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外貨準備高はなぜ減る?介入15.4兆円で8月末は過去最大の減少率へ

2026 9/07
FX 経済・マネー
2026年9月7日
ChatGPT Image 2026年9月7日 01 00 33

※アフィリエイト広告を利用しています

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FX・為替解説

15.4兆円の円買い介入が、9月7日の「外貨準備高」に初めて表れる
試算では850〜950億ドル減、減少率は過去最大の5.6%を超える公算

財務省は2026年9月7日(月)8時50分に「外貨準備等の状況(8月末現在)」を公表します。7月30日〜8月26日に実施された15兆3,993億円という月次で過去最大の円買い・ドル売り介入が、外貨準備の残高に初めて反映される回です。本記事では、外貨準備高とは何か、なぜ為替介入で減るのか、8月末の数字はどこまで減りそうか、そして「介入の弾は残っているのか」という疑問に、財務省の一次データを使って答えます。

7月末の外貨準備高
1兆2,871億ドル
前月比 −3.8億ドル(介入前)
7/30〜8/26の介入額
15兆3,993億円
月次で過去最大
ドル換算の介入規模
約970億ドル
1ドル158円換算・当ブログ試算
減少率の過去最大
−5.6%
2026年5月末(−771億ドル)

7月30日の介入でドル円は163円台から157円台へ急落し、その後も8月中に断続的な介入が続きました。8月28日に財務省が公表した介入総額は15兆3,993億円で、2022年秋の9.2兆円、2024年春の9.8兆円、2026年春の11.7兆円をすべて上回っています。「それだけ売ったら、日本のドルはどれくらい減るのか」を確かめられるのが、9月7日朝の統計です。

目次

外貨準備高とは――日本が持つ「外貨の貯金」の中身

外貨準備高とは、政府(外国為替資金特別会計)と日本銀行が保有する外貨建て資産の残高です。為替介入の原資であり、通貨危機の際に輸入代金や対外債務の支払いを保証する「国の外貨の貯金」にあたります。財務省が毎月上旬に前月末の残高をドル建てで公表しており、7月末時点の内訳は次のとおりです。

項目 残高(7月末) 中身
証券 9,273億ドル 米国債などの外国債券。全体の72%
預金 1,623億ドル 外国の中央銀行やBIS(国際決済銀行)への預け金がほぼ全部
金 1,095億ドル 2,720万トロイオンス。時価で評価
SDR 607億ドル IMFの特別引出権
IMFリザーブポジション 114億ドル IMFへの出資のうち引き出せる分
その他 159億ドル ―
合計 1兆2,871億ドル 約203兆円(1ドル158円換算)

注目したいのは、すぐに使える「預金」が1,623億ドルしかない点です。残りの7割は米国債などの証券で持っており、介入に使うには売却するか、満期を迎えた償還金を充てる必要があります。この構造が、「為替介入をすると外貨準備高がどう減るか」を読み解く出発点になります。

なぜ為替介入で外貨準備高が減るのか

円買い・ドル売り介入とは、政府が手持ちのドルを市場で売り、円を買い戻す取引です。売ったドルはそのまま外貨準備から出ていくため、介入額の分だけ残高が減ります。流れを図にすると次の3段階です。

STEP 1ドルを用意する預金を取り崩すか、米国債を売却・償還してドル資金にする
STEP 2市場でドルを売る日銀が財務省の指示で実行。売った分だけ外貨準備が減る
STEP 3翌月上旬に統計へ月末残高が公表され、減少額から介入の規模と資金源が推定できる

過去の介入時のデータを見ると、減るのはほぼ「証券」で、「預金」はほとんど動いていません。2022年9月末は証券が515億ドル減った一方で預金は横ばい、2026年5月末も証券が755億ドル減って預金は1,622億ドル台のままでした。つまり当局は、手元の預金を温存し、米国債の売却や償還金で介入資金をまかなっていると読めます。

✔ 外貨準備高は「介入額」以外でも動く

残高はドル建ての時価評価なので、①米国債の価格(米金利が上がると評価額が下がる)②金の価格③ユーロなどドル以外の通貨の対ドル相場、でも増減します。介入がなかった6月末も、主に金の値下がりで184億ドル減りました。統計を読むときは「介入で減った分」と「評価で動いた分」を分けて考える必要があります。

8月末の外貨準備高はどこまで減る?当ブログの試算

介入額15兆3,993億円をドルに直すと、介入期間中のドル円(おおむね155〜160円)で割って約960〜990億ドルになります。ここから評価要因を加減して、8月末の残高を試算しました。

要因 8月中の変化 残高への影響(試算)
円買い・ドル売り介入 15兆3,993億円の売り −960〜990億ドル
金の価格 1オンス4,047ドル→4,432ドル(+9.5%) +約100億ドル(2,720万オンス保有)
米10年債利回り 4.75%→4.75%で横ばい ほぼ中立(2年債は+0.06%でわずかに評価減)
ユーロの対ドル相場 1.1485→1.1596ドル(+1.0%) ユーロ建て資産の分だけ小幅プラス
差し引き 約850〜950億ドル減 残高は1兆1,900億〜2,000億ドル前後、減少率6.6〜7.4%

減少率の過去最大は2026年5月末の5.6%(771億ドル減)で、その前は2022年9月末の4.2%(540億ドル減)でした。今回はドル換算の介入額が5月より2割以上大きいため、金の値上がりで一部相殺されても、減少額・減少率ともに過去最大を更新する可能性が高いと見ています。逆に、減少額が700億ドル程度にとどまるなら、償還金の充当や評価益が想定より大きかったと解釈できます。

📝 試算の前提

介入のドル換算は日々の実勢レートが公表されていないため幅を持たせています。前提を単純に足し合わせると860〜890億ドル減ですが、償還金の充当や評価要因の不確実性を見込んで850〜950億ドルの幅で示しています。金は7月31日と8月31日の国際価格、米金利は米財務省の日次利回り、ユーロは欧州中央銀行の参照レートを使いました。正式な数字は9月7日8時50分の財務省公表をご確認ください。本記事は公表後に【追記】で答え合わせをします。

過去の円買い介入と外貨準備の減少額を比べる

2022年以降の円買い介入と、その月の外貨準備高の変化を並べると、介入額と減少額が必ずしも比例しないことがわかります。

月末 介入額 外貨準備の増減 備考
2022年9月 2兆8,382億円 −540億ドル(−4.2%) 24年ぶりの円買い介入。証券が515億ドル減、預金は横ばい
2022年10月 6兆3,499億円 −434億ドル 10/21・10/24の2回。米金利上昇の評価減も重なり、残高は1兆1,945億ドルに
2024年5月 9兆7,885億円 −474億ドル(−3.7%) 4/29と5/1の2回。証券が504億ドル減
2024年7月 5兆5,348億円 −124億ドル(−1.0%) 7/11・12の介入。米金利低下と金高で大半が相殺
2026年5月 11兆7,349億円 −771億ドル(−5.6%) 減少額・減少率とも当時の過去最大。証券が755億ドル減
2026年8月 15兆3,993億円 試算 −850〜950億ドル 9月7日8時50分公表。過去最大更新なら6.6%超の減少率

2024年7月のように、介入額が5.5兆円あっても残高がほとんど減らなかった月もあります。米金利の低下で保有する米国債の評価額が上がり、金も値上がりしたためです。今回は米10年債利回りが月初と月末でほぼ同じ水準なので、評価益に頼れる部分は主に金の値上がり分に限られます。

「介入の弾」はまだあるのか――残高から読む当局の余力

外貨準備高が減るたびに「弾切れ」が話題になりますが、数字で整理すると見え方が変わります。

  • すぐ使える預金は1,623億ドル。2026年に入ってからの介入は4〜5月と7〜8月の合計で約27兆円、ドル換算で1,700億ドル超に達しており、預金だけでは足りない規模です。それでも預金残高が減っていないのは、米国債の売却・償還で補ってきたためです。
  • 証券は8月末でも8,300億ドル前後残る計算。理屈のうえでは介入の余力は十分にあります。ただし米国債を大量に売れば米金利の上昇要因になり、米国側との調整が必要になります。大和総研は2026年7月のレポートで「大規模かつ頻繁な介入は米長期金利上昇を招く可能性がある」と指摘しています。
  • 2026年は日米協調の枠組みがある。7月31日には米国も円買いに加わり、8月30日のベッセント米財務長官と植田日銀総裁の会談要旨(米財務省)でも「円の大幅な過小評価に対処する日本の断固たる措置を強く支持する」と明記されました。米国債の売却に対する米側の反発という従来の制約は、今年に限っては小さいと言えます。

市場関係者の間でも、介入が続いた結果として外貨準備が細っていく点は関心を集めています。日銀取材が長い「本石町日記」は、通貨防衛で外貨準備が減り続ければ最後は金準備に手を付けることになるのか、という論点を投げかけています。

わが国は、金準備をどうのこうの言う前に、円安ホクホク宰相の下、通貨防衛に追われて外貨準備が減りつつありますね。最後は金準備に手を付けるまでに追い込まれるのでしょうか。 https://t.co/BaTgMiVj0b

— 本石町日記 (@hongokucho) September 5, 2026

もっとも、外貨準備に占めるドルの比率という論点では、ニューヨーク連邦準備銀行のブログを引きながら「ドル保有の基盤は依然として強固」という分析も紹介されています。

NY連銀ブログ、世界の外貨準備におけるドル比率の低下を分析。ドル基軸の揺らぎとみられやすいが、依然としてドル保有の基盤は強固である、と。https://t.co/a8rjMNnhvu

— 本石町日記 (@hongokucho) September 6, 2026

⚠ 「外貨準備が減った=介入できなくなる」ではない

外貨準備高は減少率が7%でも1兆2,000億ドル前後が残り、世界2位の規模は変わりません。むしろ市場が見るのは「残高」より「当局がどこまで本気か」で、月次で過去最大の介入額を出したこと自体がメッセージになっています。一方で、減少が大きいほど「次は米国債の売却が本格化するのでは」という思惑を呼び、米金利や日米関係の話題に飛び火する点には注意が必要です。

9月7日の公表をどう見るか――ドル円への影響

外貨準備高の統計そのものは月1回の「過去の数字」で、公表直後にドル円が大きく動くことは多くありません。ただし今回は介入の規模が桁違いなので、次の3点を確認すると相場の読みに役立ちます。

チェックポイント 想定される数字 読み方
減少額 850〜950億ドル 想定内なら材料視されにくい。1,000億ドル超なら「介入の実弾がすべて外貨準備から出た」と受け止められ、介入警戒が強まる
証券と預金のどちらが減ったか 証券が900億ドル前後減、預金は横ばい 預金まで減っていれば「償還金や売却で間に合わないほど急いだ」証拠。当局の切迫感の目安
減少率 6.6〜7.4% 過去最大更新なら翌朝の新聞見出しになり、160円接近時の介入警戒を下支えする

ドル円は9月4日の米雇用統計後に156円台で落ち着き、9月5日のニューヨーク市場は156.25円で週を終えました。今週は9月11日の米消費者物価指数(CPI)、来週は15〜16日のFOMCと17〜18日の日銀金融政策決定会合が控えており、外貨準備高はその前哨戦にあたります。

  • 9月7日(月)8:50財務省「外貨準備等の状況(8月末)」公表。15.4兆円介入の答え合わせ
  • 9月8日(火)8:507月の国際収支(速報)。介入月の対外資産の動きも確認できる
  • 9月11日(金)21:30米8月CPI。FOMC前最後のインフレ指標
  • 9月15〜16日FOMC。利上げか据え置きか、ドットチャートも公表
  • 9月17〜18日日銀金融政策決定会合。1.00%→1.25%の利上げがほぼ織り込み済み
  • 11月上旬財務省が7〜9月期の介入を日次で公表。7月30日の単日額が確定する
財務省「外貨準備等の状況」公式ページ9月7日8時50分に8月末の残高が公表されます ▶

まとめ――外貨準備高は「介入の請求書」を見る統計

✔ この記事の要点

①外貨準備高は政府と日銀が持つ外貨資産の残高で、7月末は1兆2,871億ドル。7割が米国債などの証券、すぐ使える預金は1,623億ドルにとどまる。②円買い介入は手持ちのドルを売る取引なので、売った分だけ残高が減る。過去の介入では預金ではなく証券が減っており、米国債の売却・償還で資金を作っている。③7月30日〜8月26日の介入15兆3,993億円は約970億ドルに相当し、金の値上がりで一部相殺されても8月末は850〜950億ドル減、減少率6.6〜7.4%で過去最大を更新する公算。④減っても1兆2,000億ドル前後が残り「弾切れ」ではないが、米国債売却の思惑や日米関係に飛び火する点は要注意。⑤9月7日8時50分の公表では減少額・証券と預金の内訳・減少率の3点を確認する。

よくある質問

Q. 外貨準備高の8月末分はいつ発表されますか?

A. 財務省の週間予定によると、2026年9月7日(月)8時50分に「外貨準備等の状況(8月末現在)」として公表されます。財務省は毎月、前月末の残高を翌月上旬に公表しており、7月末分は8月7日に公表されました。

Q. 為替介入をすると、なぜ外貨準備高が減るのですか?

A. 円買い・ドル売り介入は政府が保有するドルを市場で売る取引なので、売った分だけ外貨建て資産が減るためです。過去のデータでは、預金はほとんど減らず、米国債などの証券が介入額に見合う分だけ減っています。当局が米国債の売却や償還金で介入資金を用意していると読み取れます。

Q. 8月末の外貨準備高はどのくらい減りそうですか?

A. 介入額15兆3,993億円は約960〜990億ドルに相当します。8月は金の価格が9.5%上がって約100億ドルの評価益が見込まれる一方、米10年債利回りは横ばいだったため、当ブログの試算では差し引き850〜950億ドル減、残高は1兆1,900億〜2,000億ドル前後です。減少率は6.6〜7.4%で、2026年5月末の5.6%を超えて過去最大となる可能性があります。

Q. 外貨準備高が減ると、もう為替介入はできなくなりますか?

A. いいえ。試算どおりに減っても残高は1兆2,000億ドル前後あり、証券だけでも8,000億ドル以上が残ります。ただし、すぐに使える預金は1,623億ドルに限られるため、大規模な介入を続けるには米国債の売却が必要で、米金利の上昇や米国との調整が制約になります。2026年は日米が協調して円安是正に動いているため、この制約は例年より小さいと考えられます。

Q. 外貨準備高の発表でドル円は動きますか?

A. 月末残高という過去の数字なので、発表直後に大きく動くことは通常ありません。ただし減少額が想定を大きく上回ったり、預金まで減っていたりすると「当局の本気度」として意識され、160円に近づいた場面での介入警戒を強める要因になります。今週は9月11日の米CPI、来週はFOMCと日銀会合が控えており、それらのほうが値動きへの影響は大きいと見られます。

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参考・一次情報

・財務省「外貨準備等の状況(令和8年7月末現在)」(2026年8月7日)mof.go.jp
・財務省「外国為替平衡操作の実施状況(令和8年7月30日〜令和8年8月26日)」(2026年8月28日)mof.go.jp
・財務省「週間予定(9月7日〜9月11日)」mof.go.jp
・大和総研「円買い・ドル売り為替介入の限界」(中村文香、2026年7月3日)dir.co.jp
・米財務省「READOUT: Secretary Bessent’s Meeting with Bank of Japan Governor Ueda」(2026年8月30日)home.treasury.gov
※過去の外貨準備高は財務省の各月公表値、金価格・米金利・ユーロ相場はそれぞれ市場データ・米財務省・欧州中央銀行の公表値に基づく当ブログの集計です。ドル円の水準は2026年9月5日までの市況報道によります。

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