2026年オフ プロ野球×MLB
佐藤輝明のポスティングはいつ?
譲渡金の計算とロックアウトの影響
阪神・佐藤輝明、西武・平良海馬、日本ハム・伊藤大海。2026年オフは11月上旬にポスティング申請が集中する見通しです。ところが今年は12月1日にMLBの労使協定が切れるという特殊事情があり、交渉期間45日が丸ごと凍結されかねません。譲渡金の計算式を実例12件で検算し、阪神に入る金額をシミュレーションしました。
この記事でわかること
- 2026年オフのポスティング申請は11月1日〜12月15日、交渉期間は通知から45日
- 譲渡金は「2500万ドルまで20%/2500万〜5000万ドル17.5%/5000万ドル超15%」の3段階
- この式でメジャー契約12件すべての譲渡金が1ドル単位で再現できた(当ブログ検算)
- 佐藤輝明の契約額別シミュレーション。4年6000万ドルなら阪神に約16億7000万円
- 12月1日にMLBの労使協定が失効。ロックアウトに入ると契約が結べなくなる
- 前例は2021年の鈴木誠也。ポスティングから契約まで約4か月かかった
- ポスティングと海外FAの違い、45日で決まらなかった場合にどうなるか
2026年オフのポスティングは「11月上旬」に前倒しの見通し
ポスティングシステムとは、海外FA権を持たないNPBの選手が、所属球団の承認を得てMLB球団と契約できる制度です。移籍が成立すると、MLB球団から日本の球団へ譲渡金(ポスティングフィー)が支払われます。
2026年オフは、この制度を使う日本人選手として3人の名前が挙がっています。ESPNのジェフ・パッサン記者の報道をもとに、米メディアは3人がいずれも11月上旬から中旬にポスティングされる見通しだと伝えています。

候補3人の2026年成績(NPB公式・9月10日現在)
NPB公式サイトが公表している個人成績から、3人の数字を抜き出しました。
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| 選手(所属) | ポジション | 2026年の成績(9月10日現在) |
|---|---|---|
| 佐藤 輝明阪神 | 三塁手 | 打率.322/35本塁打/92打点。打率・本塁打・打点すべてセ・リーグ1位の三冠王ペース |
| 平良 海馬西武 | 投手 | 防御率1.36(パ・リーグ1位)/11勝4敗/132回/124奪三振 |
| 伊藤 大海日本ハム | 投手 | 防御率3.11(パ・リーグ8位)/9勝9敗/150回2/3/143奪三振/完投3 |
NPB公式の規定打席到達者の打撃成績を本塁打順・打点順に並べ替えたところ、本塁打は佐藤35本に対し2位の森下翔太が33本、打点は佐藤92に対し2位のダルベックが77でした。打率.322も1位です。9月10日時点でセ・リーグの打撃3部門を独占しており、メジャー移籍の話題と三冠王争いが同時に走る珍しいオフになります。
申請できるのは11月1日から12月15日まで
ポスティングの手続きは、日米間の協定で期間が決まっています。
- NPB球団がMLB機構へ申請できるのは毎年11月1日から12月15日まで
- MLB機構が全球団へ通知した時点から、選手は45日間すべてのMLB球団と自由に交渉できる
- 45日以内に契約がまとまらなければ、選手は日本の球団に戻り、翌シーズンはNPBでプレーする
かつては落札方式(入札で最高額を出した1球団だけが交渉できる方式)でしたが、現在は全球団と交渉できる形に変わっています。選手にとっては条件を競わせられる分、有利な制度です。
ポスティングの譲渡金はいくら?計算式を実例12件で検算した
2018年オフ以降、譲渡金は選手が結んだ契約の保証総額に応じて自動的に決まります。入札額ではありません。式は3段階の累進です。
| 契約総額のうち | かかる料率 | その部分の譲渡金 |
|---|---|---|
| 2500万ドルまで | 20% | 最大500万ドル |
| 2500万〜5000万ドル | 17.5% | 最大437万5000ドル |
| 5000万ドル超の部分 | 15% | 青天井 |
つまり契約総額が5000万ドルを超えると、譲渡金は「937万5000ドル+(総額−5000万ドル)×15%」で求められます。契約期間中に達成した出来高については、別途15%が追加で支払われます。
なお、選手がメジャー契約ではなくマイナー契約を結んだ場合は、この累進の式ではなく契約金の25%という別ルールが適用されます。2024年オフの佐々木朗希がこれにあたります。
この式が本当にそのまま使われているのか、現行制度でメジャー契約が成立した12件について、報じられた契約総額から譲渡金を計算し直しました。結果は12件すべてで公表額と完全に一致。つまり契約総額さえ分かれば、譲渡金は誰でも電卓で出せるということです。
現行制度のポスティング移籍と譲渡金の一覧
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| 選手(元所属) | 移籍先 | 契約総額 | 譲渡金 |
|---|---|---|---|
| 菊池 雄星(西武) | マリナーズ | 4年5600万ドル | 1027万5000ドル |
| 筒香 嘉智(DeNA) | レイズ | 2年1200万ドル | 240万ドル |
| 山口 俊(巨人) | ブルージェイズ | 2年635万ドル | 127万ドル |
| 有原 航平(日本ハム) | レンジャーズ | 2年620万ドル | 124万ドル |
| 鈴木 誠也(広島) | カブス | 5年8500万ドル | 1462万5000ドル |
| 藤浪 晋太郎(阪神) | アスレチックス | 1年325万ドル | 65万ドル |
| 吉田 正尚(オリックス) | レッドソックス | 5年9000万ドル | 1537万5000ドル |
| 山本 由伸(オリックス) | ドジャース | 12年3億2500万ドル | 5062万5000ドル |
| 今永 昇太(DeNA) | カブス | 4年5300万ドル | 982万5000ドル |
| 佐々木 朗希(ロッテ) | ドジャース | マイナー契約 | 162万5000ドル |
| 村上 宗隆(ヤクルト) | ホワイトソックス | 2年3400万ドル | 657万5000ドル |
| 岡本 和真(巨人) | ブルージェイズ | 4年6000万ドル | 1087万5000ドル |
| 今井 達也(西武) | アストロズ | 3年5400万ドル | 997万5000ドル |
※契約総額は各社報道、譲渡金は公表額。佐々木朗希はマイナー契約のため後述の別ルールが適用され、契約金650万ドルの25%。菊池雄星は保証総額5600万ドルを基準に算出された額。
契約が「長い」ほど日本の球団の取り分は増える
この一覧を実効率(譲渡金÷契約総額)で見ると、制度の性格がはっきり出ます。短い契約ほど率は高いが、金額は小さいのです。
藤浪晋太郎
村上宗隆
鈴木誠也
山本由伸
村上宗隆が選んだのは2年3400万ドル。早くFA権を得て再契約を狙う短期契約です。これでヤクルトに入る譲渡金は657万5000ドル(約10億1000万円)。もし鈴木誠也と同じ5年8500万ドルだったなら1462万5000ドルで、差は805万ドル=約12億4000万円になります。選手が短期契約を選ぶほど、育てた日本の球団の取り分が減る。これが現行制度で繰り返し指摘されている論点です。
佐藤輝明の譲渡金シミュレーション:阪神にいくら入るか
譲渡金は契約総額だけで決まるので、契約額を仮定すれば阪神に入る金額を計算できます。前述の式で、5パターンを出しました(1ドル=154円で換算)。
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| 契約総額の想定 | 譲渡金 | 日本円換算 | 実効率 |
|---|---|---|---|
| 4年4000万ドル | 762万5000ドル | 約11億7000万円 | 19.1% |
| 4年6000万ドル岡本和真と同条件 | 1087万5000ドル | 約16億7000万円 | 18.1% |
| 5年8000万ドル | 1387万5000ドル | 約21億3000万円 | 17.3% |
| 5年1億ドル | 1687万5000ドル | 約26億円 | 16.9% |
| 6年1億2000万ドル | 1987万5000ドル | 約30億6000万円 | 16.6% |
※譲渡金は当ブログが現行の計算式で算出した試算です。実際の契約内容によって変動します。
阪神がこれまでポスティングで得た譲渡金は、2022年の藤浪晋太郎の65万ドル(約1億円)が最大です。佐藤輝明が5年8000万ドル級の契約を結べば1387万5000ドルで、藤浪のおよそ21倍。ポスティングは「主力が抜ける痛手」と語られがちですが、球団経営の面では十数億円規模の一時収入になります。
なぜ今年だけ「12月1日」が怖いのか
ここからが2026年オフ最大の特殊事情です。MLBの労使協定(CBA)が2026年12月1日に失効します。

MLB選手会は、協定失効後にオーナー側がロックアウト(職場閉鎖)に踏み切ると想定しています。争点はサラリーキャップ(年俸総額の上限)の導入で、オーナー側が導入を求め、選手会が拒否するという構図です。
ロックアウトに入ると、MLB球団は選手との契約を一切結べなくなります。FA市場も、ポスティングの交渉も、まとめて凍結します。
45日の交渉期間と12月1日が重なる
- 11月1日ポスティング申請の解禁NPB球団がMLB機構へ申請できるようになる。2026年オフは3人が11月上旬に集中する見通し。
- 11月上旬交渉期間45日がスタートMLB機構の通知から45日。11月5日に通知されたなら、期限は12月20日になる。
- 12月1日労使協定が失効ロックアウトに入れば契約締結が不可能に。45日のうち、実際に使えるのは最初の約4週間だけになる。
- 12月中旬本来の交渉期限凍結された状態のまま期限を迎えるのか、日米で協議して期間を止めるのか。ここが最大の不透明要素。
米メディアは、NPB球団が例年より早くポスティングに踏み切るのはロックアウト前に契約をまとめる時間を1〜2週間でも多く確保するためだと伝えています。12月15日の申請期限ぎりぎりに動くと、通知される前に市場が凍る恐れがあるためです。
前例は2021年の鈴木誠也。契約まで約4か月かかった
実はまったく同じことが、前回のロックアウトで起きています。
| 日付 | 出来事 | 状況 |
|---|---|---|
| 2021年11月22日 | 鈴木誠也がポスティング | 当時の交渉期間は30日。期限は12月下旬の予定だった |
| 2021年12月2日 | ロックアウト開始 | 交渉開始から10日目で市場が凍結。残り20日を残したまま時計が止まる |
| 2022年3月10日 | 新労使協定が成立 | ロックアウトは99日間。凍結されていた交渉期間が再開 |
| 2022年3月19日 | カブスと5年8500万ドルで契約 | ポスティングから117日目。開幕直前の決着だった |
2021年のケースでは、MLBとNPBが協議してロックアウト中は交渉期間のカウントを止める扱いになりました。鈴木誠也は10日を消化した時点で凍結され、残りの日数はロックアウト明けに持ち越されています。今回も同じ運用になれば、「45日を空費して日本に戻される」という最悪の事態は避けられる可能性が高いと言えます。ただし正式な取り決めが公表されているわけではなく、選手は数か月宙ぶらりんになります。
考えられる3つのシナリオ
2026年オフの展開は、おおむね次の3つに整理できます。
- ①11月中に決着/3人とも11月上旬にポスティングされ、11月末までに契約。米メディアが最も可能性が高いとみるシナリオで、3人とも12月1日より前に契約をまとめるとの見方が出ています。
- ②凍結して越冬/交渉が長引き、12月1日をまたぐ。2022年の鈴木誠也と同じく、ロックアウト明けまで待つことになります。
- ③日本残留/期間のカウントが止まらず45日を使い切った場合、選手は所属球団に戻ります。2025年オフの高橋光成(西武)のように、条件が折り合わず残留する例は実際にあります。
ポスティングと海外FAは何が違うのか
「同じメジャー移籍なのに、なぜ譲渡金が発生する選手としない選手がいるのか」という疑問はよく聞かれます。違いは選手が海外FA権を持っているかどうかだけです。
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| ポスティング | 海外FA | |
|---|---|---|
| 必要な資格 | 不要。ただし所属球団の承認が必要 | 1軍登録9年(一部8年)で取得 |
| 譲渡金 | 発生する(契約総額に応じて自動計算) | 発生しない |
| 交渉期間 | 通知から45日。過ぎたら日本に戻る | 期限なし。自由に交渉できる |
| 申請の時期 | 11月1日〜12月15日 | 権利行使を宣言すればいつでも |
| 球団のメリット | 十数億円規模の譲渡金が入る | なし(無償で流出する) |
球団が承認しなければポスティングは行われないため、「ポスティング容認」というニュースは球団が選手の希望を認めた瞬間を意味します。9年待って無償で出て行かれるより、早めに送り出して譲渡金を得る方が合理的、という判断が働く場面も少なくありません。
よくある質問
Q. ポスティングの譲渡金は選手の年俸から引かれるの?
A. 引かれません。譲渡金はMLB球団が契約総額とは別枠で日本の球団へ支払うお金です。選手の手取りが減ることはなく、MLB球団から見ると「契約総額+譲渡金」が実際の出費になります。そのため譲渡金の存在は、選手の年俸交渉に間接的な下押し圧力として働くと指摘されています。
Q. 佐藤輝明のポスティングはいつ発表される?
A. 申請できるのは11月1日からです。米メディアは3人とも11月上旬に申請される見通しだと報じており、球団の正式発表もその前後になると見られます。ただし現時点で阪神が正式に容認を表明したわけではなく、レギュラーシーズンと日本シリーズの日程が終わってからの判断になります。
Q. 45日以内に契約できなかったらどうなる?
A. 選手は元の日本の球団に戻り、翌シーズンはNPBでプレーします。譲渡金も発生しません。2025年オフには西武の高橋光成がポスティングしたものの、複数球団から条件提示はあったものの合意に至らず、西武と複数年契約を結び直しています。再びポスティングを申請することは可能です。
Q. ロックアウトになると日本の球団はどうなる?
A. 譲渡金の入金が翌年にずれ込みます。契約が成立して初めて譲渡金が発生する仕組みなので、ロックアウトで契約が凍結されれば、球団の収入計上も遅れます。2022年の広島は、鈴木誠也の契約が3月19日までずれ込んだことで、シーズン開幕直前まで約17億4000万円の入金を待つことになりました。
Q. 25歳未満だと譲渡金が極端に安いのはなぜ?
A. MLBには25歳未満かつプロ経験6年未満の外国人選手をアマチュア扱いとするルールがあり、球団ごとの国際契約金枠からしか支払えません。そのため大型契約が結べず、譲渡金は契約金の25%という別ルールになります。2024年オフの佐々木朗希がこの枠で、契約金650万ドルに対しロッテが得た譲渡金は162万5000ドルでした。
まとめ:11月の4週間がすべてを決める
2026年オフのポスティングは、例年とは前提が違います。整理すると次の通りです。
- 佐藤輝明・平良海馬・伊藤大海の3人が11月上旬に申請される見通し
- 交渉期間は45日だが、12月1日にMLBの労使協定が失効する
- ロックアウトに入れば契約締結は不可能。実質の交渉期間は11月の約4週間
- 譲渡金は契約総額から自動計算され、メジャー契約の実例12件すべてが式どおりだった
- 佐藤輝明が4年6000万ドルなら、阪神に入る譲渡金は約16億7000万円
- 前例の鈴木誠也は、ポスティングから契約まで117日かかった
11月に入ったら、まず注目すべきは球団が容認を発表する日付です。それが早ければ早いほど、選手が12月1日までに条件を詰める時間が増えます。続報が入り次第、この記事に追記していきます。
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参考・出典
- NPB.jp 日本野球機構「2026年度 セントラル・リーグ 個人打撃成績」
- NPB.jp 日本野球機構「2026年度 パシフィック・リーグ 個人投手成績」
- 時事ドットコム「岡本和真との契約発表 巨人へ譲渡金17億円」
- Full-Count「村上宗隆、ヤクルトへの譲渡金は10.3億円」
- MLB Trade Rumors「Kaima Taira Expected To Be Posted For MLB Teams This Offseason」
※為替は1ドル=154円(2026年9月10日時点)で換算しています。譲渡金のシミュレーションは当ブログによる試算です。

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