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不起訴処分とは?約7割が起訴猶予、嫌疑不十分との違いと前科の有無
2026年10月21日、傷害の疑いで逮捕・送検されていた元アイドルグループのメンバーについて、東京地検が不起訴処分(起訴猶予)にしたと報じられ、「不起訴処分とは」「起訴猶予と何が違うのか」を調べる人が増えています。不起訴とは、検察官が「裁判にかけない」と決める処分のことです。ただし理由は1つではなく、「罪を犯した疑いが晴れた」場合と「罪は明らかだが今回は起訴を見送る」場合では意味がまったく違います。この記事では、法務省の検察統計(2025年分)を自分で集計し、不起訴の理由の内訳、罪名ごとの起訴率、前科や記録がどうなるかを、検察庁・法務省の公式資料で確認できる範囲で解説します。
この記事の結論
- 不起訴処分は、検察官が事件を裁判にかけないと決める処分です。理由は検察庁の規程で20種類に分けられ、主なものは起訴猶予・嫌疑不十分・嫌疑なしの3つです。
- 起訴猶予は「罪を犯したことは証拠上明らかだが、事情を考えて起訴しない」処分です。2025年の検察統計を集計すると、交通事件を除く不起訴158,883人のうち107,370人(67.6%)が起訴猶予、証拠が足りない「嫌疑不十分」は24.5%でした。交通事件を含めると起訴猶予は418,894人で、起訴された248,994人より多くなります。
- 罪名で起訴率は大きく違います。傷害は30.1%、暴行は26.4%で、どちらも不起訴の7割以上が起訴猶予でした。起訴猶予になった人の74.9%は前科のない初犯です。
- 不起訴は有罪の裁判ではないため、検察庁が管理する「犯歴」(いわゆる前科)には載りません。ただし不起訴の記録そのものは、罪の重さに応じて1〜30年、検察庁で保存されます。納得できない被害者などは検察審査会に審査を申し立てられます。
不起訴処分とは?検察官が「裁判にかけない」と決める処分
警察が捜査した事件は、原則として検察官に送られます(送検)。検察庁や裁判所の説明によると、起訴する権限は検察官だけが持っており、警察官や被害者が起訴することはできません。検察官は自分でも取り調べなどをしたうえで、次のどちらかを決めます。
- 起訴:裁判所に審理を求める処分。法廷で裁判をする公判請求と、書面だけで罰金などを決める略式命令請求があります。2025年は交通事件を除いて公判請求71,073人、略式命令請求38,018人でした。
- 不起訴:裁判にかけない処分。裁判が開かれないので、有罪にも無罪にもなりません。2025年は交通事件を除いて158,883人でした。
逮捕された場合は、検察庁の説明では逮捕から長くても72時間以内に勾留請求・起訴・釈放のいずれかが決まり、勾留されても一部の罪を除いて最長20日以内に起訴か釈放かが決まります。釈放されたあとに捜査が続き、後日あらためて起訴・不起訴が決まることもあります。
不起訴の理由は20種類。主なものと2025年の人数
法務省の「事件事務規程」は、不起訴の理由(裁定主文)を20種類に分けています。統計に出てくる主なものを、規程の定義とあわせてまとめました。
| 理由 | どんなときか(規程の定義を要約) | 2025年の人数 |
|---|---|---|
| 起訴猶予 | 罪を犯したことは証拠上明白だが、性格・年齢・境遇、罪の軽重や情状、犯罪後の状況から、起訴の必要がないと判断 | 107,370人 |
| 嫌疑不十分 | 捜査を尽くしても、犯罪の成立を認める証拠が足りない | 38,892人 |
| 嫌疑なし | 人違いが明白、または犯罪の成否を認める証拠がないことが明白 | 1,588人 |
| 罪とならず | 行為が犯罪の要件に当たらない、または正当防衛など犯罪の成立を妨げる事情が証拠上明確 | 1,323人 |
| 心神喪失・刑事未成年 | 犯行時に心神喪失だった、または14歳未満だった | 280人 |
| 親告罪の告訴の欠如・取消し | 告訴がないと起訴できない罪(親告罪)で、告訴がない・取り消された | 5,715人 |
| 時効完成 | 公訴時効が過ぎた | 2,082人 |
| その他 | 被疑者死亡、確定判決あり、刑の免除など | 1,633人 |
| 不起訴の合計 | 交通事件(過失運転致死傷・道路交通法違反など)を除く | 158,883人 |
出典:定義は法務省「事件事務規程」75条2項、検察庁「Q&Aコーナー」。人数は法務省「検察統計」2025年の表8「罪名別 被疑事件の既済及び未済の人員」(自動車による過失致死傷等と道路交通法等違反を除く)。
報道された事例は「起訴猶予」による不起訴
10月21日の報道によると、東京地検は傷害の疑いで逮捕・送検されていた元アイドルグループのメンバーを不起訴処分(起訴猶予)とし、「犯行後の状況も含めた諸般の事情を考慮した」と説明しました(毎日新聞、10月21日)。この記事では個別の事件の中身には立ち入りません。押さえておきたいのは、起訴猶予は「疑いが晴れた」という意味ではないという点です。どの事件でも、検察が具体的にどの事情をどう評価したかは、通常は公表されません。
起訴猶予とは?嫌疑不十分・嫌疑なしとの違いを比較
「不起訴」と聞くと「無実だった」と受け取られがちですが、実際には大きく2つの意味があります。証拠が足りない・人違いだったから起訴しないのか、罪は明らかだが起訴までは必要ないと判断したのかです。後者が起訴猶予です。
| 項目 | 起訴猶予 | 嫌疑不十分 |
|---|---|---|
| 犯罪の証拠 | 罪を犯したことは証拠上明白 | 犯罪の成立を認める証拠が足りない |
| 起訴しない理由 | 性格・年齢・境遇、罪の軽重と情状、犯罪後の情況から訴追の必要がないと判断 | 有罪を立証できるだけの証拠がない |
| 根拠 | 刑事訴訟法248条(起訴便宜主義)、事件事務規程75条2項20号 | 事件事務規程75条2項18号 |
| 2025年の人数(交通除く) | 107,370人(不起訴の67.6%) | 38,892人(不起訴の24.5%) |
| 前科(犯歴) | つかない(有罪の裁判ではないため) | つかない |
| 不起訴記録の保存 | 罪の法定刑に応じて1〜30年(同じ区分) | 同左 |
| 検察審査会への申立て | 対象になる | 対象になる |
出典:事件事務規程、検察庁Q&A、記録事務規程25条、犯歴事務規程2条・7条、検察統計2025年表8。
起訴猶予で考慮されるのは「性格・年齢・境遇」や「犯罪後の情況」
罪を犯した疑いが十分あっても起訴しないことを認める仕組みを起訴便宜主義といいます。根拠は刑事訴訟法248条で、法務省の犯罪白書(令和4年版)は条文を「犯人の性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況により訴追を必要としないときは、公訴を提起しないことができる」と引用しています。考慮されるのは次のような事情です。
- 性格・年齢・境遇:本人の人柄、若さや高齢、家庭や仕事の状況
- 犯罪の軽重:罪の重さ、被害の大きさ
- 情状:動機や経緯など、犯行にまつわる事情
- 犯罪後の情況:犯行のあとの本人の行動や被害の状況など
法律は「どの事情があれば起訴猶予になる」とは具体的に定めていません。何をどう評価したかは事件ごとの判断で、外からは分からないのが普通です。
「嫌疑なし」なら補償を受けられることも
逮捕・勾留されたあとに「罪とならず」「嫌疑なし」で不起訴になった場合、法務省の被疑者補償規程にもとづき、身柄を拘束された日数に応じて1日1,000円以上12,500円以下の補償金が支払われる仕組みがあります(罪を犯さなかったと認めるに足りる十分な事由がある場合)。起訴猶予は罪を犯したことが明白な場合の処分なので、この補償の前提とは異なります。出典:被疑者補償規程(検察庁)
不起訴の内訳は?2025年の検察統計を集計【独自集計】
法務省は毎年、全国の検察庁が扱った事件の結果を「検察統計」として公表しています。2026年8月31日にe-Statで公開された2025年分のうち、交通事件を除く表を使って、不起訴158,883人の理由別の割合を計算しました。
法務省「検察統計」2025年表8から当サイトが計算。人数は処理の時点の罪名で数えた延べ人数です。
不起訴のおよそ3人に2人が起訴猶予で、証拠不足の嫌疑不十分は4人に1人でした。「疑いが晴れた」に当たる嫌疑なしは1.0%にすぎません。起訴と不起訴の合計(267,974人)から見ても、起訴猶予は40.1%で、起訴の40.7%とほぼ同じ規模です。
交通事件では不起訴の9割超が起訴猶予
上の数字は、件数が多い交通事件を除いたものです。検察統計は交通事件を別の表にしているので、3つを合わせて全体を出しました。
| 区分(2025年) | 起訴 | 不起訴 | うち起訴猶予 | 不起訴に占める起訴猶予 |
|---|---|---|---|---|
| 交通事件を除く | 109,091 | 158,883 | 107,370 | 67.6% |
| 過失運転致死傷など | 41,196 | 220,536 | 212,865 | 96.5% |
| 道路交通法違反など | 98,707 | 106,788 | 98,659 | 92.4% |
| 合計 | 248,994 | 486,207 | 418,894 | 86.2% |
出典:検察統計2025年表8・表9(自動車による過失致死傷等)・表10(道路交通法等違反)。合計の起訴・不起訴人数は表5「罪名別起訴人員、不起訴人員及び起訴率の累年比較」の総数と一致することを確認しました。
全体では起訴猶予が418,894人と、起訴された248,994人を大きく上回ります。特に車の運転中の事故でけがをさせた「過失運転致傷」などは、不起訴の96.5%が起訴猶予でした。起訴率は全体で33.9%です。
15年の推移:起訴率は下がり、嫌疑不十分の割合が上昇
| 年 | 起訴 | 不起訴 | 起訴率 | 不起訴に占める起訴猶予/嫌疑不十分 |
|---|---|---|---|---|
| 2010年 | 149,559 | 168,837 | 47.0% | 68.1%/21.7% |
| 2015年 | 126,036 | 163,248 | 43.6% | 69.3%/18.1% |
| 2020年 | 106,590 | 152,569 | 41.1% | 69.5%/20.8% |
| 2025年 | 109,091 | 158,883 | 40.7% | 67.6%/24.5% |
出典:検察統計各年の表8(交通事件を除く)から当サイトが計算。起訴率=起訴÷(起訴+不起訴)。2010年の表は「自動車による過失致死傷」を除く旧区分です。
交通事件を除く起訴率は2010年の47.0%から2025年は40.7%へ下がりました。不起訴に占める起訴猶予の割合は7割前後でほぼ横ばいですが、嫌疑不十分は2015年の18.1%から2025年は24.5%へ上がっています。この統計だけでは理由までは分かりません。
罪名別の起訴率は?傷害は30%、暴行は26%【独自集計】
同じ表8から、身近な罪名を選んで起訴率と不起訴の理由の割合を計算しました(2025年)。
| 罪名 | 起訴+不起訴 | 起訴率 | 不起訴のうち起訴猶予 | 不起訴のうち嫌疑不十分 |
|---|---|---|---|---|
| 傷害 | 19,568人 | 30.1% | 73.6% | 23.5% |
| 暴行 | 16,928人 | 26.4% | 85.4% | 13.9% |
| 窃盗 | 69,943人 | 44.5% | 81.1% | 15.5% |
| 詐欺 | 15,999人 | 51.6% | 49.6% | 46.5% |
| 遺失物横領 | 4,473人 | 14.8% | 93.3% | 6.2% |
| 器物損壊 | 5,755人 | 24.2% | 26.0% | 19.8% |
| 住居侵入 | 5,420人 | 41.9% | 78.1% | 19.2% |
| 脅迫 | 2,770人 | 34.7% | 66.6% | 26.8% |
| 名誉毀損 | 1,667人 | 26.0% | 20.0% | 47.3% |
| 不同意わいせつ | 4,934人 | 33.3% | 53.8% | 44.8% |
| 覚醒剤取締法違反 | 10,227人 | 74.5% | 25.4% | 63.4% |
| 大麻取締法違反 | 2,719人 | 27.1% | 35.7% | 57.7% |
| 軽犯罪法違反 | 5,684人 | 15.4% | 97.0% | 2.1% |
出典:検察統計2025年表8から当サイトが計算。「傷害」は傷害致死・暴行などを除いた傷害罪、「窃盗」「詐欺」はそれぞれの罪名区分の合計。処理時の罪名による延べ人数です。
傷害罪では、起訴と不起訴を合わせた19,568人のうち起訴は5,889人(30.1%)、不起訴13,679人のうち10,069人(73.6%)が起訴猶予でした。暴行罪は起訴率26.4%、不起訴の85.4%が起訴猶予です。表の中で起訴率がもっとも高いのは覚醒剤取締法違反(74.5%)、低いのは落とし物などを自分のものにする遺失物横領(14.8%)でした。詐欺や不同意わいせつ、薬物事件は、不起訴の4割台〜6割台が嫌疑不十分で、証拠の面で起訴に至らないケースが多いことが分かります。
器物損壊や名誉毀損は、被害者の告訴がないと起訴できない親告罪です。器物損壊では不起訴の51.0%が「告訴の欠如・取消し」によるもので、起訴猶予(26.0%)を上回りました。名誉毀損でも17.3%を占めています。
起訴率から「この罪なら不起訴になる」とは言えない
起訴率は、軽いものから重いものまで同じ罪名の事件をまとめた平均です。個々の事件の処分は、証拠や被害の程度、本人の事情によって決まります。統計はあくまで全体の傾向を見るためのもので、特定の事件の結果を予想するものではありません。
起訴猶予になった人の4人に3人は初犯【独自集計】
検察統計には、処分を受けた人に前科があるかどうかの表もあります(法人を除く。交通事件を除く)。起訴された人と起訴猶予になった人を比べました。
| 処分 | 人数 | 初犯者 | 前科者 | 初犯者の割合 |
|---|---|---|---|---|
| 起訴猶予 | 106,059 | 79,442 | 26,582 | 74.9% |
| 起訴 | 108,038 | 63,819 | 44,216 | 59.1% |
出典:検察統計2025年表49「起訴した事件の被疑者の初犯者、前科者別」、表50「起訴猶予処分に付した事件の被疑者の初犯者、前科者別」。前科の有無が不詳の人(起訴猶予35人など)は初犯者・前科者のどちらにも含めていません。
起訴猶予になった人の74.9%が初犯だったのに対し、起訴された人では初犯は59.1%で、前科のある人が40.9%を占めました。「性格・年齢・境遇」を考える起訴猶予の判断で、過去の前科の有無が関係しているとみられます。ただし前科があっても起訴猶予になった人は26,582人おり、初犯なら必ず起訴猶予になるわけでもありません。
不起訴でも前科はつく?記録は残る?
前科(犯歴)にはならない
一般に「前科」と呼ばれるのは、有罪の裁判を受けた経歴のことです。検察庁が戸籍の情報などと結びつけて管理する「犯歴」について、法務省の犯歴事務規程は、把握の対象を確定した有罪の裁判としています。不起訴は裁判そのものが開かれない処分なので、起訴猶予でも嫌疑不十分でも、この犯歴には載りません。
不起訴の記録は1〜30年保存される
一方で、捜査の記録がすぐ消えるわけではありません。法務省の記録事務規程25条は、検察官が不起訴記録を、不起訴と決めた日から一定期間保存すると定めています。起訴猶予・嫌疑不十分・嫌疑なし・罪とならずの記録は、罪の法定刑に応じて次の期間です。
| 罪の区分(法定刑) | 保存期間 |
|---|---|
| 人を死亡させた罪(無期拘禁刑に当たるもの) | 30年 |
| 死刑に当たる罪 | 25年 |
| 無期拘禁刑に当たる罪 | 15年 |
| 長期15年以上の拘禁刑に当たる罪 | 10年 |
| 長期10年以上15年未満の拘禁刑に当たる罪 | 7年 |
| 長期5年以上10年未満の拘禁刑に当たる罪 | 5年 |
| 長期5年未満の拘禁刑または罰金に当たる罪 | 3年 |
| 拘留または科料に当たる罪 | 1年 |
出典:記録事務規程25条の表1号(一部を省略・要約)。2行目以降は人を死亡させた罪以外の区分です。人を死亡させた罪で長期20年の拘禁刑に当たるものは20年、それ以外の拘禁刑に当たるものは10年。性犯罪など公訴時効が延長された罪は12〜20年で、被害者が18歳未満の場合は加算があります。検察官が必要と認めれば延長もできます(27条)。
この規程には、不起訴にした事件を「再起」した場合の手続きも書かれています。法務省の刑事事件フローチャートによると、再起とは「不起訴処分又は中止処分に付した事件について、再び捜査に着手する場合」です。不起訴は確定判決とは違い、捜査が再開されることがありうる処分です。なお、警察が持つ記録(いわゆる「前歴」)の扱いは、この記事で確認した法務省・検察庁の資料の範囲外です。
不起訴になったことは書面で確認できる
検察庁の事件事務規程は、刑事訴訟法259条にもとづく「不起訴処分告知書」の書式を定めています。また犯罪白書によると、告訴や告発をした人には起訴・不起訴の結果が通知され、請求があれば不起訴の理由も告げなければならないとされています。被害者が亡くなった事件や、被害者が取り調べを受けた事件などでは、被害者や遺族が希望すれば処分の結果などを知らせる通知制度もあります。
不起訴に納得できないときは?検察審査会の仕組みと件数
検察官の不起訴が妥当だったかを、市民が審査するのが検察審査会です。選挙権を持つ人からくじで選ばれた11人の検察審査員(任期6か月)が審査し、「起訴相当」「不起訴不当」「不起訴相当」のいずれかを議決します。全国に165か所あり、審査の申立てに費用はかかりません。
| 年 | 受理(延べ人数) | 起訴相当 | 不起訴不当 | 不起訴相当 |
|---|---|---|---|---|
| 2021年 | 3,862 | 140 | 242 | 2,821 |
| 2022年 | 4,086 | 30 | 137 | 2,555 |
| 2023年 | 2,735 | 5 | 69 | 2,153 |
| 2024年 | 2,480 | 8 | 83 | 2,378 |
| 2025年 | 2,196 | 2 | 123 | 1,844 |
出典:最高裁判所「検察審査会」、検察審査会の受理件数、議決件数等(令和3年~令和7年)。受理は申立てと職権の合計。議決のほかに審査打切りなどがあります。
2025年に審査を終えた2,220人(延べ)のうち、起訴相当は2人、不起訴不当は123人でした。起訴相当の議決のあと検察官が再び不起訴にした場合は、2009年から2回目の審査が行われ、ここで「起訴議決」が出ると裁判所が指定した弁護士が起訴します。起訴議決は制度開始からの累計で延べ16人、犯罪白書によると2024年までに裁判が確定した12人のうち有罪は2人でした。
個別の事件は専門家に相談を
この記事は制度と統計の一般的な説明です。自分や家族の事件について、起訴・不起訴の見通しや手続きを知りたいときは、弁護士や法テラス(日本司法支援センター)、最寄りの検察審査会事務局などに相談してください。
不起訴処分・起訴猶予のよくある質問
Q. 不起訴処分とは何ですか?
A. 検察官が、事件を裁判所に起訴しない(裁判にかけない)と決める処分です。理由には、罪は明らかでも事情を考えて起訴しない「起訴猶予」、証拠が足りない「嫌疑不十分」、人違いなどの「嫌疑なし」などがあります。2025年は交通事件を除いて15万8,883人が不起訴でした。
Q. 起訴猶予と嫌疑不十分の違いは何ですか?
A. 起訴猶予は、罪を犯したことが証拠上明白だが、性格・年齢・境遇、罪の軽重や情状、犯罪後の情況から起訴の必要がないと判断した場合です。嫌疑不十分は、犯罪の成立を認める証拠が足りない場合です。2025年の不起訴(交通事件を除く)では起訴猶予が67.6%、嫌疑不十分が24.5%でした。
Q. 不起訴になると前科はつきますか?
A. 不起訴は有罪の裁判ではないため、検察庁が管理する「犯歴」(いわゆる前科)には載りません。法務省の犯歴事務規程は、犯歴として把握する対象を確定した有罪の裁判としています。
Q. 不起訴でも記録は残りますか?
A. 検察庁には不起訴記録が残ります。法務省の記録事務規程により、起訴猶予や嫌疑不十分などの記録は、罪の法定刑に応じて不起訴と決めた日から1〜30年保存され、必要があれば延長もできます。
Q. 起訴猶予になったあとで起訴されることはありますか?
A. 不起訴は確定判決と違うため、検察庁の規程には事件を「再起」する手続きがあります。また被害者などが検察審査会に申し立て、起訴相当の議決のあと2回目の審査で起訴議決となれば、指定弁護士が起訴します。ただし起訴議決は制度開始から延べ16人と多くはありません。
Q. 起訴率はどれくらいですか?
A. 2025年の検察統計では、交通事件を含む全体の起訴率は33.9%、交通事件を除くと40.7%でした。罪名によって差が大きく、傷害は30.1%、暴行は26.4%、覚醒剤取締法違反は74.5%でした。
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出典・参考資料
- 法務省:検察統計(e-Stat)(2025年分は2026年8月31日公開。表5・8・9・10・49・50、2010・2015・2020年の表8)
- 裁判所:検察官による起訴・不起訴の決定/法務省:刑事事件フローチャート、令和4年版犯罪白書(刑事訴訟法248条の引用)
- 検察庁:Q&Aコーナー(捜査・起訴)、検察審査会、被疑者補償規程
- 法務省:事件事務規程、記録事務規程、犯歴事務規程
- 法務省:令和7年版犯罪白書「被疑事件の処理」、同「不起訴処分に対する不服申立制度」
- 最高裁判所:検察審査会、検察審査会の受理件数、議決件数等(令和3年~令和7年)
- 報道:毎日新聞(2026年10月21日)
不起訴の理由別の割合、罪名別の起訴率、初犯者の割合、各年の推移は、検察統計をもとに当サイトが計算したものです。内容は2026年10月22日時点の情報で、個別の事件についての法的な判断を示すものではありません。アイキャッチ画像は津地方検察庁の庁舎(写真:Xjm91587/Wikimedia Commons、パブリックドメイン。トリミング・明るさ調整あり)で、記事中の事例とは関係ありません。


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