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新東名でシカと衝突後に追突事故、なぜ車外が危ない?高速の統計で解説
10月17日の深夜、愛知県新城市の新東名高速道路の上り線で、シカとぶつかって路側帯に止まっていた乗用車にトラックが追突し、車の外に出ていた20代の女性が亡くなりました。高速道路では、車の外にいる人がはねられる事故は件数こそ少ないものの、起きれば6件に1件が死亡事故になるほど危険なことが、警察庁の統計から分かります。事故の経過と統計、動物とぶつかったときの正しい避難の仕方をまとめます。
この記事の結論
- 10月17日午後11時50分ごろ、新東名高速の上り線(愛知県新城市)で、シカとぶつかって路側帯に寄せて止まっていた乗用車に、後ろからトラックが追突しました。押し出された乗用車に、車外に出ていた20代の女性がはねられ、亡くなりました。
- 警察はトラックを運転していた千葉県の46歳の男を過失運転致傷の疑いで現行犯逮捕し、CBCテレビによると容疑を過失運転致死に切り替えて調べています。
- 警察庁の統計で2015〜2025年の高速道路の事故を集計すると、人がはねられた事故(人対車両)は863件で、そのうち143件(16.6%)が死亡事故でした。約6件に1件で、追突事故(0.71%)の約23倍です。
- 路肩や路側帯に止まった車への追突も、11年で298件起きています。路側帯に寄せても、車のそばは安全な場所ではありません。
- 国土交通省の資料では、NEXCO中日本の高速道路で動物の死がいを処理した件数(ロードキル)は2024年度に約7,700件(1日約21件)。うちシカ・クマ・イノシシなどの大型動物は約600件でした。
- 動物とぶつかったら、ハザードランプをつけ、運転者も同乗者も車より後方のガードレールの外側へ避難し、そこから110番・非常電話・#9910で通報する、というのがNEXCO中日本の呼びかけです。
高速道路の件数は警察庁の交通事故統計(e-Stat)の表4-2-4・表5-2-4から当サイトが集計。死亡事故の割合は「死亡事故件数÷人身事故件数」です。ロードキルは国土交通省「高速道路会社の落下物処理件数」より。
新東名のシカ衝突後の追突事故、何が起きた?
FNNプライムオンライン(東海テレビ)、CBCテレビ、メ〜テレ、中日新聞の報道をもとに、10月18日時点で分かっていることをまとめます。報道によって時刻や場所の表現が少しずつ違うため、出典を添えています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 発生 | 2026年10月17日(土)午後11時50分ごろ(FNN・CBC・メ〜テレ)。中日新聞は、当事者からの110番が午後11時55分ごろとしています |
| 場所 | 愛知県新城市の新東名高速道路 上り線(東京方面)。FNNは「新城市徳定のトンネル入口付近」、CBCは「雁峰第一トンネル付近」、中日新聞は「岡崎東IC―長篠設楽原PA間」と伝えています |
| きっかけ | 乗用車がシカと衝突して停車。FNN・メ〜テレによると、乗用車は路側帯に寄せて止まっていました |
| 追突 | 乗っていた20代の男女2人が車から降りていたところ、後続のトラック(CBCは大型トラック)が乗用車に追突。追突のはずみで押し出された乗用車に女性がはねられました |
| 被害 | 女性はその場で死亡が確認されました(CBCは、事故からおよそ1時間半後と報道)。男性にけがはありませんでした |
| 男性の説明 | 警察の聴き取りに「シカと車がぶつかった」(FNN)、「事故の直前にシカとぶつかった」(メ〜テレ)と話しているということです |
| 逮捕 | トラックを運転していた千葉県の46歳の男を過失運転致傷の疑いで現行犯逮捕。CBCによると、容疑を過失運転致死に切り替えて調べています |
| 通行止め | 上り線の岡崎東IC―新城IC間で18日午前0時45分ごろから通行止め(中日新聞)。チバテレ+プラス(TraffiClip)によると、18日午前8時25分時点で解除されました |
つまり、最初のシカとの衝突では誰もけがをしていませんでした。命に関わったのは、その後に止まっていた車が後ろから追突され、車の外にいた人が巻き込まれたことです。高速道路で「最初の事故やトラブルの後に起きる事故」は二次事故と呼ばれ、NEXCO各社が繰り返し注意を呼びかけています。
まだ分かっていないこと(10月18日時点)
トラックがなぜ止まっている乗用車に気づけなかったのか、2人が車外のどこにいたのか、ハザードランプや発炎筒などで停止を知らせていたのかは、報道では明らかになっていません。警察が事故の原因を詳しく調べています。この記事では、個別の責任についての推測はしません。

なぜ車の外が危ないのか?高速で人がはねられると6件に1件が死亡事故
警察庁は、高速道路(高速自動車国道と指定自動車専用道路)で起きた事故を「事故類型」ごとに毎年公表しています。2015〜2025年の11年分について、人身事故の件数と、そのうち死亡事故になった件数を比べました。
高速道路の事故のうち死亡事故の割合(2015〜2025年の合計)。人対車両は863件中143件、車両単独は5,217件中753件、車両相互は70,379件中701件、追突は54,829件中388件、路肩に止まった車への追突は298件中6件。警察庁 表4-2-4・表5-2-4から当サイトが計算。
高速道路の事故全体では、死亡事故になる割合は2.1%です。ところが人がはねられた事故(人対車両)では16.6%に跳ね上がります。高速道路で最も多い追突事故(0.71%)と比べると、約23倍です。人対車両は件数では事故全体の1.1%にすぎませんが、死亡事故では9.0%を占めます。防護柵などにぶつかる車両単独の事故(14.4%)も高い値ですが、人対車両はそれをも上回り、警察庁の大きな3分類(人対車両・車両相互・車両単独)の中で最も高くなっています。
理由は単純で、高速道路を走る車の速度では、生身の人がはねられたときに受ける力が大きすぎるからです。車に乗っていればシートベルトや車体が衝撃を受け止めますが、車の外にいる人にはそれがありません。
11年間の推移:毎年7〜21件の死亡事故
| 年 | 人対車両の事故 | うち死亡事故 | 死亡事故の割合 |
|---|---|---|---|
| 2015年 | 106件 | 16件 | 15.1% |
| 2016年 | 98件 | 16件 | 16.3% |
| 2017年 | 88件 | 9件 | 10.2% |
| 2018年 | 73件 | 13件 | 17.8% |
| 2019年 | 71件 | 13件 | 18.3% |
| 2020年 | 49件 | 13件 | 26.5% |
| 2021年 | 66件 | 21件 | 31.8% |
| 2022年 | 67件 | 7件 | 10.4% |
| 2023年 | 83件 | 11件 | 13.3% |
| 2024年 | 94件 | 13件 | 13.8% |
| 2025年 | 68件 | 11件 | 16.2% |
| 合計 | 863件 | 143件 | 16.6% |
警察庁 表4-2-4「高速道路における事故類型別交通事故件数の推移」、表5-2-4「高速道路における事故類型別死亡事故件数の推移」(いずれも2025年版)。2025年の高速道路の死者は140人(表5-1-2)。
統計の「人対車両」は、さらに「故障修理中」(11年で死亡事故5件)、「路上作業中」(同25件)、「その他」(同113件)に分かれます。路上作業中には、工事や事故処理の作業中の人も含まれます。その他が大半を占めますが、統計からは、事故や故障の後に車を降りた人がどれだけ含まれるかまでは分かりません。
今回の事故は統計上どう数えられる?
今回は、トラックが止まっている乗用車に追突し、押し出された乗用車が人に当たった形と報じられています。警察の統計でこれが「人対車両」になるのか「止まっている車への追突」になるのかは、当事者の扱いによって変わり、現時点では分かりません。上の数字は、高速道路で車の外にいることの危険の大きさを示す目安として見てください。
路側帯に寄せても「車のそば」は安全ではない
今回の乗用車は、路側帯に寄せて止まっていたと報じられています。それでも追突は起きました。統計でも、路肩(路側帯)に止まった車への追突は2015〜2025年に298件、そのうち死亡事故が6件あります。死亡事故になる割合は2.0%で、追突全体(0.71%)の約3倍です。
NEXCO中日本は2026年7月の資料で、同社が管理する高速道路の2025年の死亡事故21件のうち、本線上に止まった車や車外に出た人に後続車が追突する形の事故が約5割を占めたとしています。同社の「事故・故障が発生!」のページは、「車内は安全地帯ではありません」と書き、後続車の運転者が前に止まっている車に気づいているとは限らないと注意しています。
高速道路で動物とぶつかる事故はどれくらい?NEXCO中日本は年7,700件
高速道路で動物がはねられる「ロードキル」は、どのくらい起きているのでしょうか。国土交通省は、高速道路会社が道路上で処理した落下物の件数をまとめた資料の中で、ロードキルの処理件数を会社別・大きさ別に公表しています。NEXCO3社と本四高速の3年分を並べました。
| 会社・年度 | 合計 | 大型 | 中型 | 小型 |
|---|---|---|---|---|
| 中日本 2022年度 |
7,400 | 500 | 3,500 | 3,400 |
| 中日本 2023年度 |
7,100 | 500 | 3,300 | 3,300 |
| 中日本 2024年度 |
7,700 | 600 | 3,500 | 3,600 |
| 東日本 2022年度 |
20,600 | 500 | 12,100 | 8,000 |
| 東日本 2023年度 |
22,000 | 600 | 12,600 | 8,800 |
| 東日本 2024年度 |
19,600 | 500 | 10,800 | 8,300 |
| 西日本 2022年度 |
21,200 | 1,300 | 10,400 | 9,500 |
| 西日本 2023年度 |
20,000 | 1,100 | 9,700 | 9,200 |
| 西日本 2024年度 |
22,200 | 900 | 11,100 | 10,200 |
| 本四 2022年度 |
1,100 | 100 | 600 | 400 |
| 本四 2023年度 |
1,100 | 100 | 600 | 400 |
| 本四 2024年度 |
1,100 | 100 | 600 | 400 |
単位は件。国土交通省「高速道路会社の落下物処理件数」(令和4〜6年度、各高速道路会社調べ)より。数字は百件単位で丸められています。大型=シカ、クマ、イノシシ、その他大型動物/中型=タヌキ、キツネ、イヌ、ネコ/小型=鳥類、その他小型動物。首都高速・阪神高速は分類が異なるため除きました。
NEXCO中日本(東名・新東名・名神・中央道などを管理)の2024年度のロードキルは約7,700件で、1日あたり約21件です。同社の「落下物を発見・落下物にぶつかった!」のページでも、2024年度の落下物処理{CN_RAKKA_TOTAL:,}件のうち、ロードキル(動物の死がい)が{cn[3]:,}件(約{round(cn[3] / CN_RAKKA_TOTAL * 100)}%)と示されています。
このうちシカ・クマ・イノシシなどの大型動物は約600件で、ロードキル全体の7.8%です。同じ年度のNEXCO東日本(2.6%)、NEXCO西日本(4.1%)と比べると、中日本は件数に占める大型動物の割合が高いことが分かります。大型動物は、ぶつかったときに車が壊れて走れなくなりやすく、今回のように本線や路側帯に止まらざるを得ない状況につながります。
「処理件数」と「事故件数」は別の数字
国交省の数字は、高速道路会社が道路上で動物の死がいを片付けた件数です。車が壊れたかどうか、人がけがをしたかどうかは分かりません。逆に、ぶつかった動物が逃げて死がいが残らなかった場合は数に入りません。北海道の一般道を含むシカとの事故の統計は鹿との衝突事故はなぜ10月に多い?で詳しく扱っています。
高速道路でシカなどの動物とぶつかったら?避難と通報の順番
動物とぶつかって車を止めたとき、NEXCO中日本が公式サイトや2026年7月の資料で呼びかけている手順は次のとおりです。ポイントは、車の状態や動物の様子を確かめるより先に、人が安全な場所へ移ることです。
- 1 合図するハザードランプをつける止まったらすぐにハザードランプをつけ、後ろの車に止まっていることを知らせます。
- 2 後方に置く無理のない範囲で発炎筒・停止表示器材を置く車の後方に設置します。移動するときは車線から離れ、ガードレールなどの防護柵より外側の安全な場所を通ります。設置は「無理のない範囲で」とされています。
- 3 全員避難運転者も同乗者も、車より後方のガードレールの外へ通行車両と足元に注意しながら、全員で避難します。車内や道路上にとどまるのは大変危険です。車の前ではなく「後方」なのは、今回の事故のように、追突された車が前へ押し出されることがあるためです。
- 4 通報する安全な場所から110番・非常電話・#9910発生場所、事故や故障の状況、けが人の有無を伝えます。通報があると、道路情報板に停止車両の情報が出て、状況に応じて警察や交通管理隊が現地で車線規制をします。
法律の上でも、高速道路で車が動かなくなったときは、道路交通法第75条の11で、政令の定めに従って停止していることを表示する(停止表示器材を置く)ことが運転者に義務づけられています。また第75条の8は、高速道路での停車を原則禁止し、故障などでやむを得ない場合に、十分な幅のある路肩や路側帯に止めることを認めています。
やってはいけないこと
- 車の中で待つ:NEXCO中日本は「車内は安全地帯ではありません」とし、後続車に追突されて命を落とした事故が起きていると書いています。
- 道路上で車の傷や動物の様子を確かめる:車のすぐ後ろや横に立っていると、追突された車や後続車に巻き込まれるおそれがあります。確認は避難と通報が済んでから、安全が確保されてからにします。
- 連絡を後回しにする:レッカー会社に連絡した場合や自分で対処できる場合でも、安全な場所に避難したうえで必ず通報するよう、NEXCO中日本は求めています。
後ろを走る側にできること
NEXCO中日本は、事故や故障で止まっている車の近くには人がいる可能性があり、急に人が出てくることを予想して備えるよう呼びかけています。情報板やハイウェイラジオで「事故車」「故障車」の情報を見聞きしたら、速度を落として走ることが大切です。夜間は、路側帯に止まった車や人が見えにくくなります。
渋滞の最後尾も同じ危険
止まっている車への追突は、渋滞の最後尾でも起きています。高速道路の死亡事故の統計は渋滞の最後尾に追突はなぜ起きる?でまとめています。
新東名のシカ衝突事故と高速道路の二次事故のよくある質問
Q. 新東名のシカの事故はいつ、どこで起きましたか?
A. 2026年10月17日(土)午後11時50分ごろ、愛知県新城市の新東名高速道路の上り線で起きました。報道では「新城市徳定のトンネル入口付近」(FNN)、「雁峰第一トンネル付近」(CBC)とされています。上り線の岡崎東IC―新城IC間は18日未明から通行止めになり、18日朝に解除されました。
Q. なぜ女性が亡くなったのですか?
A. シカとぶつかって路側帯に止まっていた乗用車に、後ろからトラックが追突し、押し出された乗用車に、車外に出ていた女性がはねられたと報じられています。トラックの運転手は過失運転致傷の疑いで現行犯逮捕され、CBCテレビによると容疑を過失運転致死に切り替えて調べられています。
Q. 高速道路で車外に出るのはどれくらい危険ですか?
A. 警察庁の統計で2015〜2025年の高速道路の事故を集計すると、人がはねられた事故(人対車両)863件のうち143件、約17%が死亡事故でした。約6件に1件で、追突事故(約0.7%)の約23倍です。
Q. 高速道路で動物とぶつかったらどうすればいいですか?
A. ハザードランプをつけ、無理のない範囲で発炎筒や停止表示器材を車の後方に置いたうえで、運転者も同乗者も車より後方のガードレールの外側へ避難します。そのうえで110番、非常電話、道路緊急ダイヤル(#9910)のいずれかで通報します。車内や道路上にとどまるのは危険です。
Q. 高速道路でシカとの衝突はどのくらいありますか?
A. 国土交通省の資料では、NEXCO中日本が2024年度に処理したロードキル(動物の死がい)は約7,700件で、うちシカ・クマ・イノシシなどの大型動物は約600件でした。シカだけの件数は公表されていません。NEXCO3社と本四高速の大型動物は、2024年度で合わせて約2,100件です。
Q. #9910とは何ですか?
A. 国土交通省の道路緊急ダイヤルです。全国の高速道路と国が管理する国道で、24時間無料で使えます。故障車や落下物、道路の破損などを見つけたときに通報します。LINEの「国土交通省道路緊急ダイヤル(#9910)」からも通報できます。
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出典・参考資料
- 警察庁:e-Stat「道路の交通に関する統計」(令和7年中の交通事故の発生状況 表4-2-4、令和7年中の交通死亡事故の発生状況 表5-1-2・表5-2-4)
- 国土交通省:高速道路会社の落下物処理件数(令和4〜6年度)(PDF)
- NEXCO中日本:事故・故障が発生!、落下物を発見・落下物にぶつかった!、お客さまへの安全走行のお願い(2026年7月)(PDF)
- e-Gov法令検索:道路交通法(第75条の8、第75条の11)
- FNNプライムオンライン(東海テレビ)「シカと衝突し20代男女が車外へ…新東名で停車中の乗用車にトラックが追突」(10月18日)
- CBCテレビ「シカと衝突し停車した乗用車に大型トラック突っ込み、車外に降りていた女性死亡」
- メ〜テレ「新東名高速でシカとぶつかり停車中の車にトラック追突 車外に出ていた女性が巻き込まれ死亡」(Yahoo!ニュース)
- 中日新聞「新東名・岡崎東IC―新城IC間の上り線が事故で通行止め」(10月18日)、チバテレ+プラス(TraffiClip)
高速道路の事故の死亡率・推移の集計と、ロードキルの割合の計算は当サイトによるもので、警察庁・国土交通省の公式の分析ではありません。写真:アイキャッチ=Naripotter523(CC BY-SA 4.0)、本文=Yasu(CC BY-SA 3.0)、いずれもWikimedia Commons。アイキャッチはトリミング・明るさ調整・文字入れあり。


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