家の中で、手のひらほどもある大きなクモに遭遇して悲鳴を上げた——そんな経験はありませんか。その正体はおそらくアシダカグモ。見た目のインパクトから嫌われがちですが、実はゴキブリを退治してくれる「益虫(えきちゅう)」なのです。この記事では、アシダカグモの生態や、なぜ退治しないほうがいいのか、そして家に入れたくない場合の対策までをわかりやすく解説します。
この記事でわかること
- アシダカグモとはどんなクモか(生態・特徴)
- 「益虫」と呼ばれる理由
- 人間に害はあるのか(毒・危険性)
- 家に入れたくない場合の対策
アシダカグモとは?

アシダカグモ(学名:Heteropoda venatoria)は、アシダカグモ科に属する大型のクモです。日本では本州・四国・九州・沖縄などに生息し、世界の熱帯・亜熱帯にも広く分布しています。もともと日本にいた在来種ではなく、古い時代に移入して定着したと考えられています。森林や農地のほか、民家や倉庫など人の生活圏でもよく見られます。
迫力ある見た目が特徴
成虫の胴体(体長)はメスで約2.5〜3cm、オスで約2〜2.5cmほどですが、脚を広げると10cm以上、大きいものでは15cmほどにもなります。この大きさが、多くの人に「巨大なクモ」という強い印象を与えます。体色は茶色や灰色で、暗がりに溶け込む保護色になっています。長い脚で素早く動き回れるのが特徴です。
アシダカグモの生態
夜行性のハンター
アシダカグモは夜行性で、昼間は家具の裏や暗い隙間などに隠れています。夜になると活動を始め、獲物を求めて歩き回ります。クモというと巣(クモの巣)を張るイメージがありますが、アシダカグモは巣を張らず、自分で歩いて獲物を捕まえる「徘徊性(はいかいせい)」のクモです。俊敏に走り回り、獲物に素早く飛びかかって捕らえます。
手厚い子育て
繁殖期は主に春から夏。メスは産んだ卵を卵のう(卵の入った袋)にまとめ、口にくわえて持ち歩いて孵化まで守ります。孵化した子グモは、しばらくの間は母親のそばで過ごし、成長とともに独立していきます。見た目に反して、母グモは非常に子煩悩なのです。
なぜ「益虫」なのか? ゴキブリを食べてくれる

アシダカグモが「退治しないで」といわれる最大の理由が、その圧倒的なゴキブリ駆除能力です。アシダカグモは非常に貪欲な捕食者で、ゴキブリをはじめ、ハエ、蚊、その他の害虫を大量に捕食します。
「アシダカグモが1匹いる家は、半年ほどでゴキブリがいなくなる」ともいわれるほどで、まさに動く天然の殺虫剤です。餌となるゴキブリがいなくなると、アシダカグモ自身も自然と別の場所へ移動していきます。つまり、家にいるということは、それだけ餌(害虫)がいる証でもあるのです。害虫駆除の面で、私たちの生活を陰ながら助けてくれている存在といえます。
人間に害はあるの? 毒や危険性

大きな見た目から「毒があるのでは」「噛まれたら危険では」と心配されますが、アシダカグモは人間に対して基本的に無害です。
- 臆病でおとなしい:人を見ると自分から逃げていくことがほとんどで、攻撃してくることはまずありません。
- 咬まれることはまれ:無理に捕まえようとしたりしない限り、噛まれることはほとんどありません。
- 強い毒はない:仮に噛まれても、人に深刻な健康被害を与えるような強い毒は持っていません。
見た目は怖くても、実際はこちらに危害を加える気はまったくない、シャイな居候なのです。
家に入れたくない場合の対策
「益虫とはいえ、あの大きさはどうしても苦手…」という方も多いでしょう。無理に共存する必要はありません。家に入れたくない場合は、次の対策が有効です。
- 餌(害虫)を減らす:家を清潔に保ち、ゴキブリなどの発生を抑えれば、餌を求めるアシダカグモも寄りつかなくなります。これが根本的な対策です。
- 侵入経路をふさぐ:窓やドアの隙間、換気口などをふさぎ、侵入を防ぎます。
- どうしても苦手なら:市販のクモ用の忌避剤・駆除剤を使う方法もあります。
なお、見つけても叩き潰すのではなく、そっと外に逃がすだけでも十分です。むやみに退治すると、その分ゴキブリが増える可能性がある点は覚えておきましょう。
アシダカグモに関するよくある質問
Q. アシダカグモは本当にゴキブリを食べるのですか?
食べます。アシダカグモはゴキブリを好んで捕食する貪欲なハンターで、家の中の害虫を大量に退治してくれます。「動く殺虫剤」とも呼ばれるほどで、益虫として知られています。
Q. アシダカグモに噛まれると危険ですか?
危険性は低いです。アシダカグモは臆病で人を避け、自分から噛みつくことはほとんどありません。仮に噛まれても、人に深刻な害を与える強い毒は持っていないため、過度に心配する必要はありません。
Q. アシダカグモは巣を張りますか?
張りません。アシダカグモは巣を張らず、自分で歩き回って獲物を捕まえる「徘徊性」のクモです。そのため、部屋の隅にクモの巣ができる心配はありません。
Q. 家にアシダカグモがいるのはなぜですか?
餌となるゴキブリなどの害虫がいるからです。逆に言えば、害虫を駆除して餌がなくなれば、アシダカグモも自然と別の場所へ移動していきます。清潔に保つことが最大の対策です。
Q. 見つけたら退治すべきですか?
退治しないことをおすすめします。ゴキブリなどの害虫を食べてくれるため、放っておくほうが家の害虫は減ります。どうしても苦手な場合は、叩かずにそっと外へ逃がすとよいでしょう。
まとめ:怖い見た目でも、頼れる「家の守り神」
アシダカグモは、その大きな姿からつい退治したくなりますが、実はゴキブリなどの害虫を大量に食べてくれる益虫です。人に対しては臆病で無害、巣も張らず、餌がなくなれば自然と去っていきます。「怖い」という印象だけで判断せず、その役割を知れば、少し見方が変わるかもしれません。どうしても苦手なら、そっと外へ逃がしてあげてください。
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