の問題と関連しうると説明しています。また、幼い子どもは大人に比べて、口から入った鉛を最大4〜5倍吸収するとしています。園長(大人)の数値も16.9μg/dLあり、同じものを食べた子どもは、より多くの鉛を取り込んでいた可能性があります。
病院が結果を書き換え、省の検査機関も測定を誤っていた
報告書は、検査の段階での問題も指摘しています。天水市第二人民病院では、7人のうち2人の結果が292.37μg/Lから42.37μg/Lへ、440.14μg/Lから103μg/Lへと書き換えられていました。表に当てはめると、1人は「中度鉛中毒」から「基準未満」に、もう1人は「中度鉛中毒」から「高鉛血症」に見える数値です。1人の子どもは2024年11月に初めて異常が出たあと半年でさらに5回異常値が出ており、同じ園の子どもが7人続けて異常値だったのに、園への連絡などはされていませんでした。
さらに、2025年7月2〜3日に園児と教職員の血液267検体を測った甘粛省疾病予防管理センターでは、試料を混ぜたあと2時間40分も置いたため血漿と血球が分かれ、上の血漿だけを測る誤りがあり、結果が実際と大きく異なっていたとされています。
園児の98%、教職員の82%に異常
最終的に、在園していた園児251人のうち247人(98.4%)、教職員34人のうち28人(82.4%)で血中鉛が異常でした。247人には7月8日以降の再検査で見つかった14人が含まれます。すでに卒園した子ども72人のうち検査を受けた70人では、5人に異常がありました。
2025年7月20日正午の時点で、247人全員が入院治療か自宅での栄養指導を受け、入院した235人のうち234人が1回目の治療を終えて退院しています。治療後の血中鉛は治療前より平均40.21%下がったと報告されています。省は専用の基金を設け、治療費を無料にするとしています。
なぜ無期懲役?2008年のメラミン粉ミルク事件と比べると
中国では、食品に有害物質を混ぜる事件に重い刑が科されてきました。代表的なのが、2008年に発覚した粉ミルクへのメラミン混入事件です。
| 項目 | メラミン粉ミルク事件 | 天水の幼稚園鉛中毒事件 |
|---|---|---|
| 一審判決 | 2009年1月、石家荘市中級人民法院 | 2026年10月16日、蘭州市中級人民法院 |
| 被害 | WHOの資料で乳児6人が死亡、約30万人が入院 | 園児247人・教職員28人が血中鉛異常(報告書・判決報道に死亡の記載なし) |
| 最も重い刑 | 死刑2人(うち1人は有毒食品の生産・販売罪)。2009年11月に執行 | 無期懲役1人 |
| 企業・施設のトップ | 乳業大手の元会長に無期懲役(偽物・粗悪品の生産・販売罪) | 実質的な責任者に無期懲役(有毒・有害食品の生産・販売罪) |
メラミン事件は新華社の判決記事(平江県政府サイト転載)、最高人民法院の死刑核准の報道(中山法院網)、WHO INFOSAN戦略計画より。
メラミン事件では、原乳にメラミンを混ぜて売った人物が有毒食品の罪で死刑になりました。この罪の最も重い段階は、当時から「死刑まで」です。今回は死者が報告されていない中で、園の責任者に無期懲役が言い渡されました。
条文も変わっています。1997年の刑法144条では、最も重い段階は「死亡させた、または健康に特に重大な害を与えた」場合でした。2011年の刑法改正(刑法修正案8)で、「死亡させた、またはその他の特に重い情状」に改められ、基本の段階からも拘留(短期の自由刑)や罰金だけの刑がなくなっています。死亡などの被害の結果に限らず、「情状」によって最も重い段階を適用できる形になっています。
人民日報系の人民網の評論(10月16日)は、判決を受けて、学校の食品安全と未成年者の食品安全を重点分野として、食品安全犯罪を厳しく罰する姿勢を強調しています。
行政側も17人を立件、10人を問責
調査報告は、幼稚園だけでなく行政の責任も問いました。地元の教育局が無許可のまま園児を募集していた幼稚園を放置し、市場監督の担当者が投資者から接待や商品券を受けていたことなどを挙げ、規律検査・監察機関が教育局・市場監督局の5人、省疾病予防管理センターの7人、市第二人民病院の5人の計17人を立件して調べるとしました。さらに、省衛生健康委員会の主任、天水市の党委書記と市長ら10人を問責の対象にしています。
日本の子どもは大丈夫?日本の血中鉛と食品のルール
日本人の血中鉛は平均1μg/dL程度以下
食品安全委員会は2021年の評価で、日本人の平均的な血中鉛濃度を「1μg/dL程度あるいはそれ以下」としています。そのうえで、疫学研究で何らかの影響が示唆される1〜2μg/dLに近いため、鉛を減らす取り組みを続ける必要があると結論づけました。
環境省のエコチル調査では、妊婦9万6,696人の血中鉛の中央値が0.61μg/dL、上位5%の境目(95パーセンタイル)でも1.11μg/dLでした(環境省資料)。天水の園児7人の15.3〜44.0μg/dLは、この中央値の25〜72倍です。年齢も測り方も違うため単純には比べられませんが、桁が違うことはわかります。
中国全体の子どもでは、低・中所得国34か国の研究を集めたEricsonら(2021年)の推計で、2019年の平均血中鉛は4.17μg/dL(34か国中22番目の高さ)、5μg/dLを超える子どもは約1.06億人とされています。WHOによると、鉛へのばく露が原因とされる死者は2023年に世界で350万人を超えました。
日本では食品に使える着色料が決まっている
日本の食品衛生法は、厚生労働省の説明のとおり、国が指定した添加物(指定添加物)と、既存添加物・天然香料・一般飲食物添加物しか食品に使えない仕組みです(食品衛生法12条)。有毒・有害な物質を含む食品の販売も禁じています(6条)。
違反した場合の罰則は3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金(81条)で、法人には1億円以下の罰金が科されます(88条)。人にけがをさせれば刑法の罪が別に問われる可能性はありますが、食品の法律そのものの上限は、死刑まである中国の刑法144条と大きく違います。
鉛塗料の規制は「なし」に分類
WHOのデータベース(GHO)では、法的拘束力のある鉛塗料の規制がある国は94か国(WHOのファクトシートでは2024年1月時点で48%)。中国は「あり」ですが、日本は「なし」の70か国に含まれています。今回の事件は塗料ではなく顔料ですが、WHOは鉛塗料を世界的な主なばく露源とし、顔料も鉛が使われる製品に挙げています。
家庭や園でできること
- 食べ物に色を付けるときは「食用」のものを:キャラ弁やお菓子作りで色を付けるときは、食品添加物として売られている食用色素を使い、工作用の絵の具や顔料、「食品に使えない」と書かれたものは使わない。
- 海外の陶磁器・おもちゃ・伝統薬などに注意:WHOは、鉛が顔料・塗料のほか、陶磁器のうわぐすり、おもちゃ、一部の伝統的な化粧品や薬にも使われているとしています。
- 気になる症状があれば医療機関へ:中国の処理原則では、子どもの鉛中毒は腹痛・便秘・貧血・落ち着きのなさなど、はっきりしない症状のことがあるとしています。
中国から日本に輸入される食品の検査で、どんな違反が見つかっているかは中国産野菜は危ない?輸入検査の違反率を国別に比べてわかったことで詳しく集計しています。
天水の幼稚園鉛中毒事件のよくある質問
Q. 天水の幼稚園鉛中毒事件の判決はいつ、どんな内容でしたか?
A. 2026年10月16日、甘粛省の蘭州市中級人民法院が一審判決を言い渡しました。幼稚園の実質的な責任者に無期懲役(政治的権利の終身剥奪、個人財産50万元の没収)、執行園長に懲役15年(罰金30万元)、調理担当の4人に懲役8年〜6年(罰金)です。罪名は有毒・有害食品の生産・販売罪です。
Q. なぜ園児の食べ物に鉛が入ったのですか?
A. 省の調査報告によると、園児募集の魅力を高めようと食べ物の色を鮮やかにするため、袋に「食用不可」と書かれた顔料をネットで買い、蒸しパンなどの生地に混ぜていました。2024年5月から平均で月6回出していたとされています。黄色の顔料は重さの約21%が鉛でした。
Q. 何人が被害を受けましたか?
A. 在園していた園児251人のうち247人、教職員34人のうち28人で血中鉛が異常でした。すでに卒園した子どもでも、検査した70人のうち5人に異常がありました。調査報告や判決の報道に、死亡の記載はありません。
Q. 血中鉛はどのくらいの値でしたか?
A. 報告書に載った園児7人の病院での検査値は15.3〜44.0μg/dLで、米CDCの参照値(3.5μg/dL)の4.4〜12.6倍、日本の妊婦約9.7万人の中央値(0.61μg/dL)の25〜72倍でした。中国の基準に当てはめると、3人が高鉛血症、4人が中度鉛中毒の範囲です。
Q. 中国では食品に有害物質を混ぜるとどんな刑になりますか?
A. 刑法144条で3段階に分かれ、基本は懲役5年以下、健康に重大な害を与えた場合などは5年以上10年以下、死亡させた場合や「その他の特に重い情状」があれば懲役10年以上・無期懲役・死刑です。2008年のメラミン粉ミルク事件では、この罪で死刑判決が出ています。
Q. 日本で同じことをするとどうなりますか?
A. 日本の食品衛生法では、国が認めた添加物以外は食品に使えず、有害な物質を含む食品の販売も禁止です。違反すると3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金(法人は1億円以下の罰金)です。人にけがをさせた場合は、刑法の罪が別に問われる可能性があります。
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出典・参考資料
- 央視網(CCTV):甘肃天水幼儿园铅中毒案一审宣判(2026年10月16日)
- 新華社:Kindergarten head sentenced to life imprisonment over lead poisoning of 247 children in NW China(2026年10月17日)
- 甘粛省委省政府調査組:天水市麦積区褐石培心幼稚園の幼児血中鉛異常問題の調査処置状況に関する通報(2025年7月20日、新華網)
- 中華人民共和国刑法(刑法修正案11まで反映した統合版、上海市発展改革委員会掲載PDF)
- 中国疾病予防管理センター:児童高鉛血症和鉛中毒分級和処理原則
- WHO:Lead poisoning(ファクトシート)、Global Health Observatory「Legally-binding controls on lead paint」、INFOSAN Secretariat Strategic Plan 2020–2025
- Our World in Data「Mean lead concentrations in the blood of children」(Ericson et al. 2021)
- 食品安全委員会:「鉛」の評価書に関する情報/環境省:エコチル調査の資料(妊婦の血中鉛濃度)
- 食品衛生法(e-Gov法令検索)/厚生労働省:食品添加物
- メラミン事件:新華社「三鹿問題粉ミルク系列刑事事件一審判決」(2009年1月22日、平江県政府転載)、中山法院網(2009年11月25日)
- 人民網「人民锐评:严惩不贷!」(2026年10月16日)
- 全国人民代表大会:刑法修正案(八)(2011年2月25日)
血中鉛の単位換算・倍率、顔料の鉛の割合、購入額などの計算は当サイトによるものです。被告・関係者の氏名は掲載していません。アイキャッチ写真:天水市麦積区の渭河大橋=Liuxingy/Wikimedia Commons(CC BY-SA 4.0)。トリミング・ナンバープレートのぼかし・文字入れあり。


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