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  4. 最低賃金2026はいくら?47都道府県の一覧といつから上がるか

最低賃金2026はいくら?47都道府県の一覧といつから上がるか

2026 10/01
社会・くらし 経済・マネー
2026年8月24日2026年10月1日
ChatGPT Image 2026年8月24日 10 38 29

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最低賃金2026 | 全国まとめ
今年の目安 47都道府県 いつから 106万円の壁 FAQ

MINIMUM WAGE 2026

2026年度の最低賃金はいくら?
47都道府県の一覧と「いつから」

2026年度の最低賃金は全国加重平均1,177円(+56円・5.0%)に決まりました。昨年度の+66円に次ぐ過去2番目の引き上げで、47都道府県のうち33県が国の目安を上回りました。ただし「10月1日から全国一律で上がる」わけではありません。47都道府県の確定額と発効日のズレ、そして10月1日に撤廃された「106万円の壁」との関係まで、公的資料と各労働局の発表の数字だけで整理します。

📈 全国平均1,177円(+56円・5.0%) 🗾 47都道府県の確定額・発効日一覧 ⚠️ 「10月1日から」は全国一律ではない

公開:2026年8月24日(10月1日 全47都道府県の確定額・106万円の壁の撤廃を反映) / 最終確認:厚生労働省・総務省の公表資料 / 約11,000字

この記事のポイント(3行サマリー)

  • 2026年度の引き上げ目安はAランク54円・Bランク56円・Cランク56円。47都道府県の改定額が出そろい、全国加重平均は1,177円(+56円、5.0%)。33県が目安を上回り、目安どおりの試算(1,176円)を1円上回りました。
  • 発効日は全国一律ではありません。2026年度は10月1日発効が15都道府県、10月中の発効が計37都道府県。11月発効が7県、12月発効が3県で、最も遅い沖縄県は12月2日です。自分の県の発効日を確認する必要があります。
  • 社会保険の加入条件のうち「月8.8万円以上」の賃金要件、いわゆる106万円の壁は2026年10月1日に撤廃されました。撤廃の条件とされた「全国の最低賃金1,016円以上」は、最低賃金の上昇ですでに満たされていました。

【追記 2026年10月1日】全47都道府県の確定額に更新しました

厚生労働省「令和8年度地域別最低賃金全国一覧」にもとづき、一覧表を全47都道府県の確定額・発効日に更新しました。全国加重平均は1,177円(+56円・5.0%)、目安を上回ったのは33県です。あわせて、10月1日に撤廃された106万円の壁についての説明を訂正しました(5章)。

【追記 2026年8月26日】答申の確定状況を反映しました

公開後に各地方最低賃金審議会の答申が相次いだため、47都道府県の一覧表を答申額・発効予定日つきに更新しました。8月26日時点で36都道府県が答申済み、うち23県が目安超えです。残る11県(青森・岩手・山形・山梨・高知・佐賀・長崎・熊本・大分・鹿児島・沖縄)は答申が出しだい追記します。

1. 2026年度の最低賃金は全国平均1,177円に

2026年7月28日、厚生労働省の第75回中央最低賃金審議会が、今年度の地域別最低賃金の引き上げ「目安」をまとめました。内容は次のとおりです。

目安どおりの全国加重平均

1,176円

現行は1,121円

引き上げ額

+55円

昨年度は+66円

引き上げ率

4.9%

昨年度は6.3%

都道府県は経済実態に応じてA・B・Cの3ランクに分けられ、ランクごとに目安額が示されます。2026年度の目安はAランク54円、Bランク56円、Cランク56円。現在Aランクは6都府県、Bランクは28道府県、Cランクは13県です。

ランク都道府県目安額
A(6)埼玉、千葉、東京、神奈川、愛知、大阪54円
B(28)北海道、宮城、福島、茨城、栃木、群馬、新潟、富山、石川、福井、山梨、長野、岐阜、静岡、三重、滋賀、京都、兵庫、奈良、和歌山、島根、岡山、広島、山口、徳島、香川、愛媛、福岡56円
C(13)青森、岩手、秋田、山形、鳥取、高知、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄56円

今年の特徴①:地方が都市部を上回る「逆転」の目安

注目すべきは、BランクとCランクの目安がAランクを2円上回っている点です。通常は経済力の強いAランクの引き上げ額が大きくなりますが、今年度は地域間格差の縮小が意識されました。この目安どおりに改定されれば、最も高い東京都と最も低い県との差は203円から201円へ縮小します。実際には地方の上振れで、東京都1,280円と最も低い宮崎県1,085円の差は195円まで縮まりました。

今年の特徴②:金額で労使の意見がまとまらなかった

もうひとつ見逃せないのが、答申の文言です。中央最低賃金審議会の答申には「令和8年度地域別最低賃金額改定の目安については、その金額に関し意見の一致をみるに至らなかった」と明記されています。つまり労働者側と使用者側の合意が成立せず、公益委員の見解として金額が示された形です。それだけ賃上げ余力をめぐる労使の溝が深かったことを示しています。

そもそも「目安」とは何か

  • 目安制度は昭和53年度から続く仕組みで、地域別最低賃金の全国的な整合性を図るために中央最低賃金審議会が毎年示すものです。
  • 目安は地方最低賃金審議会を拘束しません。実際の金額は各都道府県の地方最低賃金審議会が審議して答申し、都道府県労働局長が決定します。
  • 最低賃金は①労働者の生計費②労働者の賃金③通常の事業の賃金支払能力――の3要素を考慮して決められます。

2. 【47都道府県別】目安どおりならいくらになるか

読者が最も知りたいのは「自分の県はいくらになるのか」でしょう。そこで、現行額(2025年度)にランク別の目安額を足した試算を47都道府県分作成しました。実際の金額は各地方最低賃金審議会の答申で決まるため、下限の目安として作ったものです。10月1日の更新で、全47都道府県の確定額を「改定額」の列に反映しました。

この表の見方

  • 現行額=2025年度(令和7年度)の地域別最低賃金。厚生労働省公表の全国一覧から引用しています。
  • 試算額=現行額+ランク別の目安額(A54円/B56円/C56円)。筆者による試算です。
  • 改定額(確定)=厚生労働省「令和8年度地域別最低賃金全国一覧」の金額。赤字は目安を上回った幅です。
  • 発効日=同じ一覧に示された発効日です。
都道府県ランク現行額試算額改定額(確定)発効日
北海道B1,075円1,131円1,131円2026年10月1日
青森県C1,029円1,085円1,090円(目安+5円)2026年10月29日
岩手県C1,031円1,087円1,090円(目安+3円)2026年12月1日
宮城県B1,038円1,094円1,098円(目安+4円)2026年10月1日
秋田県C1,031円1,087円1,090円(目安+3円)2026年10月14日
山形県C1,032円1,088円1,092円(目安+4円)2026年10月30日
福島県B1,033円1,089円1,094円(目安+5円)2026年10月16日
茨城県B1,074円1,130円1,136円(目安+6円)2026年10月18日
栃木県B1,068円1,124円1,125円(目安+1円)2026年10月1日
群馬県B1,063円1,119円1,120円(目安+1円)2026年10月3日
埼玉県A1,141円1,195円1,196円(目安+1円)2026年10月1日
千葉県A1,140円1,194円1,195円(目安+1円)2026年10月1日
東京都A1,226円1,280円1,280円2026年10月1日
神奈川県A1,225円1,279円1,279円2026年10月1日
新潟県B1,050円1,106円1,108円(目安+2円)2026年10月1日
富山県B1,062円1,118円1,119円(目安+1円)2026年10月1日
石川県B1,054円1,110円1,113円(目安+3円)2026年10月3日
福井県B1,053円1,109円1,112円(目安+3円)2026年10月4日
山梨県B1,052円1,108円1,113円(目安+5円)2026年11月1日
長野県B1,061円1,117円1,117円2026年10月2日
岐阜県B1,065円1,121円1,121円2026年10月1日
静岡県B1,097円1,153円1,154円(目安+1円)2026年10月15日
愛知県A1,140円1,194円1,195円(目安+1円)2026年10月1日
三重県B1,087円1,143円1,143円2026年10月1日
滋賀県B1,080円1,136円1,136円2026年10月3日
京都府B1,122円1,178円1,180円(目安+2円)2026年11月16日
大阪府A1,177円1,231円1,231円2026年10月1日
兵庫県B1,116円1,172円1,172円2026年10月1日
奈良県B1,051円1,107円1,107円2026年10月4日
和歌山県B1,045円1,101円1,101円2026年10月3日
鳥取県C1,030円1,086円1,090円(目安+4円)2026年10月3日
島根県B1,033円1,089円1,092円(目安+3円)2026年10月10日
岡山県B1,047円1,103円1,104円(目安+1円)2026年10月2日
広島県B1,085円1,141円1,141円2026年10月11日
山口県B1,043円1,099円1,101円(目安+2円)2026年10月8日
徳島県B1,046円1,102円1,103円(目安+1円)2026年11月1日
香川県B1,036円1,092円1,092円2026年10月1日
愛媛県B1,033円1,089円1,093円(目安+4円)2026年11月1日
高知県C1,023円1,079円1,086円(目安+7円)2026年10月29日
福岡県B1,057円1,113円1,114円(目安+1円)2026年10月4日
佐賀県C1,030円1,086円1,095円(目安+9円)2026年11月15日
長崎県C1,031円1,087円1,087円2026年11月2日
熊本県C1,034円1,090円1,092円(目安+2円)2026年12月1日
大分県C1,035円1,091円1,096円(目安+5円)2026年11月1日
宮崎県C1,023円1,079円1,085円(目安+6円)2026年10月24日
鹿児島県C1,026円1,082円1,090円(目安+8円)2026年10月25日
沖縄県C1,023円1,079円1,086円(目安+7円)2026年12月2日
全国加重平均–1,121円1,176円1,177円–

試算の答え合わせ:Aランクは「目安どおり〜+1円」に収まった

この試算がどの程度使えたのか、実際の答申で答え合わせをしましょう。東京地方最低賃金審議会は2026年8月5日、時給1,280円とする答申を行いました。現行1,226円+目安54円=1,280円ですから、試算とぴったり一致です。神奈川県(1,279円)と大阪府(1,231円)も目安どおり、埼玉・千葉・愛知の3県は目安を1円だけ上回る55円の引き上げでした。Aランク6都府県はすべて「目安どおり〜+1円」に収まり、都市部では試算がほぼそのまま最終額になることが裏づけられました。

一方で、地方は今年も試算を上回りました。次章で見るように、BランクとCランクでは目安を上回る答申が続出するのが近年のパターンで、2026年度もそのとおりになっています。

3. 地方は目安どおりに終わらない:昨年度は47都道府県中39県が上振れ

ここが本記事の核心のひとつです。2025年度(令和7年度)の実績を、厚生労働省の全国一覧から筆者が集計しました。当時の目安はAランク63円、Bランク63円、Cランク64円でしたが、実際の改定額は次のようになりました。

ランク県数目安を上回った県最大の上振れ
Aランク61県千葉県 +1円
Bランク2825県福島県・群馬県 +15円
Cランク1313県(全県)熊本県 +18円
合計4739県–

結果は明快です。47都道府県のうち39県が目安を上回り、目安どおりに収まったのはわずか8都府県(埼玉・東京・神奈川・長野・静岡・愛知・滋賀・大阪)でした。とくにCランクは13県すべてが目安超えで、熊本県は目安64円に対して82円、大分県は81円、秋田県は80円と、目安を15〜18円上回る答申が並びました。

2026年度の予測に使えるパターン

  • A(都市部)は目安どおり:昨年度は6都府県中5つが目安ちょうど。今年も東京・神奈川・大阪が目安どおり、埼玉・千葉・愛知が+1円で答申されています。
  • B・C(地方)は上振れしやすい:昨年度はBで25/28県、Cで13/13県が目安超え。前章の試算額は「最低ライン」と考えるのが現実的です。
  • 背景には、人手不足で実際の求人時給が最低賃金を大きく上回っている地域が多く、地方審議会が「最低賃金が実態に追いついていない」と判断しやすい事情があります。

【追記】2026年度もパターンどおり:47都道府県中33県が上振れ

全47都道府県の改定額を集計すると、このパターンは今年も当てはまりました。目安を上回ったのは33県(Aランク3・Bランク18・Cランク12)。上振れ幅が最も大きいのは佐賀県の+9円(65円引き上げの1,095円)で、鹿児島県+8円、高知県・沖縄県+7円、茨城県・宮崎県+6円が続きます。Cランクは13県中12県が目安超えで、目安どおりは長崎県だけでした。京都府は目安を2円上回る1,180円です。目安どおりに収まったのは東京都・大阪府など14都道府県。昨年度の39県よりは上振れが減りましたが、「地方ほど目安を上回りやすい」という傾向は変わっていません。

4. 最大の落とし穴:「10月1日から」は全国一律ではない

ニュースでは「新しい最低賃金は10月から」と報じられますが、これは正確ではありません。発効日は都道府県ごとにバラバラです。2025年度の実績を集計すると、次のようになります。

発効時期県数備考
2025年10月中20県うち10月1日は栃木県のみ
2025年11月中13県–
2025年12月中8県–
2026年1月4県福島・徳島・熊本・大分
2026年3月2県群馬(3月1日)・秋田(3月31日)

つまり2025年度は、10月1日ちょうどに新しい額が有効になったのは栃木県だけでした。最も遅い秋田県は2026年3月31日。東京都(2025年10月3日)と比べると、ほぼ半年の差があったことになります。

【追記】2026年度は「10月1日組」が15都道府県に増えた

全47都道府県の発効日が確定しました。10月1日発効は15都道府県(北海道・宮城・栃木・埼玉・千葉・東京・神奈川・新潟・富山・岐阜・愛知・三重・大阪・兵庫・香川)で、昨年度の栃木県1県から大きく増えました。10月中に発効するのは合わせて37都道府県です。それでも11月発効が7県(山梨・徳島・愛媛・大分が1日、長崎が2日、佐賀が15日、京都が16日)、12月発効が3県(岩手・熊本が1日、沖縄が2日)あり、「10月1日から」が当てはまらない地域が残る構図は今年も変わりません。昨年3月31日まで持ち越した秋田県は、今年は10月14日に前倒しされました。

なぜこれほどズレるのか

地域別最低賃金は、地方最低賃金審議会の答申を受けて都道府県労働局長が決定・公示し、そこから一定の期間を置いて発効します。答申の時期は地域によって異なり、さらに公示後には異議申出の期間が設けられます。加えて、引き上げ幅が大きい年は、中小企業が支払い体制を整える時間を確保するために発効日を後ろへ倒す判断がされやすくなります。実際、2025年度に発効が年明けにずれ込んだ6県のうち5県(福島78円、群馬78円、秋田80円、大分81円、熊本82円)は引き上げ額が特に大きい県でした。

働く側・雇う側が確認すべきこと

  • 自分の県の発効日は都道府県労働局のサイトで確認を。「◯◯労働局 最低賃金」で検索すれば、答申額と発効日が公表されています。
  • 発効日より前に新額を支払う義務はありませんが、発効日以降は1円でも下回れば違法です(最低賃金法違反には罰則があります)。
  • 全47都道府県の発効日は前章の一覧表に反映済みです。

5. 「106万円の壁」は2026年10月1日に撤廃された

【訂正 2026年10月1日】

公開時(8月)の本記事では、賃金要件の撤廃時期を「政令で定められ、まだ確定していない」「2026年10月と決まった事実はない」と説明していました。しかし日本年金機構は「令和8年10月に撤廃」と案内しており、賃金要件は2026年10月1日に撤廃されました(共同通信など各社も同日と報道)。本章とFAQを実際の内容に合わせて改めました。

最低賃金の話題とセットで語られるのが「年収の壁」です。2025年6月に成立した年金制度改正法により、短時間労働者が社会保険に加入する要件のうち「賃金が月額8.8万円(年収106万円相当)以上」という賃金要件が撤廃されることになり、2026年10月1日に撤廃されました。

撤廃の判断基準は「最低賃金1,016円」だった

法律の段階では撤廃の時期は決まっておらず、厚生労働省は次のように説明していました。

厚生労働省「社会保険の加入対象の拡大について」より

  • 「撤廃の時期は、法律の公布から3年以内で、全国の最低賃金が1,016円以上となることを見極めて判断します(最低賃金1,016円以上の地域で週20時間以上働くと、年額換算で約106万円となります。)」

その後、施行日は2026年10月1日となりました。同じ日には、加入拡大の対象になった人の保険料負担を軽減できる支援措置(労使折半を超えて事業主が負担した保険料を制度的に支援する仕組み)も施行されています。

撤廃の「条件」はすでに満たされている

ここで最低賃金の話とつながります。撤廃の判断基準である「全国の最低賃金が1,016円以上」という条件は、すでにクリア済みです。2025年度の改定で最も低い高知県・宮崎県・沖縄県でも1,023円となり、47都道府県すべてが1,016円を上回りました。

ただし前章のとおり発効日はバラバラで、最後の秋田県が1,031円になったのは2026年3月31日。厳密に言えば「全国のすべての地域で最低賃金が1,016円以上になった日」は2026年3月31日だったことになります。2026年度の改定で最低額は宮崎県の1,085円まで上がり、条件はさらに余裕をもって満たされます。撤廃の条件は、10月1日の撤廃より前に満たされていたことになります。

加入拡大のスケジュール全体像

賃金要件の撤廃以外にも、社会保険の加入対象は10年かけて段階的に広がります。厚生労働省の資料をもとに整理しました。

  • 2025年6月13日年金制度改正法が成立(衆議院で修正のうえ可決)
  • 2026年10月1日賃金要件(月8.8万円)の撤廃=いわゆる106万円の壁。あわせて、加入拡大の対象になる短時間労働者への保険料負担の支援措置が施行
  • 2027年10月企業規模要件の縮小:従業員36〜50人の企業が対象に
  • 2029年10月従業員21〜35人の企業が対象に/常時5人以上の個人事業所が全業種で適用対象に
  • 2032年10月従業員11〜20人の企業が対象に
  • 2035年10月従業員1〜10人の企業が対象に(企業規模要件が完全撤廃)

最終的に残る要件は「週の所定労働時間が20時間以上」(学生は対象外)です。壁が消えるのではなく、「106万円の壁」から「週20時間の壁」へ引っ越すと理解するのが正確です。判定基準が年収から労働時間に変わるため、時給が上がっても加入義務は発生し続けます。

6. 時給が上がると「働ける時間」が減るという逆説

最低賃金の上昇は、扶養の範囲内で働きたい人にとっては働ける時間の減少を意味します。106万円に達するまでの労働時間を計算してみましょう。

106万円に達するまでの年間労働時間 全国平均1,121円 → 1,060,000 ÷ 1,121 = 約946時間
全国平均1,177円 → 1,060,000 ÷ 1,177 = 約901時間
東京都1,280円   → 1,060,000 ÷ 1,280 = 約828時間

全国平均で見ると、時給が56円上がることで働ける時間は年間45時間減る計算です。週あたりにすればおよそ52分。1日8時間勤務なら年間で5〜6日分のシフトが消えることになります。東京都で働く人はさらに厳しく、946時間から828時間へと年118時間も縮みます。

そもそも「金額の壁」は時給の上昇が先に壊した

もうひとつ、重要な事実があります。週20時間×52週で働いた場合の年収を計算すると、次のようになります。

週20時間×52週で働いた場合の年収 全国平均1,177円 → 約122.4万円
東京都1,280円   → 約133.1万円
最も低い宮崎県1,085円 → 約112.8万円

つまりどの都道府県でも、週20時間働けば年収は106万円を超えます。だからこそ厚生労働省は「最低賃金1,016円以上の地域で週20時間以上働くと年額換算で約106万円になる」ことを撤廃の判断基準に置いたのです。金額の壁は、法改正を待つ前に時給の上昇が先に無効化していた――これが2026年の実像です。

残る壁と、なくならない壁

  • 130万円の壁は残ります。従業員数の少ない企業などで社会保険の加入対象外の場合、年収130万円以上になると配偶者の扶養から外れて自分で国民年金・国民健康保険に加入することになります。
  • 税の壁(所得税・住民税)は「崖」ではなく「坂」です。超えた分に段階的に課税されるため、社会保険の壁のように手取りが急落することはありません。
  • 社会保険に加入すること自体は不利ばかりではありません。厚生年金は将来の年金が増え、傷病手当金や出産手当金といった健康保険の給付も受けられるようになります。

7. 自分の賃金が最低賃金を下回っていないか確認する方法

最低賃金は正社員・パート・アルバイト・派遣を問わず、地域内のすべての労働者に適用されます。仮に最低賃金より低い賃金を労使の合意で定めても、その定めは法律により無効とされ、最低賃金額と同額の定めをしたものとみなされます。つまり差額を請求できます。

時給への換算方法

厚生労働省が示す確認方法は次のとおりです。

賃金の形態比較の仕方
時間給制時間給 ≧ 最低賃金額(時間額)
日給制日給 ÷ 1日の所定労働時間 ≧ 最低賃金額
月給制月給 ÷ 1か月平均所定労働時間 ≧ 最低賃金額
出来高払制・歩合制賃金総額 ÷ その期間の総労働時間 ≧ 最低賃金額

計算に含めてはいけない手当がある

ここが間違えやすいポイントです。すべての手当を足して割ってはいけません。厚生労働省の例では、通勤手当や時間外手当は最低賃金の計算から除外され、職務手当は除外されないとされています。除外されるのは主に次のものです。

最低賃金の計算から除外される賃金

  • 精皆勤手当、通勤手当、家族手当
  • 臨時に支払われる賃金(結婚手当など)
  • 1か月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)
  • 時間外労働・休日労働・深夜労働に対する割増賃金

厚生労働省が示す計算例で確かめてみましょう。月給制で基本給15万円、職務手当3万円、通勤手当5,000円、その月の時間外手当が3万5,000円で総支給22万円、年間所定労働日数250日・1日8時間、県の最低賃金が1,000円というケースです。

厚生労働省の計算例 220,000円 −(通勤手当5,000円 + 時間外手当35,000円)= 180,000円
(180,000円 × 12か月)÷(250日 × 8時間)= 1,080円 > 1,000円 → 最低賃金以上

もし計算して下回っていた場合は、都道府県労働局または最寄りの労働基準監督署に相談してください。派遣で働いている場合は、派遣元ではなく派遣先の事業場が所在する都道府県の最低賃金が適用される点にも注意が必要です。

8. まとめ:確認すべきは「金額」より「発効日」

2026年度の最低賃金は、全国加重平均1,177円(+56円・5.0%)に決まりました。地方のBランク・Cランクは目安を上回る答申が出やすく、実際に47都道府県中33県が目安超えとなりました。本記事の試算表が最低ラインであることは、今年も答申で裏づけられています。

そして最も誤解されているのが「いつから」です。2025年度に10月1日から発効したのは栃木県だけで、秋田県は2026年3月31日でした。2026年度は10月1日発効が15都道府県に増えたものの、11月・12月発効の県も10県残っています。ニュースの「10月から」を自分の県に当てはめないこと――これが働く側にとっても雇う側にとっても最も実害の出やすいポイントです。

「106万円の壁」は2026年10月1日に撤廃されました。ただし、撤廃の条件である「全国の最低賃金1,016円以上」はその前にすでに満たされ、週20時間働けばどの県でも年収は106万円を超える状態になっていました。壁は消えたのではなく、金額から労働時間へ引っ越した。この構造を理解しておけば、秋以降の報道に振り回されずに済むはずです。

よくある質問(FAQ)

Q. 2026年度の最低賃金はいくらですか?

A. 全国加重平均で1,177円です(前年度1,121円から+56円、5.0%の引き上げ)。最も高いのは東京都の1,280円、最も低いのは宮崎県の1,085円。47都道府県の金額と発効日は、厚生労働省の全国一覧にもとづく本記事の一覧表で確認できます。

Q. 新しい最低賃金は10月1日から適用されますか?

A. 全国一律ではありません。2026年度の10月1日発効は東京・大阪など15都道府県で、10月中の発効は合わせて37都道府県です。11月発効が7県(京都府は11月16日)、12月発効が3県で、最も遅い沖縄県は12月2日です。参考までに2025年度は10月1日発効が栃木県のみで、最も遅い秋田県は2026年3月31日発効でした。自分の県の発効日は都道府県労働局の公表資料で確認してください。

Q. 目安より高い金額になることはありますか?

A. よくあります。2025年度は47都道府県のうち39県が目安を上回りました。とくにCランク13県はすべてが目安超えで、熊本県は目安64円に対して82円の引き上げでした。2026年度も47都道府県のうち33県が目安を上回り、最大は佐賀県の+9円でした。一方、東京都や大阪府などAランクは目安どおり〜+1円に収まる傾向があります。

Q. 106万円の壁は2026年10月に撤廃されたのですか?

A. はい。社会保険の加入要件のうち「月額賃金8.8万円以上」の賃金要件は、2026年10月1日に撤廃されました。同じ日に、加入拡大の対象者の保険料負担を軽減する支援措置も施行されています。撤廃の判断基準とされた「全国の最低賃金1,016円以上」は、最低賃金の上昇ですでに満たされていました。

Q. 賃金要件が撤廃されたら何が基準になりますか?

A. 「週の所定労働時間が20時間以上」(学生は対象外)が主な基準になります。企業規模要件も2027年10月から2035年10月にかけて段階的に撤廃されるため、最終的には週20時間以上働けば勤め先の規模にかかわらず社会保険に加入することになります。年収ではなく労働時間で判定される仕組みへの転換です。

Q. 自分の給料が最低賃金を下回っていたらどうすればいいですか?

A. 最低賃金を下回る賃金の定めは法律により無効となり、最低賃金額と同額の定めをしたものとみなされるため、差額を請求できます。まず月給を1か月平均所定労働時間で割って時給換算し、通勤手当・家族手当・精皆勤手当・賞与・割増賃金を除いて比較してください。下回っていた場合は都道府県労働局または労働基準監督署に相談しましょう。

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参考・出典

  • 厚生労働省:令和8年度地域別最低賃金額改定の目安について(2026年7月28日)
  • 厚生労働省:報道発表資料(目安はAランク54円、Bランク56円、Cランク56円)[PDF]
  • 中央最低賃金審議会:令和8年度地域別最低賃金額改定の目安について(答申)[PDF]
  • 厚生労働省:地域別最低賃金の全国一覧(令和7年度の額・発効日)
  • 厚生労働省:最低賃金制度と目安制度の概要[PDF]
  • 厚生労働省:最低賃金額以上かどうかを確認する方法
  • 厚生労働省:社会保険の加入対象の拡大について(賃金要件の撤廃時期)
  • 厚生労働省:年金制度改正法が成立しました
  • 厚生労働省:令和8年度地域別最低賃金全国一覧[PDF](47都道府県の改定額・発効日)
  • 各都道府県労働局・地方最低賃金審議会の答申発表および報道各社の報道(2026年8月26日時点の答申額・発効予定日)
  • 都道府県別の試算額(現行額+ランク別目安額)、2025年度の目安超過・発効日の集計、2026年度答申の目安超過の集計は、上記の公表資料をもとに筆者が作成

※本記事は2026年8月24日公開・2026年8月26日更新(答申状況を反映)・2026年10月1日更新(全47都道府県の確定額と106万円の壁の撤廃を反映)です。都道府県別の試算額は目安に基づく筆者の試算、改定額は厚生労働省「令和8年度地域別最低賃金全国一覧」の額です。実際の地域別最低賃金額および発効日は、各地方最低賃金審議会の答申を経て都道府県労働局長が決定・公示します。最新の情報は厚生労働省および各都道府県労働局の公表資料をご確認ください。

最低賃金2026 全国まとめ — 公開 2026.08.24/更新 2026.10.01 | 金額・発効日は各都道府県労働局の公表資料が最終的な根拠となります。
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