台湾を旅行していて、道端に赤い封筒(紅包/ホンバオ)が落ちているのを見かけても、「ラッキー」と思って拾ってはいけない——そんな言い伝えがあることをご存じでしょうか。日本ではお年玉やご祝儀を連想する赤い封筒ですが、台湾では場合によって、まったく違う意味を持つことがあります。
この記事では、なぜ台湾で落ちている赤い封筒を拾ってはいけないと言われるのか、その背景にある「冥婚(めいこん)」という風習と、赤い封筒が持つ本来の意味を、文化として敬意をもって解説します。
赤い封筒(紅包)とは?本来はおめでたいもの
中華圏で「紅包(ホンバオ)」と呼ばれる赤い封筒は、本来お祝いごとにお金を包んで贈るための、縁起の良いものです。赤色は幸運や魔除けを象徴する色とされ、旧正月のお年玉、結婚のご祝儀、開店祝いなど、さまざまな慶事で使われます。
つまり赤い封筒そのものは、決して不吉なものではありません。問題になるのは、「道端に落ちている」赤い封筒という、特殊な状況なのです。

なぜ落ちている赤い封筒を拾ってはいけないのか
台湾には、道に置かれた赤い封筒が「冥婚(めいこん)」の相手を探すために置かれたものである、という言い伝えがあります。これが「拾ってはいけない」と言われる最大の理由です。
「冥婚」とは何か
冥婚とは、亡くなった人のために行う結婚の儀式のことです。台湾では古くから、若くして未婚のまま亡くなった女性の家族が、その霊が寂しくないように、あるいは供養のために、生きている男性と結婚させるという風習が伝えられてきました。
この相手を見つける方法の一つが、お金や故人の情報などを入れた赤い封筒を道に置き、それを拾った男性を「縁のある相手」とみなすというものだとされます。言い伝えでは、封筒を拾うと故人の家族が現れ、冥婚を申し込まれる——とされているのです。
あくまで「言い伝え」として
もちろん、これは古くからの風習や都市伝説として語られるもので、現代の台湾で日常的に行われているわけではありません。現在では冥婚そのものが減っているともいわれます。それでも、「落ちている赤い封筒には手を出さない」という感覚は、台湾の人々の間で今も一種の常識として共有されています。

赤い封筒以外にも?台湾の言い伝え
台湾には、赤い封筒のほかにも、故人や霊にまつわるさまざまな風習・タブーがあります。特に旧暦7月の「鬼月(グイユエ)」は、あの世の門が開き霊が現れるとされる期間で、この時期には次のようなことを避ける習慣があるといわれます。
- 夜遅くに出歩かない、口笛を吹かない
- 水辺(海や川)に近づきすぎない
- 肩を叩かれても軽々しく振り向かない
- 他人の名前を大声で呼ばない
これらは科学的な根拠というより、故人を敬い、目に見えないものへの畏れを大切にする文化の表れです。その土地の風習を知ることは、旅をより深く楽しむことにもつながります。

旅行者が知っておきたいマナー
台湾を旅する際、こうした風習を知っておくと、現地の文化への理解が深まります。
- 道に落ちている物、特に赤い封筒には手を出さない:現地の言い伝えを尊重しましょう。
- お寺や廟(びょう)では静かに、敬意をもって振る舞う。
- 現地の風習やタブーを頭から否定しない:文化の違いとして受け止める姿勢が大切です。
異国の風習には、その土地の歴史や人々の価値観が凝縮されています。「不思議だな」と感じることも、敬意をもって受け止めれば、旅の忘れられない学びになります。

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まとめ|赤い封筒は文化への敬意を教えてくれる
台湾で落ちている赤い封筒を拾ってはいけないと言われるのは、それが「冥婚」の相手を探すために置かれたものだという言い伝えがあるためです。赤い封筒自体は本来おめでたいものですが、道端に落ちている場合は別の意味を持つとされます。
これはあくまで古くからの風習・言い伝えですが、その背景には故人を敬い、目に見えないものを畏れる台湾の文化があります。旅先の風習を知り、敬意をもって接することが、その国をより深く理解する第一歩になるでしょう。
よくある質問(FAQ)
Q. なぜ台湾で落ちている赤い封筒を拾ってはいけないのですか?
その封筒が「冥婚(亡くなった人のための結婚)」の相手を探すために置かれたもの、という言い伝えがあるためです。拾った男性が故人の結婚相手とみなされ、家族から冥婚を申し込まれるとされ、台湾では手を出さないのが一種の常識とされています。
Q. 冥婚とは何ですか?
若くして未婚のまま亡くなった人のために行う結婚の儀式です。台湾では、故人の霊が寂しくないように、または供養のために、生きている人と結婚させる風習が古くから伝えられてきました。相手探しに赤い封筒が使われるとされます。
Q. 赤い封筒はもともと不吉なものなのですか?
いいえ。赤い封筒(紅包)は本来、お年玉やご祝儀などお祝いごとにお金を包む縁起の良いものです。赤は幸運や魔除けの色とされます。不吉とされるのは「道端に落ちている」という特殊な状況の場合だけです。
Q. 台湾旅行で気をつけるべき風習はほかにありますか?
旧暦7月の「鬼月」には、夜遅くの外出や口笛、水辺に近づくことなどを避ける習慣があるといわれます。いずれも故人を敬い目に見えないものを畏れる文化の表れで、旅行者は現地の風習を尊重する姿勢が大切です。


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