知らないうちに損してる?年間約2兆円「隠れ増税」の正体

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引用元https://youtu.be/sLtrYu1ca9c?si=fCAsbzd-bLAsj5Q_
知らないうちに損してる?年間約2兆円「隠れ増税」の正体
お金のニュース解説

知らないうちに損してる?
年間約2兆円「隠れ増税」の正体

「お給料は上がっているはずなのに、暮らしはちっとも楽にならない」。そのモヤモヤの正体を、ニュースであまり語られない“隠れ増税”の仕組みから、初心者にもわかるようにやさしく解説します。

参考動画:両学長 リベラルアーツ大学「【対策必須】給料が増えても生活が楽にならないのはなぜ?正体は総額約2兆円『隠れ増税』」

「最近、お給料は少しずつ上がっているはずなのに、なぜか毎月の暮らしはちっとも楽にならない」――そんなモヤモヤを感じたことはありませんか。実はそれ、あなたの気のせいでも、家計のやりくりが下手なせいでもありません。背景には、ニュースであまり大きく取り上げられない「隠れ増税(ステルス増税)」という仕組みがあります。

この記事では、両学長(リベラルアーツ大学)のYouTube動画の内容をベースに、初心者の方にもわかるように噛みくだいて解説し、そのうえで「私たちにできること」まで考察していきます。難しい税金の言葉も、ひとつずつ意味を補足しながら進めるのでご安心ください。

この記事のポイント(先に結論)

細かい話に入る前に、まず全体像をつかんでおきましょう。動画の主張と、この記事でお伝えしたいことは、次の3点に集約できます。

!3行でわかる結論

  • 給料が上がっても楽にならない原因は2つ。ひとつは「物価が上がっていること」、もうひとつは見落とされがちな「税金が増えていること」です。
  • 税金が増える理由が「隠れ増税」。物価が上がって名目の給料が増えると、税率の区分や控除が物価に合わせて見直されないため、知らないうちに税負担だけが重くなります。総額は試算で約2兆円
  • 個人ができる防御策はある。制度をすぐ変えるのは難しくても、「お金の知識」を身につけて、インフレや増税に負けない家計をつくることはできます。

そもそも今回の動画は何の話?

今回取り上げる動画は、お金の知識を発信するYouTubeチャンネル「両学長 リベラルアーツ大学」の公式切り抜きです。動画では、日本経済新聞の記事「進む『隠れ増税』2兆円 所得税区分、物価と連動せず」を入り口に、「インフレ(物価の上昇)が進む中で、政府が税の仕組みを柔軟に調整していないため、実質的に増税が進んでいる」というニュースを、約7分でわかりやすく解説しています。

用語:ステルス増税

「ステルス」はこっそり・気づかれずにという意味の言葉です。法律で「増税します」と大きく発表されたわけではないのに、結果として税負担が増えていく。だから「隠れ(た)増税」と呼ばれます。

「給料が上がっても楽にならない」2つの理由

動画では、暮らしが楽にならない理由を2つに整理しています。

理由1:物価が上がっている

これは多くの人が肌で感じている部分でしょう。スーパーの食料品、電気・ガス代、外食、日用品……あらゆるものの値段が上がっています。給料が少し増えても、出ていくお金がそれ以上に増えていれば、手元に残る余裕は増えません。

理由2:税金が増えている(←ここが見落とされがち)

もうひとつが、今回のテーマである税金の話です。物価が上がっているのは目に見えるのでわかりやすいのですが、「税金が静かに増えている」ことには、なかなか気づけません。これこそが、動画が「見落とされがち」と強調するポイントです。

キーワードは「名目賃金」と「実質賃金」

隠れ増税を理解するために、まず2つの言葉を押さえておきましょう。少し専門的に聞こえますが、意味はとてもシンプルです。

2つの「賃金」の違い

  • 名目賃金……給与明細にそのまま書かれている、見た目の金額。「今年は月給が3千円上がった」というときの、その金額です。
  • 実質賃金……名目賃金から物価の上昇分を差し引いた、「実際にどれだけモノを買えるか」を表す金額。本当の意味での豊かさは、こちらで決まります。

動画では、おにぎりを例にこう説明しています。給料が100円から102円に増えても、おにぎりの値段が100円から103円に上がっていたら、買える量はむしろ減ってしまう。つまり「名目賃金は増えているのに、実質賃金は増えていない(むしろ減っている)」という状態です。これが、給料アップを実感できない正体のひとつです。

 去年今年結果
給料(名目)100円102円+2%
おにぎりの値段100円103円+3%
買えるおにぎりの量1個約0.99個実質マイナス

※わかりやすく単純化した例です。給料が増えても、物価がそれ以上に上がれば「生活は苦しくなる」という関係を示しています。

本題:「隠れ増税」はなぜ起きるのか

ここからが今回のいちばん大事なところです。隠れ増税のカギを握るのが、日本の所得税の仕組みである「累進課税(るいしんかぜい)」です。

そもそも所得税の「累進課税」とは

累進課税とは、所得(もうけ)が大きい人ほど、高い税率がかかる仕組みのことです。日本の所得税は、所得の金額をいくつかの「区分(ブラケット)」に分け、それぞれに違う税率をかけています。動画で紹介されている区分を表にすると、次のようになります。

課税される所得金額税率
~195万円5%
195万円超~330万円10%
330万円超~695万円20%
695万円超~900万円23%
900万円超~1,800万円33%
1,800万円超~4,000万円40%
4,000万円超45%

※上の表は現在の日本の所得税の区分です(動画では695万円までの部分が紹介されています)。所得が増えて上の区分に入ると、その超えた部分により高い税率がかかります。

問題は「区分の金額が物価に合わせて変わらない」こと

ここで動画が投げかける問いはこうです。「インフレ(物価上昇)が進む世界で、この区分の数字をそのままにしていいのでしょうか?」

たとえば、大卒の初任給は1974年に約8万円でしたが、2024年には約25万円。ざっくり50年で約3倍になっています。このように、見た目の給料(名目賃金)は長い目で見れば増えていくものです。

では、もし次の50年でまた給料が3倍になったとして、税率の区分を変えなかったらどうなるでしょうか。答えは、みんなの税率がどんどん高くなっていくです。物価が上がって名目の給料が増えれば、たとえ実際の暮らしぶり(実質)は変わっていなくても、より高い税率の区分に押し上げられてしまうからです。

!用語:ブラケットクリープ

「物価が上がって名目の所得が増えると、税率の区分が見直されないために税負担だけが重くなる現象」をブラケットクリープ(bracket creep=区分がじわじわ忍び寄る、の意味)と呼びます。今回の「隠れ増税」の正体は、まさにこれです。

年収アップの具体例で考える

動画では、こんな例も挙げられています。もともと年収800万円だった人が、年収880万円に上がったとします。物価が上がったぶん給料も上がっただけで、生活の豊かさ(実質)は変わっていないとしましょう。

それでも政府が区分を見直さないと、増えた80万円の部分に、より高い税率がかかってしまいます。本来であれば、物価に合わせて区分の金額も引き上げる「インフレ調整」をすべきなのに、それがされていない。だから手取りの実感が増えないどころか、苦しくなることさえある――というわけです。

動画の中で両学長が繰り返し訴えているのは、ただ一つ。「政府の方、ちゃんとインフレ調整をしてください」という点です。

「総額約2兆円」の中身を確認する

動画では「エコノミストのシミュレーションによると、総額約2兆円が隠れ増税になっている」と紹介されています。この数字の根拠を、もう少し具体的に見ておきましょう。

第一生命経済研究所の試算(星野卓也氏)によると、物価上昇に対して税制が調整されていないことによる負担増は、年あたり約1.9兆円規模とされています。その内訳は、おおまかに次の3つです。

調整されていない項目負担増(試算)かんたんな説明
所得税の税率区分約0.98兆円上で説明したブラケットクリープそのもの
給与所得控除約0.69兆円会社員の「経費」とみなして給料から差し引ける枠
住民税の基礎控除約0.25兆円誰にでも認められる、所得から差し引ける一定額

用語:控除(こうじょ)

控除とは、税金を計算するときに「ここまでは差し引いてOK」とされる金額のこと。控除の枠が大きいほど、税金がかかる所得は小さくなり、納める税金も減ります。

この試算が前提としているのは、税率の区分と同じように、控除の金額も長らく物価に合わせて見直されてこなかった、という点です。物価が上がって生活コストが増えているのに、差し引ける枠は据え置き。これも「気づきにくい増税」の一因になっていました。動画でも「給与所得控除が調整されていない」「基礎控除が調整されていない」ことが、2兆円の内訳として挙げられています。

最新情報:2025年度(令和7年度)の税制改正

2025年度の税制改正では、上記の控除が実際に引き上げられました。具体的には、基礎控除が48万円から段階的に引き上げ(合計所得が一定以下の層で最大95万円など)、給与所得控除の最低保障額が55万円から65万円に拡大。これにより、いわゆる「103万円の壁」が「160万円の壁」へと広がりました(2025年分の所得から適用)。これは隠れ増税をやわらげる方向の見直しで、特に低所得層では負担減になるとされています。

ただし、注意したいのは、引き上げられたのは主に「控除」であって、所得税の「税率区分」そのものは、物価に連動して自動で調整される仕組みにはなっていないという点です。つまり、ブラケットクリープという根本的な課題は今も残っており、「物価に合わせて毎年見直す仕組み」が必要だという論点は変わりません。

海外ではどうしている? 米国・カナダの「インフレ調整」

「区分や控除を物価に合わせて毎年見直す」というのは、決して夢物語ではありません。動画でも触れられているとおり、アメリカやカナダでは、インフレ率などに応じて税の区分や控除を毎年調整しているからです(このような自動調整は「インデクセーション」とも呼ばれます)。

すべての主要国が実施しているわけではありませんが、「物価が上がったぶん、税の基準も引き上げる」という発想は海外では珍しくありません。だからこそ、「日本も同じようにインフレ調整をしてほしい」というのが動画の主張の中心になっています。

なぜ日本では「インフレ調整」が進みにくいのか

「そんなに困るなら、日本もすぐ調整すればいいのでは?」と思うかもしれません。ここは動画では深く触れられていない部分なので、補足として両面から考えてみます。

まず、調整が進みにくい背景のひとつに「財源の問題」があります。区分や控除を物価に合わせて引き上げれば、その分だけ国に入る税収は減ります。少子高齢化で社会保障費が増え続けるなか、税収を減らす方向の改正は政治的に決めにくい、という事情があります。言いかえると、ブラケットクリープによる税収増は、放っておくだけで自然に財政の助けになってしまうため、「あえて手をつけない」インセンティブが働きやすいのです。

一方で、長くデフレ(物価が上がらない状態)が続いた日本では、そもそも「物価に合わせて税制を毎年見直す」という発想自体が定着してこなかった、という指摘もあります。近年になって物価が本格的に上がり始めたことで、ようやくこの問題が表面化してきた、という見方です。どちらの立場に立つにせよ、「物価が上がる時代には、税制も物価に合わせて点検し続ける必要がある」という点は共通しています。

考察:このニュースから何を読み取るべきか

1. 「増税」は必ずしも法改正だけで起きるわけではない

私たちはつい、「増税=税率が上がること」「ニュースで大きく発表されること」だと思いがちです。しかし、ブラケットクリープのように、税率や控除を「据え置く」だけでも、インフレ下では実質的な増税になるという視点はとても重要です。何も変えないことが、結果として負担増になる。この構造を知っているかどうかで、家計や政治を見る目は大きく変わります。

2. インフレは「資産を持つ人」に有利に働きやすい

動画では、インフレが進むと「お金持ちはより豊かになりやすく、普通の人は苦しくなりやすい」という指摘もされています。理由はシンプルです。株式や不動産といった資産を持っている人は、物価が上がると同時にその資産の価値も上がりやすい一方、税金の面では制度をうまく活用して負担を抑えられることが多いからです。

逆に、給料収入が中心の人は、給料の伸びが物価に追いつかないうえ、ブラケットクリープで税負担まで増える。同じインフレでも、立場によって受ける影響が正反対になりうる、というわけです。

3. 制度批判で終わらせず、「自分の手で打てる対策」に目を向ける

「政府がインフレ調整をしてくれない」という問題提起は大切ですが、制度がすぐに変わるとは限りません。だからこそ動画は、最後に「世の中の仕組みを理解して、自分で手を打とう」というメッセージで締めくくっています。批判して終わりではなく、行動につなげる――ここがこのチャンネルらしい着地点だと感じます。

私たちにできる「隠れ増税」への対策

では、個人レベルでは何ができるのでしょうか。動画で触れられていた方向性を、初心者向けに整理してみます。なお、ここで紹介するのは一般的な選択肢であり、特定の方法をおすすめするものではありません。実際に始める際は、ご自身の状況に合うか必ず確認してください。

① 資産を「持つ」側に回る(投資)

インフレで現金の価値が目減りしやすい一方、株式などの資産は物価とともに価値が上がることが期待できます。少額から始められて税制優遇のある制度として、NISA(投資で得た利益が非課税になる制度)や iDeCo(掛金が所得控除になる私的年金制度)などがあります。ただし投資には値下がりのリスクもあるため、仕組みを理解したうえで、無理のない範囲で行うことが大前提です。

② 収入の柱を増やす(副業)

給料一本に頼っていると、賃金の伸び悩みや増税の影響をまともに受けてしまいます。副業で収入の入り口を増やしておくことは、家計の安定につながります。事業としての副業には、後述する節税の選択肢が広がるというメリットもあります。

③ 使える制度で「正しく」節税する

税金は、知っているかどうかで負担が変わる場面が少なくありません。動画では、青色申告特別控除(事業所得などがある人が、きちんと帳簿をつけることで受けられる控除)や、マイクロ法人(小さな会社を設立して社会保険料や税の負担を最適化する手法)といった選択肢が挙げられていました。これらは誰にでも合うわけではなく、手間や条件もあるため、税理士など専門家に相談しながら検討するのが安心です。

④ いちばんの土台は「お金の知識」

結局のところ、どの対策も「知っていること」から始まります。動画でも、お金にまつわる力(稼ぐ・貯める・増やす・守る・使う、といった力)を身につけることの大切さが強調されていました。情報を集め、少しずつ実践していく姿勢こそが、長い目で見た最大の防御策になります。

記事を読むうえでの注意点

!フェアに読むために

「隠れ増税」という捉え方は、わかりやすく問題を可視化してくれる一方で、一つの見方でもあります。たとえば「税収は社会保障や行政サービスの財源でもある」「物価動向は一時的な要因も含む」といった反対側の論点もあり、専門家の間でも議論があります。動画の主張をうのみにせず、複数の情報源にあたって、ご自身で判断する姿勢が大切です。

また、本記事は税金の仕組みを一般的に解説したものであり、特定の投資や節税を推奨するものではありません。具体的な手続きや判断については、税理士・ファイナンシャルプランナーなどの専門家にご相談ください。

まとめ

今回のおさらい

  • 給料が増えても楽にならないのは、「物価上昇」と「税負担の増加」が同時に進んでいるから。
  • 税負担が増える主因が、税率区分や控除が物価に合わせて見直されないことによる「隠れ増税(ブラケットクリープ)」。試算ではその規模は年あたり約2兆円
  • 米国やカナダのように、物価に応じて税の基準を毎年調整している国もある。
  • 制度がすぐ変わらないなら、投資・副業・正しい節税・お金の知識といった「自分でできる対策」に目を向けることが大切。

「気づかないうちに進む増税」は、知っているだけで対策の第一歩になります。まずは自分の給与明細を眺めて、「名目」と「実質」の違いを意識するところから始めてみてはいかがでしょうか。

よくある質問(FAQ)

Q「隠れ増税」と「ステルス増税」は違うものですか?

ほぼ同じ意味で使われています。法律で大きく「増税」と発表されていないのに、制度を据え置くことで実質的に税負担が増えていく状態を指す言葉です。その代表例が、物価上昇に税制が追いつかないことで起きる「ブラケットクリープ」です。

Q自分も「隠れ増税」の影響を受けているのでしょうか?

給料が物価とともに増えている人ほど、影響を受けやすいと言えます。名目の給料が上がって上の税率区分に近づいたり、控除の効果が物価上昇に追いつかなかったりするためです。「給料は増えたのに手取りの実感がない」と感じる人は、その一例かもしれません。

Q個人でできる対策で、まず何から始めればいいですか?

いきなり投資や法人設立に進む必要はありません。まずは仕組みを正しく理解することが最優先です。そのうえで、NISAなど少額から始められる制度を調べたり、家計の支出を見直したりするなど、リスクの小さいところから一歩ずつ進めるのがおすすめです。判断に迷う場合は専門家に相談しましょう。

Qブラケットクリープは、年収が低い人には関係ない話ですか?

そうとは言い切れません。所得税の税率区分だけを見ると影響が小さく見えるケースもありますが、隠れ増税の内訳には「給与所得控除」や「住民税の基礎控除」が物価に合わせて見直されないことも含まれています。これらは幅広い人に関わる仕組みなので、年収にかかわらず、多くの人がじわじわと影響を受け得ると考えておくとよいでしょう。

Q「実質賃金」は、どこで確認できますか?

厚生労働省が毎月公表している「毎月勤労統計調査」などで、実質賃金の動向を知ることができます。ニュースで「実質賃金が前年比マイナス」と報じられているときは、名目の給料が増えていても、物価上昇に追いついていない状態を意味します。給与明細の額面だけでなく、こうした統計にも目を向けると、家計の実感をより正しくつかめます。

出典・参考

  • YouTube動画:両学長 リベラルアーツ大学「【対策必須】給料が増えても生活が楽にならないのはなぜ?正体は総額約2兆円「隠れ増税」【リベ大公式切り抜き】」(動画はこちら
  • 日本経済新聞「進む『隠れ増税』2兆円 所得税区分、物価と連動せず」
  • 第一生命経済研究所(星野卓也)「ブラケット・クリープによる『隠れ増税』の試算」

※本記事は動画の内容をもとに、初心者向けにわかりやすく再構成・補足したものです。最新の税制や数値は、国税庁など公的機関の情報を必ずご確認ください。

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