DISASTER PREVENTION DAY 2026
なぜ9月1日なのかと、台風データが示す9月の危険
2026年の防災週間は8月30日から9月5日まで。「防災の日といえば関東大震災」と説明されがちですが、この日が選ばれた背景には台風があります。気象庁が名前を付けた台風10個のうち9個は9月に襲来したもの――公表データを自分で集計してわかった「9月の特別さ」と、この1週間でやるべき備えを整理しました。
この記事のポイント(3行サマリー)
- 2026年の「防災の日」は9月1日(火)、「防災週間」は8月30日〜9月5日。根拠は昭和57年5月11日の閣議了解で、日程は令和8年7月31日の中央防災会議で決定されています。
- 気象庁が正式に名前を付けた台風は全部で10個。そのうち9個が9月、残る1個が10月で、8月以前はゼロです。9月の台風は数ではなく「被害の重さ」で突出しています。
- 上陸数を75年分集計すると長期では8月が最多ですが、直近30年では9月が8月を逆転。防災週間はまさに「これから本番」というタイミングにあります。
1. 防災の日2026はいつ?防災週間の日程
防災の日
9月1日
2026年は火曜日
防災週間
8/30〜9/5
毎年同じ期間
火山防災の日
8月26日
2024年から
「防災の日」は毎年9月1日、「防災週間」は8月30日から9月5日までです。これは毎年変わる記念日ではなく、政府の決定として固定されています。根拠は次のとおりです。
根拠となる政府の決定
- 昭和57年5月11日 閣議了解「『防災の日』及び『防災週間』について」……防災の日を毎年9月1日とし、この日を含む1週間を防災週間とすると定めた。
- 昭和58年5月24日 中央防災会議決定……防災週間の期間を、昭和58年以降は毎年8月30日から9月5日までとした。
- 令和8年7月31日 中央防災会議決定……今年度の防災週間の実施内容を決定。あわせて8月26日の「火山防災の日」の周知も行うとしている。
意外に知られていないのが「火山防災の日」(8月26日)です。令和5年6月の活動火山対策特別措置法の改正で定められ、令和6年4月に施行されました。防災週間の直前に置かれており、今年の中央防災会議決定でも、防災週間とセットで周知するとされています。
今年の決定文が挙げた「昨年度の災害」
令和8年度の中央防災会議決定は、前年度に起きた災害として令和7年8月5日からの大雨、令和7年10月の台風第22号・第23号、青森県東方沖を震源とする地震を挙げています。そして「気候変動の影響により、災害の更なる激甚化・頻発化が懸念されている」と明記しました。防災週間は、こうした直近の被害を踏まえて毎年設計されています。
2. なぜ9月1日なのか――3つの背景
「防災の日=関東大震災の日」という説明はよく見かけますが、それだけでは制定の経緯を説明しきれません。この日付には地震・暦・台風という3つの要素が重なっています。
背景①:関東大震災(1923年9月1日)
1923年(大正12年)9月1日に発生した関東大震災は、日本の災害史上でも屈指の被害を出しました。9月1日という日付が国民にとって「災害を思い起こす日」として定着していたことが、この日が選ばれた最大の理由とされています。
背景②:二百十日という暦の節目
9月1日ごろは、立春から数えて210日目にあたる「二百十日」という暦の雑節です。稲が開花する時期に台風が襲来しやすい「厄日」として、古くから農家が警戒してきました。地震と台風、2つの警戒日が重なる日付だったわけです。
背景③:制定の直接の引き金となった伊勢湾台風(1959年)
ここが最も重要な点です。「防災の日」が創設されたのは昭和35年(1960年)6月17日の閣議了解によるもので、その前年に起きたのが伊勢湾台風でした。内閣府の災害教訓に関する報告書は、この台風を次のように記録しています。
伊勢湾台風(1959年9月26日〜27日)
- 9月26日夕刻に紀伊半島先端に上陸した台風第15号。
- 死者・行方不明者は5,098名。台風災害としては明治以降で最多。
- 犠牲者は32道府県に及んだが、その83%が愛知・三重の2県に集中。原因は高潮だった。
- 伊勢湾奥部では観測史上最大の3.55mの高潮が発生。日本最大のゼロメートル地帯を襲った。
- この経験を踏まえ、防災の概念と国の責務を明確にした「災害対策基本法」が1961年10月に制定された。
つまり「防災の日」は、関東大震災を記念しつつ、直接には台風災害への反省から生まれた日だということです。現在の根拠である昭和57年の閣議了解でも、想定する災害の筆頭に「台風、豪雨、豪雪、洪水、高潮、地震、津波等」と、台風が最初に挙げられています。
3. 【独自集計】名前が付いた台風10個のうち9個が9月
では、9月の台風は本当に特別なのでしょうか。気象庁は、特に顕著な災害を起こした自然現象に正式な名称を付けています。この公式リストに載っている台風をすべて数え、発生月で分類してみました。
| 名称 | 時期 | 台風番号 |
|---|---|---|
| 洞爺丸台風 | 昭和29年(1954年)9月 | 台風第15号 |
| 狩野川台風 | 昭和33年(1958年)9月 | 台風第22号 |
| 宮古島台風 | 昭和34年(1959年)9月 | 台風第14号 |
| 伊勢湾台風 | 昭和34年(1959年)9月 | 台風第15号 |
| 第2室戸台風 | 昭和36年(1961年)9月 | 台風第18号 |
| 第2宮古島台風 | 昭和41年(1966年)9月 | 台風第18号 |
| 第3宮古島台風 | 昭和43年(1968年)9月 | 台風第16号 |
| 沖永良部台風 | 昭和52年(1977年)9月 | 台風第9号 |
| 令和元年房総半島台風 | 令和元年(2019年)9月 | 台風第15号 |
| 令和元年東日本台風 | 令和元年(2019年)10月 | 台風第19号 |
結果は明快でした。気象庁が名前を付けた台風は全部で10個。そのうち9個が9月、1個が10月で、8月以前はひとつもありません。1954年の洞爺丸台風から2019年の房総半島台風まで、65年にわたってこの傾向は変わっていません。
この数字が意味すること
- 気象庁が名称を定めるのは、後世に経験を伝える必要があるほど顕著な災害を起こした現象に限られます。つまりこのリストは「日本を最も痛めつけた台風の一覧」です。
- 台風の数が最も多いのは夏です。それでも名前が付くほどの被害は9月に集中している――9月の台風は数ではなく「重さ」で突出しているということになります。
- 2019年の房総半島台風は千葉県で大規模な停電を引き起こし、千葉市で最大瞬間風速57.5メートルを記録しました。過去の話ではありません。
4. 【独自集計】上陸数75年分――近年は9月が8月を逆転した
次に、気象庁が公表している1951年から2025年までの台風上陸数を月別に集計しました。上陸とは、台風の中心が北海道・本州・四国・九州の海岸線に達した場合を指します。
1951〜2025年(75年)の月別上陸数
75年間の上陸は合計218個、年平均2.91個。月別では8月が79個で最多、次いで9月の69個でした。長期で見れば「上陸が最も多いのは8月」というのが正解です。
ところが直近30年では順位が入れ替わる
同じデータを1996年から2025年の30年間に絞ると、結果が変わります。
| 月 | 75年合計(1951-2025) | 直近30年(1996-2025) | 30年の年平均 |
|---|---|---|---|
| 6月 | 11個 | 5個 | 0.17個 |
| 7月 | 37個 | 17個 | 0.57個 |
| 8月 | 79個 | 27個 | 0.90個 |
| 9月 | 69個 | 28個 | 0.93個 |
| 10月 | 18個 | 9個 | 0.30個 |
直近30年では9月が28個で、8月の27個をわずかに上回りました。気象庁が公表している平年値(1991〜2020年の平均)でも、上陸数は9月が1.0個、8月が0.9個と9月が上です。「台風は8月がピーク」という感覚は、近年のデータでは必ずしも当てはまりません。
発生は夏が最多なのに、上陸は9月が並ぶ
もう一段掘り下げます。気象庁は台風について「発生数」「接近数」「上陸数」の3つの平年値(1991〜2020年の平均)を公表しています。並べると、9月の性格がはっきりします。
| 月 | 発生数 | 接近数 | 上陸数 |
|---|---|---|---|
| 7月 | 3.7 | 2.1 | 0.6 |
| 8月 | 5.7 | 3.3 | 0.9 |
| 9月 | 5.0 | 3.3 | 1.0 |
| 10月 | 3.4 | 1.7 | 0.3 |
| 年間 | 25.1 | 11.7 | 3.0 |
注目したいのは8月と9月の関係です。発生数は8月の5.7個に対して9月は5.0個と、9月のほうが少ない。日本への接近数はどちらも3.3個で同じ。ところが上陸数だけは9月(1.0個)が8月(0.9個)を上回ります。つまり9月は、日本に近づいた台風がそのまま上陸まで至る割合が高い月だということです。
年間で見ると、発生する25.1個のうち日本に接近するのは11.7個、実際に上陸するのは3.0個。発生した台風のうち上陸するのは約8個に1個という計算になります。ニュースで台風の発生を聞くたびに身構える必要はありませんが、9月は「接近したら上陸する確率が上がる月」だと覚えておくと、警戒のスイッチを入れるタイミングを間違えずに済みます。
ゼロの年もあれば10個の年もある
もうひとつ、備えを考えるうえで大事な事実があります。75年のうち台風の上陸が1個もなかった年は5年だけ(1984年、1986年、2000年、2008年、2020年)。一方で最も多かった2004年は年間10個が上陸しました。「今年は少ないから」という油断が最も危険な理由がここにあります。
2026年の状況
- 気象庁の統計によれば、2026年はここまでに6月と8月に1個ずつ、計2個が上陸しています(8月24日時点の公表値)。
- 年平均は2.91個ですから、これからが平年並みかどうかの分かれ目です。上陸のピークとされる9月はこれから始まります。
- 台風以外でも、令和8年8月には千葉県を中心とする記録的な豪雨が発生し、災害救助法が多数の市町に適用されました。備えの必要性は台風だけの話ではありません。
5. 防災週間の1週間でやること
ここからは実践編です。8月30日から9月5日までの1週間で、優先度の高い順に整理します。すべてを一度にやる必要はありません。1日ひとつずつで十分です。
1日目:ハザードマップで自宅と職場を確認する
最優先はこれです。同じ市区町村でも、浸水想定は道路一本で大きく変わります。自宅・職場・子どもの学校の3か所について、洪水・土砂災害・高潮・津波のどれに該当するかを確認してください。国土交通省の「重ねるハザードマップ」なら住所を入れるだけで複数の災害リスクを重ねて表示できます。
2日目:避難先と避難のタイミングを決める
ハザードマップで危険がないと確認できた場合、在宅避難のほうが安全なケースも多いのが実情です。逆に浸水想定区域なら、どこへ・いつ避難するかを家族で決めておきます。避難情報は5段階の警戒レベルで発表され、高齢者等避難がレベル3、避難指示がレベル4です。レベル4で全員避難、レベル5(緊急安全確保)は「すでに手遅れかもしれない」段階だと理解しておいてください。
3日目:備蓄を「最低3日、できれば1週間」に
- 水:1人1日3リットル×日数。4人家族で1週間なら84リットル
- 食料:普段食べているものを多めに買って古い順に消費するローリングストックが続けやすい
- カセットコンロとボンベ:停電・ガス停止時の生命線。ボンベは1本で約1時間が目安
- 簡易トイレ:見落とされがちだが最重要級。1人1日5回×日数分
- モバイルバッテリー:満充電で保管。乾電池式も1つあると安心
4日目:家具の固定と窓の対策
地震では家具の転倒が負傷の大きな原因になります。台風では、割れた窓ガラスが最も危険です。飛散防止フィルムを貼る、雨戸やシャッターを点検する、ベランダの物を室内に入れる習慣をつける――どれも当日ではなく事前にしかできない作業です。
5日目:安否確認の方法を家族で共有する
災害時は電話がつながりにくくなります。災害用伝言ダイヤル「171」や各携帯会社の災害用伝言板、SNSのグループなど、複数の手段を決めておくことが重要です。171は毎月1日と15日、そして防災週間にも体験利用ができます。まさにこの1週間が練習のタイミングです。
6日目:現金と重要書類を用意する
停電するとキャッシュレス決済もATMも使えません。小銭を含む現金を用意しておきましょう。あわせて保険証・通帳・身分証はコピーを取り、スマホでも撮影してクラウドに保存しておくと、罹災証明の申請や各種手続きが格段に楽になります。
7日目:受けられる公的支援を知っておく
備えは「防ぐ」だけではありません。被災した後にどんな支援が受けられるかを事前に知っておくことも立派な備えです。災害救助法が適用されると、避難所の設置から住宅の応急修理、学用品の給与まで幅広い支援が国と自治体の負担で行われます。詳しくは災害救助法が適用されるとどうなる?受けられる支援13種類で解説しています。
被災後に必ず警戒したいこと
- 災害のあとには修理を装った訪問販売や義援金詐欺が必ず増えます。「今すぐ契約を」と迫る業者はまず疑ってください。手口は災害に便乗した悪質商法で整理しています。
- 屋根の修理は高額な契約トラブルが多い分野です。その場で契約せず、複数見積もりと自治体・消費生活センターへの相談を挟んでください。
6. まとめ:9月1日は「暦の上のピーク直前」にある
防災の日が9月1日に置かれているのは、関東大震災の記憶と二百十日という暦の節目、そして伊勢湾台風という戦後最悪の台風災害が重なった結果でした。そしてデータを見れば、この日付の合理性はいまも失われていません。
気象庁が名前を付けた台風10個のうち9個は9月。直近30年の上陸数では9月が8月を上回っている。防災週間が8月30日から始まるのは、被害が最も重くなる季節に入る直前だからです。9月1日は「振り返る日」であると同時に、「これから来るものに備える日」でもあります。
ハザードマップの確認、備蓄の点検、安否確認の手段の共有。この3つだけでも、1週間あれば必ず終わります。今年の防災週間はそこから始めてみてください。
よくある質問(FAQ)
Q. 2026年の防災の日と防災週間はいつですか?
A. 防災の日は9月1日(火)、防災週間は8月30日から9月5日までです。防災の日は昭和57年5月11日の閣議了解で毎年9月1日と定められ、防災週間の期間は昭和58年5月24日の中央防災会議決定で毎年8月30日〜9月5日と固定されています。今年度の実施内容は令和8年7月31日の中央防災会議で決定されました。
Q. なぜ9月1日が防災の日なのですか?
A. 1923年9月1日に関東大震災が発生した日であること、暦の上で台風襲来の厄日とされる「二百十日」にあたることが重なるためです。加えて、防災の日が昭和35年に創設された直接の背景には、前年1959年9月の伊勢湾台風で死者・行方不明者5,098名という戦後最悪の台風被害が出たことがあります。
Q. 台風は9月と8月のどちらが多いのですか?
A. 1951〜2025年の75年間で見ると上陸数は8月が79個、9月が69個で8月が最多です。ただし直近30年(1996〜2025年)では9月28個・8月27個と逆転しており、気象庁の平年値でも上陸数は9月1.0個・8月0.9個で9月が上です。近年に限れば9月のほうが多いと言えます。
Q. 9月の台風はなぜ被害が大きいのですか?
A. 気象庁が正式に名前を付けた台風10個のうち9個が9月、1個が10月で、8月以前はゼロです。名称が付くのは後世に経験を伝える必要があるほど顕著な災害を起こした現象に限られるため、9月の台風は「数」ではなく「被害の重さ」で突出しているといえます。伊勢湾台風、狩野川台風、令和元年房総半島台風などがこれにあたります。
Q. 備蓄は何日分あればいいですか?
A. 最低3日分、できれば1週間分が目安です。水は1人1日3リットルで計算し、4人家族の1週間なら84リットルになります。食料は普段食べているものを多めに買って古い順に消費するローリングストックが続けやすく、あわせてカセットコンロとボンベ、簡易トイレ、モバイルバッテリーを備えておくと停電時の生活が大きく変わります。
Q. 避難のタイミングはどう判断すればいいですか?
A. 避難情報は5段階の警戒レベルで発表されます。レベル3が高齢者等避難、レベル4が避難指示で全員避難、レベル5の緊急安全確保はすでに安全な避難が難しい段階です。まずハザードマップで自宅が浸水想定や土砂災害警戒区域に該当するかを確認し、該当しない場合は在宅避難のほうが安全なケースもあります。
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参考・出典
- 内閣府:「防災の日」及び「防災週間」について(昭和57年5月11日 閣議了解)
- 内閣府:令和8年度「防災週間」及び「火山防災の日」について(令和8年7月31日 中央防災会議決定)
- 内閣府:災害教訓の継承に関する専門調査会報告書「1959 伊勢湾台風」
- 気象庁:顕著な災害を起こした自然現象の名称一覧
- 気象庁:台風の上陸数(年別・月別)
- 気象庁:台風の発生数・接近数・上陸数の平年値
- 気象庁:災害をもたらした気象事例(昭和20〜63年)
- 台風の月別上陸数の集計(75年分・直近30年)、および名称付き台風の月別分類は、上記の気象庁公表資料をもとに筆者が作成
※本記事は2026年8月24日時点で公表されている資料をもとに作成しています。台風の統計値は気象庁が随時更新するため、最新の数値は同庁の公表資料をご確認ください。避難の判断は、お住まいの自治体が発表する避難情報と気象庁の防災気象情報に従ってください。


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