皇族数の確保に向けた「皇室典範改正案」が衆議院本会議で可決され、参議院に送られました。1947年の現行皇室典範の制定以来、皇族の身分に関わる初めての本格改正で、今国会で成立する公算が大きくなっています。
この記事では、改正案の2本柱と皇位継承への影響、残された論点を図解と表でわかりやすく解説します。
📌 この記事の3行まとめ
- 女性皇族は結婚後も皇族の身分を保持できるようになる(配偶者・子は皇族にならない)
- 旧11宮家の男系男子を皇族の養子に迎えられるようになる(本人でなく、その子に皇位継承資格)
- 7月10日に衆院を通過し、今国会で成立する見通し。ただし女性・女系天皇の議論は先送り
皇室典範改正案とは?2つの柱をわかりやすく解説
政府は2026年6月30日の臨時閣議で皇室典範等改正案を決定し、国会に提出しました。目的は、減少が続く皇族数の確保です。柱は次の2つです。
女性皇族の身分保持
女性皇族が一般男性と結婚しても皇族の身分を離れないようにする。結婚後も皇族として公務を継続できる。
旧宮家からの養子縁組
1947年に皇籍を離脱した旧11宮家の男系男子の子孫を、現在の宮家の養子として皇族に迎えられるようにする。
柱①:女性皇族の婚姻後の身分保持
現行の皇室典範では、女性皇族は皇族以外の男性と結婚すると皇族の身分を離れると定められています。黒田清子さん(紀宮さま)や小室眞子さん(眞子さま)が結婚を機に皇籍を離脱したのはこの規定によるものです。
改正案では、女性皇族は「天皇および皇族以外の男子との婚姻によって皇族の身分を離れることがないものとする」と明記されました。現行制度と改正後を比べると次のようになります。
| 現行制度 | 改正後 | |
|---|---|---|
| 結婚後の身分 | 皇籍を離脱(一般国民に) | 皇族の身分を保持 |
| 結婚後の公務 | 行えない | 継続できる |
| 配偶者・子の身分 | ― | 皇族にならない(一般国民のまま) |
| 皇位継承資格 | なし | なし(本人・子とも変わらず) |
⚠️ 経過措置に注意
改正法の施行時にすでに皇族である女性は「その意思により、皇族の身分を離れることができる」と付則に規定。現在の女性皇族には、従来どおり結婚時に皇籍を離れる選択肢も残されます。
柱②:旧宮家の男系男子との養子縁組
現行制度では皇族は養子を迎えることができませんが、改正案では次の条件で可能になります。
| 養子の対象 | 1947年に皇籍を離脱した旧11宮家の男系男子の子孫 |
|---|---|
| 条件 | 15歳以上で、妻や子がいない男子 |
| 手続き | 縁組の決定には皇室会議の議を経る |
| 受け入れ先 | 常陸宮家・三笠宮家・高円宮家・寛仁親王妃家の4宮家と報道 (天皇ご一家、上皇ご夫妻、秋篠宮ご一家は対象外) |
皇位継承はどうなる?養子本人は対象外、その子に資格
今回の皇室典範改正案で最も注目されるのが、皇位継承との関係です。ポイントは次の3つです。
🏛️ 皇位継承の3つのポイント
- 養子となった本人は皇位継承資格を持たない
- 養子縁組後に生まれた男子(男系男子)は皇位継承資格を持つ
- 女性皇族が身分を保持しても、配偶者や子は皇族にならず継承資格もない
木原稔官房長官は国会審議の中で、養子となった男系男子の子孫に皇位継承資格が認められるとの見解を示しています。つまり今回の改正は、あくまで「男系男子による皇位継承」の維持を前提とした制度設計であり、女性天皇や女系天皇への道を開くものではありません。
現在、皇位継承資格を持つのは秋篠宮さま、悠仁さま、常陸宮さまの3人だけです。悠仁さまの世代では継承資格者がお一人となるため、将来の皇位継承を安定させる観点から、旧宮家の血筋を皇室に迎える仕組みが設けられることになります。
なぜ今、皇室典範の改正が必要なのか
背景にあるのは、深刻な皇族数の減少です。女性皇族は結婚により皇籍を離れるため、このままでは皇族数は減る一方で、国事行為の臨時代行や公務の担い手の確保が難しくなると指摘されてきました。
皇族数の確保策をめぐっては、2021年に政府の有識者会議が「女性皇族の婚姻後の身分保持」と「旧宮家の男系男子の養子縁組」の2案を柱とする報告書をまとめ、その後、衆参両院の議長のもとで各党協議が続けられてきました。今回の改正案は、この有識者会議報告書の方向性をほぼそのまま法制化したものと言えます。
国会審議の経過と今後の見通し
- 2021年12月政府の有識者会議が「女性皇族の身分保持」「旧宮家養子縁組」の2案を柱とする報告書
- 〜2026年衆参両院議長のもとで各党協議が継続
- 2026年6月30日政府が臨時閣議で皇室典範等改正案を決定、国会に提出
- 2026年7月10日衆議院本会議で賛成多数により可決、参議院へ送付
- 今後参議院で審議。今国会で成立する公算が大きい
衆院採決では与党のほか複数の野党も賛成に回り、幅広い会派の支持を得ました。参議院でも賛成が過半数に達する見通しと報じられており、成立すれば現行皇室典範の下では初めての本格改正となります。
残された論点は?改正案への賛否
幅広い賛成を集めた一方で、論点も残されています。
女性皇族の子に皇位継承資格がない点
改正案では、女性皇族が皇籍にとどまってもその子は皇族にならないため、愛子さまや佳子さまのお子さまが天皇になる道は開かれません。安定的な皇位継承の議論を先送りにしたまま「皇族数の確保」だけを制度化したことに対しては、女性天皇・女系天皇を含めた議論を求める立場からの批判があります。
旧宮家からの養子縁組の実現性
養子縁組は本人の意思が前提であり、実際に旧宮家の子孫から養子に入る人が現れるかは未知数です。また、戦後80年近く一般国民として生活してきた家系から皇族を迎えることへの国民の理解をどう得るかも課題とされています。
配偶者・子の身分をめぐる制度の複雑さ
結婚後も皇族にとどまる女性皇族の配偶者と子は一般国民のままとなるため、同じ家庭内で皇族と国民が同居するという前例のない形が生まれます。警備や生活支援のあり方など、運用面の検討はこれからです。
よくある質問(FAQ)
皇室典範改正案で愛子さまは天皇になれるようになりますか?
なりません。今回の改正案は皇位継承資格の見直しを含んでおらず、男系男子による継承の仕組みは変わりません。愛子さまは結婚後も皇族にとどまれるようになりますが、皇位継承資格は持たないままです。
旧宮家とは何ですか?
1947年(昭和22年)にGHQ占領下で皇籍を離脱した11の宮家のことです。いずれも男系で天皇の血筋につながる家系で、今回の改正案ではその男系男子の子孫が皇族の養子の対象となります。
改正案はいつ成立しますか?
2026年7月10日に衆議院を通過し、参議院での審議を経て今国会中に成立する公算が大きいと報じられています。成立時期や施行日は参議院の審議日程次第です。
まとめ:初の本格改正、それでも皇位継承の議論は続く
✅ まとめ
- 皇室典範改正案は「女性皇族の婚姻後の身分保持」と「旧宮家の男系男子の養子縁組」の2本柱で皇族数の確保を図るもの
- 2026年7月10日に衆院を通過し、今国会での成立が濃厚
- 男系男子による継承は維持され、女性天皇・女系天皇の議論は今回は見送り
皇族数の確保はあくまで当面の対応であり、皇室のあり方をめぐる議論は今後も続くことになりそうです。参議院での審議の行方に引き続き注目していきます。
※本記事は2026年7月11日時点の報道に基づいています。今後の国会審議により内容が変わる可能性があります。


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