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アムールヒョウ「デン」はなぜ広島へ?旭山の展示は10月26日まで
旭川市旭山動物園のアムールヒョウのオス「デン」が、繁殖のために広島市安佐動物公園へ移ります。旭山での展示は2026年10月26日まで。デンは3年前にデンマークから来て、旭山で2頭の子の父になったオスです。公式発表と年報をもとに、移動の日程、国内で名前の分かるアムールヒョウ、野生の数をまとめました。
この記事の結論
- 旭山動物園の発表によると、デン(オス)は10月28日に広島市安佐動物公園へ出発し、30日に到着する予定です。旭山での展示は10月26日までです。
- 安佐動物公園は、飼育している雌の「スク」(7歳)との繁殖を目指すとしています。広島での公開は、デンが新しい環境に慣れてからです。
- デンは2022年5月2日、デンマークのコペンハーゲン動物園で生まれました。2023年10月19日に旭山へ来てから出発まで1,105日(約3年)。その間に雌「みらい」との間に2024年と2026年に子が生まれ、2頭が育っています。
- 国内のアムールヒョウは、広島市の資料で2017年末に7園15頭、2022年末に10園17頭。野生はロシア極東と中国の一部だけで、ロシアの「ヒョウの国」国立公園は2023年の記録として成獣129頭・子14頭を公表しています。
- 動物園どうしで動物を移して繁殖させるのは、日本動物園水族館協会(JAZA)が進める「ブリーディングローン」などの仕組みの考え方です。今回が貸し出しか譲渡かは公表されていません。
アムールヒョウ「デン」の広島移動はいつ?公式発表の中身
旭山動物園の「しいくにゅーす」(2026年10月16日更新)は、次のように伝えています。
- 10月28日、アムールヒョウの「デン」(オス)が繁殖のために広島市安佐動物公園へ移動する
- 移動にともない、旭山でのデンの展示は10月26日まで
- 安佐動物公園への到着は10月30日の予定。移動先での公開は、デンの様子を見ながら決める
受け入れ側の安佐動物公園も同じ10月16日に「アムールヒョウが1頭来園します!」と発表しました。現在、雌のアムールヒョウ「スク」(7歳)を飼育しており、来園する雄との繁殖を目指すとしています。公開時期は、園の環境に慣れたあとに改めて知らせるとのことです。
| 項目 | 内容 | 出典 |
|---|---|---|
| 個体名・性別 | デン(オス) | 旭山・安佐 |
| 生年月日・生まれ | 2022年5月2日、デンマーク・コペンハーゲン動物園(4歳) | 旭山(2023年)・安佐 |
| 旭山での展示 | 10月26日まで | 旭山 |
| 旭山を出る日 | 10月28日 | 旭山 |
| 安佐に着く日 | 10月30日(予定) | 旭山・安佐 |
| 移動先の相手 | 雌のスク(2019年7月29日、神戸市立王子動物園生まれ) | 安佐(2023年・2026年) |
| 広島での公開 | 未定(慣れてから改めて告知) | 旭山・安佐 |
10月23日から数えると、旭山で見られるのはあと3日です。出発から到着まで2日かかる予定で、北海道から広島まで陸路で運ぶ長旅になると見られます(輸送方法は公表されていません)。

デンは旭山で何をしてきた?来園からの3年を年表で
デンの来歴を、旭山動物園の発表・どうぶつえん日記・年報で確かめられた範囲で並べました。デンが来る前の旭山では、オスの「キン」が2023年6月に死に、アムールヒョウは雌の「みらい」1頭だけになっていました(来園時の発表)。
- 2004年7月4日広島で双子「アテネ」「キン」誕生安佐動物公園生まれ。翌2005年7月21日に旭山へ移った(旭山「キン」の訃報)
- 2017年8月12日キンとルナの間に「とわ」「みらい」誕生みらいは旭山に残り、のちにデンのパートナーになる雌
- 2023年6月19日キンが死亡18歳。アテネは2020年12月に死亡しており、旭山のオスがいなくなった
- 2023年10月19日デンがデンマークから来園2022年5月2日、コペンハーゲン動物園生まれの1歳。当時旭山のアムールヒョウはみらい1頭
- 2024年4月みらいとの同居を開始園の日記によると4月から同居し、交尾も確認された
- 2024年8月24日「幸子」誕生(父デン・母みらい)みらいの初産。11月に右後ろ足の骨折が分かり手術、翌年1月に完治を確認
- 2026年3月9日みらいが出産、子は死亡11日に死亡を確認。年報の死亡動物表では3月10日、死因は腹腔内出血
- 2026年8月4日みらいが1頭を出産10月のワクチン接種でオスと判明。父はデンと報じられている
- 2026年10月26日旭山での展示最終日28日に出発、30日に安佐動物公園へ到着予定
出典:旭山動物園 「キン」の訃報・来園の発表・どうぶつえん日記(2024年10月)・展示中止のお知らせ・出産のお知らせ(2026年8月)・飼育ブログ(2026年10月)・令和7年度年報。2026年8月生まれの子の父については日本経済新聞(2026年8月14日)の報道。
旭山動物園の「どうぶつえん日記」(2024年10月)は、幸子の父を「昨年の秋にデンマークからやってきた『デン(2才)』」、母を旭山生まれの「みらい(7才)」と書いています。2026年8月の出産について旭山の発表は父に触れていませんが、日本経済新聞は父がデンだと報じました。旭山の年報で数えると、2026年3月末の旭山のアムールヒョウはオス1頭・メス2頭(デン・みらい・幸子)。8月にオスの子が加わって今は4頭、デンが出たあとは3頭になり、成熟したオスはいなくなる計算です。
広島と旭山は「行き来」の関係
旭山動物園の「どうぶつえん日記」によると、筆者が飼育員になった31年前、国内でアムールヒョウを飼っていたのは旭山だけでした。旭山生まれの子が神戸で繁殖し、その子が広島で繁殖し、広島で生まれた双子のアテネとキンが旭山に「帰ってきた」と書かれています。デンはそのキンの後を継いだオスで、今度はキンの生まれた安佐動物公園へ向かうことになります。
国内のアムールヒョウは何頭?公式資料で名前が分かる9頭
国内の飼育数は、安佐動物公園が報道資料に書いた数字で追えます。2018年11月の資料では「2017年末の時点では全国7園館で15頭」、2023年9月の資料では「国内の動物園では10園で17頭(令和4年末)」でした。5年で施設は3つ増えましたが、頭数は2頭しか増えていません。1施設あたりにすると2.1頭から1.7頭に減り、1〜2頭ずつを各地で分け合って飼っていることが分かります。
日本動物園水族館協会(JAZA)の個体の名簿は一般に公開されていないため、ここでは旭山動物園・安佐動物公園・広島市の公式資料に名前が出てくる個体を集めました。資料の日付より後に移動・死亡している可能性があるものは「時点」を付けています。
| 名前 | 性別 | 生年月日 | 生まれ | 最新の所在 | 確認した資料 |
|---|---|---|---|---|---|
| デン | オス | 2022年5月2日 | コペンハーゲン動物園(デンマーク) | 旭山→10月30日に安佐へ | 旭山・安佐 2026年10月 |
| みらい | メス | 2017年8月12日 | 旭山動物園(父キン・母ルナ) | 旭山 | 旭山 2023年6月・2026年8月 |
| 幸子(さちこ) | メス | 2024年8月24日 | 旭山動物園(父デン・母みらい) | 旭山 | 旭山 年報・どうぶつえん日記 |
| (名前未定) | オス | 2026年8月4日 | 旭山動物園(母みらい) | 旭山 | 旭山 2026年8月・10月 |
| スク | メス | 2019年7月29日 | 神戸市立王子動物園(父アニュイ・母セイラ) | 安佐動物公園 | 安佐 2026年10月 |
| アニュイ | オス | 2008年10月12日 | ワイルドライフ・ヘリテージ・ファウンデーション(英国) | 王子動物園(2023年9月時点) | 広島市資料 2018年・2023年 |
| セイラ | メス | 不明 | 神戸市立王子動物園 | 王子動物園(2023年9月時点) | 広島市資料 2023年 |
| ルナ | メス | 不明 | 不明 | 東武動物公園に貸し出し中(2023年6月時点) | 旭山 2023年6月 |
| とわ | オス | 2017年8月12日 | 旭山動物園(父キン・母ルナ) | 宇都宮動物園に貸し出し中(2023年6月時点) | 旭山 2023年6月 |
当ブログが公式資料から作成。2022年末の国内総数17頭のうち、名前と所在を公式資料で確かめられた個体の一覧で、全頭ではありません。2023年以降の移動・死亡は、各園の公式発表で確認できたものだけ反映しています。
表の9頭はオス4頭・メス5頭。生まれを見ると、デンとアニュイが海外生まれで、生まれが資料で分からないルナを除く6頭は国内生まれです。2018年の資料には、安佐動物公園でアニュイと雌チャイムのペアが「現在まで繁殖には至っていません」とあり、そのためアニュイと王子動物園の雄を交換したと書かれています。相性や年齢で繁殖が進まなければ、園の間で個体を入れ替える――今回のデンの移動も、その延長にあると見られます。
野生のアムールヒョウは何頭?「ヒョウの国」の調査値
アムールヒョウ(極東ヒョウ)はヒョウの亜種で、野生はロシア沿海地方の南西部と、隣接する中国の一部にしかいません。安佐動物公園の資料は、国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストで最も危険度の高い「深刻な危機(CR)」に指定されていると説明しています。
野生の数は、ロシアの国立公園「ヒョウの国(Земля леопарда)」が自動撮影カメラの写真で1頭ずつ斑点の模様を見分けて数えています。発表された数字を並べると次のとおりです。
| 時期 | 数 | 範囲・注記 | 出典 |
|---|---|---|---|
| 2000年代初め | 35頭 | 公園の説明で繰り返し使われる「最少期」の数 | Interfax |
| 2021年7月発表 | 成獣110頭+子16頭 | ロシアの保護区。個体番号が付くのは親離れした成獣だけ | Interfax |
| 2024年4月発表 | 成獣129頭+子14頭 | 「昨年」(2023年)の記録。約500台のカメラ | 沿海地方観光ポータル(公園提供) |
| 2026年7月 | 223頭 | ロシアと中国の合計。公園を支援する銀行の発表で、公園の最終集計ではない | Vedomosti |
成獣の数で比べると、2000年代初めの35頭から2023年の129頭まで約3.7倍に回復しました。2021年発表からの2年あまりでも19頭増えています。それでも、2021年の発表で公園の所長は、専門家の見積もりでは野生に150頭いて初めて危険な線を離れられると述べています。2026年6月には、ロシアと中国が国境をまたぐ共同の集計を仕上げている段階だと伝えられました。
日本の動物園の17頭(2022年末)は、ロシアで確認された野生の成獣129頭の約13%にあたります。日本経済新聞は、世界の動物園で飼育されているのは約250頭と伝えています。広島市の安佐動物公園再整備基本計画も、園の役割として「希少な動物を生息域外で保全するため、飼育下での繁殖や他の動物園との積極的な動物交換を進める」ことを挙げています。野生の外で命をつなぐには、血のつながりが偏らないよう計画的に組み合わせることが欠かせません。
数字を読むときの注意
野生の数は発表ごとに対象の範囲(ロシアのみか、中国を含むか)や、子を数えるかどうかが違います。2026年7月の223頭は支援企業の発表を報じたもので、公園の公式な最終集計は2026年10月23日時点で確認できていません。
なぜ動物園どうしで動物を移すのか|ブリーディングローンの仕組み
環境省の資料「国際希少野生動植物の飼育繁殖の取り組み」によると、ワシントン条約を批准したあと、国内の動物園は繁殖用の個体を海外から輸入するのが難しくなりました。そこで日本動物園水族館協会は、
- 海外ともつながった血統登録(どの個体がどの親から生まれたかの記録)
- 血統をもとにした繁殖計画の作成
- 動物園や水族館どうしで動物を貸し借りするブリーディングローン制度
に取り組んでいると説明しています。1つの園で飼える頭数は限られるため、近親での繁殖を避け、年齢や相性の合う相手と組ませるには、園をまたいで個体を動かすしかありません。
アムールヒョウでも、この仕組みが使われてきました。旭山の「キン」の訃報には、みらいの母ルナが「東武動物公園に貸出中」、みらいの兄弟とわが「宇都宮動物園に貸出中」と書かれています。広島市の2018年の資料も、アニュイと王子動物園のアムロの交換を「国内の園が協力して繁殖に取り組む」一環と説明しています。
デンの移動は貸し出し?譲渡?
今回の旭山・安佐の発表は「繁殖のために移動」とだけ書いており、貸し出し(ブリーディングローン)か譲渡かは明らかにしていません。どの雌と組ませるかという計画も、協会の種ごとの調整にもとづくと見られますが、その中身は公表されていません。
見えている事実から整理すると、旭山にはデンの娘の幸子と、2026年生まれの息子がいます。デンが旭山に残っても、新しく組める相手はみらいだけです。一方、安佐動物公園の発表で飼育個体として名前が挙がっているのは雌のスク(7歳)だけです。デンの血を別の家系に広げるという点で、今回の組み合わせは理にかなっていると考えられます。
旭山でデンに会えるのはいつまで?見に行く前の注意
- 旭山動物園での展示は10月26日まで。天候や体調で展示が変わることもあるため、出かける前に園の公式サイト・SNSで確認するのが確実です。
- 広島市安佐動物公園での公開日は未定です。安佐動物公園は環境に慣れたあとに公開するとしています。過去の来園でも、1〜2週間の検疫期間をおいてから公開する流れでした。
- 旭山に残るみらいと2026年生まれの子は、展示開始時期が未定と発表されています(2026年8月時点)。
旭山動物園のお知らせ(X)
旭山動物園は10月16日、公式Xで、アムールヒョウ「デン」の移動について「しいくにゅーす」を更新したと告知しました。
【お知らせ】2026-10-16
しいくにゅーすを更新しました
「アムールヒョウの「デン」の移動について」https://t.co/mxhs26nWgU
詳しくはHPをご覧ください。#旭山動物園 #asahiyamazoo pic.twitter.com/FR0HysI7h9
— 旭川市旭山動物園[公式] (@asahiyamazoo1) October 16, 2026
アムールヒョウ「デン」の移動のよくある質問
Q. アムールヒョウのデンはいつまで旭山動物園で見られますか?
A. 旭山動物園の発表では、デンの展示は2026年10月26日までです。10月28日に旭山を出発し、10月30日に広島市安佐動物公園に到着する予定です。
Q. デンはなぜ広島へ行くのですか?
A. 旭山動物園は「繁殖のため」と発表しています。安佐動物公園は、飼育している雌の「スク」(7歳)とデンの繁殖を目指すとしています。
Q. デンは何歳で、どこから来たのですか?
A. 2022年5月2日にデンマークのコペンハーゲン動物園で生まれたオスで、2026年10月時点で4歳です。2023年10月19日に旭山動物園へ来園しました。
Q. デンの子どもは何頭いますか?
A. 旭山の雌「みらい」との間に、2024年8月24日に雌の「幸子」が生まれています。2026年8月4日にもみらいが1頭(オス)を出産し、報道では父はデンとされています。2026年3月にもみらいが出産しましたが、子は死亡しました。
Q. 広島市安佐動物公園ではいつから公開されますか?
A. 2026年10月23日時点で公開日は決まっていません。安佐動物公園は、環境に慣れたあとに一般公開し、時期が決まったら改めて知らせるとしています。
Q. 日本の動物園にアムールヒョウは何頭いますか?
A. 広島市の報道資料によると、2022年末時点で10園17頭です。2017年末は7園15頭でした。
Q. 野生のアムールヒョウは何頭いますか?
A. ロシアの国立公園「ヒョウの国」は、2023年の記録として成獣129頭・子14頭を公表しています。2000年代初めは35頭まで減っていました。2026年7月にはロシアと中国の合計で223頭とする発表も報じられています。
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出典・参考資料
- 旭川市旭山動物園:アムールヒョウの「デン」の移動について(2026年10月16日)/アムールヒョウが来園しました(2023年10月20日)/アムールヒョウの「キン」の訃報(2023年6月19日)
- 旭川市旭山動物園:どうぶつえん日記「オリンピックとアムールヒョウ」(2024年10月7日)/アムールヒョウの子どもの展示中止について(2024年11月)/アムールヒョウが出産しました(2026年8月14日)/アムールヒョウのみらいと仔(2026年10月15日)/令和7年度 旭山動物園年報
- 広島市安佐動物公園:アムールヒョウが1頭来園します!(2026年10月16日)
- 広島市報道資料(日本動物園水族館協会サイト掲載):アムールヒョウの雄の来園・出園(2018年11月6日)/アムールヒョウの雌がやって来ます!(2023年9月19日)
- 環境省:国際希少野生動植物の飼育繁殖の取り組み(参考資料)
- 日本経済新聞:アムールヒョウ「みらい」が出産 旭川市旭山動物園(2026年8月14日)
- Interfax:「ヒョウの国」の発表(2021年7月27日、ロシア語)/VisitPrimorye:Results of monitoring of the Far Eastern leopard for 10 years(2024年4月19日、英語)/Vedomosti:極東ヒョウの数が20年で6倍に(2026年7月29日、ロシア語)/ПРАЙМ:ロ中が極東ヒョウの共同集計を終える段階に(2026年6月22日、ロシア語)
- 広島市:安佐動物公園再整備基本計画(2015年7月)
情報は2026年10月23日時点のものです。国内の個体一覧は公式資料に名前が出てくる個体を当ブログがまとめたもので、全頭の名簿ではありません。写真:Marie Hale(Wikimedia Commons、CC BY 2.0)。Amur leopard (4241908638)。英国マーウェル動物園で2010年に撮影されたアムールヒョウで、デン本人ではありません。
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